【第13回】最初は初期費用が安いTシャツなどからファッションブランドを始める|トピックスファロー

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2015年9月17日
【第13回】最初は初期費用が安いTシャツなどからファッションブランドを始める

5枚それぞれ違うデザインのTシャツを作った場合でも、ファッションブランドとして名乗ることができます。 実は、ファッションブランドの多くが、そんなTシャツのようなものから始めています。

ファッションライター
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Tシャツや小物から始めるブランドの特徴は?

世界的な規模の有名ブランドでも、最初はTシャツ数型のみの取り扱いだったなど、ファッションブランドの中にはスタート時はとても小規模だった、という話は良く聞くサクセスストーリーです。

ではなぜ、最初は小規模で数型しか扱わないファッションブランドから始めるのでしょうか?

そのメリットと、ファッションブランドを長く続けることの重要性について紹介します。
Woman designer in workshop talking on the phone

最初は少ない型数で始める!基本的なブランドの始め方

「ファッションブランドを始める」と聞くと大がかりなイメージですが、小さいブランドであれば、手軽に始めることができます。
例えば、5枚それぞれ違うデザインを施したTシャツを作った場合でも、ファッションブランドとして名乗ることができます。

実は、ファッションブランドの多くが、最初に始めた時は少ない型数から始めています。

特に多いのが、Tシャツから始まったブランドです。
サーファーやスケーターの枠を超えて、世界中で愛されているストリートブランドの「STUSSY」も、もともとはTシャツからブランドを始めています。
そこから徐々に扱うアイテムや型数が増えていき、今では世界中に店舗を構えるブランドとなっています。

このような、Tシャツから始まったブランドはたくさんあります。

その理由の一つに、少ない初期費用で生産でき、専門知識がなくても簡単にデザインできることにあります。
既製品の無地のTシャツをベースにするのであれば、500円程で十分なクオリティのTシャツが手に入ります。
プリントをする際にも、自分でプリントをする技術がなくても、プリントを請け負う工場はたくさんあります。
仮にTシャツにプリントしたい文字や絵が決まっていれば、一週間もしない内に完成品を手にできる程、簡単に作ることができます。

このように、「ファッションブランドを始める」ことに関して言えば、思い立ったらすぐに始めることができるなど新規参入がしやすい業種です。

ブランドの知名度と一緒に大きく展開していく

最初はTシャツだけでファッションブランドを始めたとしても、シーズンごとに少しずつ型数やアイテムを増やしていくこともできます。

ファッションのセレクトショップなどでは、新しいブランドを取り入れた場合、売れ行きの様子を見るためにも、数シーズンは発注を続けてくれるところが多いです。
そのため、ファッションブランドを始めて受注を取れた場合、徐々に型数を増やして、バイヤーへの選択肢を増やせるように展開していきます。
これにより、バイヤーも引き続き注目をしてくれるだけでなく、売れ行きが良ければ発注数を増やしてくれる場合もあります。

また、Tシャツだけでなく、パンツやシャツなど、よりコーディネートの提案がしやすいアイテムを増やすことで、ショップ側も売りやすくなり、さらにオーダーが増える可能性もあります。

大切なことは、受注が増えれば徐々に規模を大きくしていき、受注が取れない場合や少ない場合は、現状維持のままで型数を増やさないようにすることです。
これにより、サンプルにかかる費用などが極力負担にならずにブランドを続けていきやすくなります。

焦らずにゆっくりとブランドの規模を大きくしていきましょう。

展示会の反応を大切に!小規模だからできる路線変更

最初にTシャツなどの少ない型でファッションブランドを始めることには、他にもメリットがあります。
それは、バイヤーの反応を見ながら、デザイン変更などが可能なことです。
ファッションに限らずどんな業界でも、絶対に売れると確信しているものでも、実際に売り出してみると全く売れない商品があります。

逆に、売れなさそうな商品が意外にも大ヒットを生むこともあります。
どんな商品でも、実際に売ってみないと結果は誰にも分かりません。

そのため、自分が自信を持ってデザインしたアイテムも、売れるかどうかは展示会に出してバイヤーに見てもらうまでは分からないです。

特に、ファッションブランドのようにたくさんの競合ブランドがあり、たくさんに新しいブランドが出てくる業界であれば、全く受注がつかないブランドもたくさんあります。

そんな条件の中、お金をかけてシャツやパンツ、Tシャツにアウターなどの全ラインナップのサンプルを作った場合、受注が全くつかなければそこでブランドは続けられなくなります。
なので、大手企業などのよほど資金力がある会社でなければ、小規模でスタートするべきなのです。

また、小規模であれば、展示会を行った後にバイヤーからの反応などを見て、反省を踏まえてデザインの路線変更も可能です。

ダークカラーのアイテムで統一していたとすれば、次のシーズンは明るいカラーでポップなデザインも入れてみるなど、ちょっとした変化をつけて、次のシーズンを迎えることができます。

ファッションブランドも長く続けるが大切!

華やかに見えるファッションブランドも、実は内部から見ればとても地道で難しい仕事です。
特に新しいブランドであれば、最初はなかなかバイヤーからもお客さんからも反応が悪いことがあります。
実は、新しいブランドなどがセレクトショップに並ぶと、安定して売れるようになるまで3シーズンはかかると言われています。
話題性のあるブランドや、宣伝がしっかりされているブランドであれば状況は違いますが、小さいファッションブランドであれば宣伝などをする費用はありません。

そこで、商品が売れるために重要になることが、セレクトショップの接客です。

新しいブランドを取り入れたセレクトショップが、お客さんに地道に紹介することで、徐々にお客さんも興味を示してくれます。
そして、気に入ってくれたお客さんが次回のシーズンでも買ってくれるようになり、少しずつ売れ行きや商品への反応が出てきます。
そのため、少なくても受注を受けたセレクトショップでも、オーダーを増やしてくれるタイミングは、取引を開始して1年半後や2年後となります。

このように、小規模のファッションブランドが安定して受注を取れるようになるには長い期間がかかります。

そのため、ファッションブランドを始めた際は、長く続けることが大切です。

長く続けるためにも、サンプルを作るなどの負担が大きくならないように、小規模から始めていくことが重要となります。

焦らずにゆっくりと規模を広めることが重要

数型だけでなく、もっとたくさんのアイテムやデザインを作りたくなりますが、ファッションブランドは長く続けることが一番重要です。
無理なく続けられる規模で確実に運営していきましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
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英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。