オーダーシートを作る際に注意点は?
展示会でオーダーシートが必要なことはわかりましたが、このオーダーシート作りが展示会の準備で時間がかかる作業になります。展示会では、ディスプレイされたサンプルと一緒に、照らし合わせるようにオーダーシートを見る必要があります。
また、展示会を終わった後、バイヤーが発注を吟味する際にもオーダーシートを見ながら行うので、とても重要な資料となります。
オーダーシートの完成度で受注数が左右されることもあるので、手が抜けない資料でもあります。
ここでは。そんなオーダーシートの作り方と、バイヤーが発注しやすい記載方法のポイントをまとめています。
自分なりのフォーマットや骨組みを作れば、毎シーズンベースとして使用できるので便利です。
展示会前に慌てないよう、早めにブランドのオーダーシートフォーマットを作っておきましょう。
最低限の記載内容を把握しよう
オーダーシートには、こちらが管理しやすい情報やバイヤーが知りたい情報を無駄なく記載する必要があります。シンプルであれば、見やすくスッキリしていますが、バイヤーへ商品の特徴やセールスポイントが伝わりにくくなります。
逆に、たくさんの情報を載せすぎるとゴチャゴチャした見にくいオーダーシートになってしまいます。
しっかりとバランスが取れた、使う人のことを考えたオーダーシートにまとめることが大切です。
最低限記載するべき情報は、
1、品番
2、素材
3、値段
4、納期
5、写真もしくはイラスト
6、サイズやカラーの展開
以上の内容になります。
1、品番
品番は、受注を受けた際に誰もがわかるように番号やアルファベットで管理したアイテムの名前です。ブランドによって管理方法が違いますが、品番だけでシーズンや大まかなアイテムの種類が特定できれば便利です。
例えば、「1203201」と言う7桁の数字にする場合を考えてみましょう。
一桁目をブランド。(1はAというブランド、2はBというブランドなど)
二桁目をシーズン。(1 は春夏シーズン、2は秋冬シーズンなど)
三〜四桁目をシーズン数。(03であれば、ブランドが始まって3シーズン目など)
五桁目をアイテム名。(1はトップス、2はパンツ、3はジャケットなど)
六〜七桁で通し番号。(01から順番に通し番号を振っていく)
上記のルールに従えば、例で挙げた「1203201」は品番を見ただけで、Aというブランドの秋冬シーズンで3度目のコレクションのパンツ。通し番号01のアイテム。
と、アイテムを探す場合も、ある適度のシーズンやパンツなどの種類も特的できるので便利です。
自分なりの管理方法をルール化させることをオススメします。
2、素材
ファッションブランドのアイテムにとって、素材は最も大切な内容です。バイヤーも必ずここはチェックします。リネン素材であれば、値段が高くなることも理解できますし、シルクであれば、家庭の洗濯機で洗うことは難しくなります。コットンあれば、扱いやすく売りやすい素材です。
このように、素材を記載するだけで、バイヤー側がショップで取扱う際のイメージが湧きやすくなります。
特に複数の素材が混じった生地であれば、展示会の時点では混ざっている割合がわかるようにしておきましょう。
3、値段
値段は、小売価格である上代を記載しましょう。日本のファッションの卸売りでは、上代に対して何%で買取するかという掛け率での納品が基本です。基本的には、インポートアイテムで上代の50〜60%、ドメスティックブランドで、上代の45〜60%で取引をされています。
例えば、1万円のジャケットが掛け率60%であれば、6000円でバイヤーは購入し、定価1万円で販売することになります。
発注金額によって、こちら側が掛け率を決めることができるので、下代は記載しないことが一般的です。
4、納期
前回ご説明をしましたが、バイヤーにとって商品が入ってくる時期はとても重要になります。適切な時期に納品することや、大幅に納期が遅れないようにする必要があります。
そのため、記載する納期には少し余裕を持った時期を記入し、トラブルがあっても対応できるように備えましょう。
展示会が始まる前には、ある程度の生産をお願いする工場を見つけておくようにしましょう。
5、写真もしくはイラスト
オーダーシートが分かりやすいかどうかは、写真やイラストで決まります。サンプルを見て、一目でオーダーシートのどの品番なのかを照らし合わせられるように、特徴を捉えた写真やイラストにしましょう。
扱うアイテムによっては、費用がかかったとしてもカラープリントでオーダーシートを作ることも考えましょう。
できる限り、写真のスペースを大きく取ることをオススメします。
6、サイズやカラーの展開
サンプル毎に、カラーやサイズの展開を考えて、オーダーシートに記載します。一般的には、縦のマスにカラー、横のマスにサイズを記入することが多いです。
碁盤の目の空白マスを作っておけば、バイヤーが発注する時に直接オーダーシートに数字を記載するだけでいいので、資料の共有には便利です。
上記のように、最低限必要な情報を記載したオーダーシートの例が以下のようなフォーマットです。
https://terminal-order.com/blog/ペーパーレス/
このようなフォーマットであれば、エクセルでも簡単に作成できるので、作業時間に追われることなく、スムーズに作ることができます。
特徴や情報をしっかりと記載しよう
最低限必要な情報に加えて、セールスポイントや特徴を記載することも効果的です。例えば、2way仕様のものであれば、2通りの着用写真を載せることで、より特徴を伝えることができます。
また、オーガニックコットンを使用したウェアなどであれば、その記載をするだけで、商品価値が上がります。
セールスポイントだけでなく、注意点も記載しておくことで、納品後のトラブルを未然に防ぐこともできます。
ハンドプリントの生地を使用する際には、どうしても生地の場所によって細かな色むらや擦れが起こることがあります。
そのことについても、予め記載しておくことで不良品として返品扱いされるリスクも減るので、展示会の時点で伝えておくことが大切です。
単価の低いアイテムをセールスする際には、ミニマムと呼ばれる最小オーダー数を記載することも、安定した生産をするために大切です。
ひと品番につき5点以上のオーダーから受け付けるように記載すれば、ある程度まとまった受注を受けることができます。
余白部分を有効的に使って、バイヤーに伝わりやすいオーダーシートにしましょう。
自分が使いやすいオリジナルフォーマットを作ろう
オーダーシートの基本型はありますが、ブランドによってオリジナルのオーダーシートフォーマットを持っています。扱うアイテムや特徴によって、自分達が使いやすく、バイヤーにも見てもらいやすいオーダーシートに工夫してみましょう。
シューズの取り扱いが多いブランドであれば、サイズのマスがたくさん必要になるので、横長のラインシートにすれば、効率的です。
アクセサリーなど、フリーサイズの小物だけのラインシートなら、もっと数量を記入するマスはシンプルにしても見やすいでしょう。
1点1点の特徴をもっと語りたいのであれば、オーダーシート1枚に記載するアイテム数を減らして、特徴や情報を記載するスペースを広く確保することも可能です。
これも、エクセルなどのセルを使うソフトであれば、簡単に変更や追加をすることができるのでオススメです。
ベースとなるフォーマットから、自分のブランドにあった工夫をすることが大切です。 次のシーズンでも使えるように、完成度の高いオーダーシートを作ってみましょう。
バイヤーが展示会後に見ても分かりやすい資料に
バイヤーの発注は、展示会の場ではなく、その後他のブランドとの兼ね合いなども考えられて後日オーダーが来ることがほとんどです。そのため、後日に見てもより分かりやすい資料であることが、発注数が増える要因でもあります。
しっかりここに時間と労力をかけて、分かりやすいオーダーシートを作成しましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方