
骨粗しょう症とは
骨粗鬆症とは、骨量が減少して、骨がもろくなり骨折しやすくなった病態です。
女性に多くみられ、白人・黄色人種・黒人の順に多いとされています。
人の骨は古くなると、破骨細胞によって骨が破壊される「骨吸収」という現象によって、骨からカルシウムが放出されて、減少します。
そして、骨の形成速度よりも骨吸収の速度が速くなると、骨に小さな穴がポツポツとあらわれ、スカスカの状態になってもろくなるのです。
原因がはっきりしている続発性骨粗鬆症と、原因がはっきりわからない原発性骨粗鬆症があります。
また、まれなケースとして思春期や青年期に発症する若年性骨粗鬆症も原発性骨粗鬆症のひとつです。
骨粗しょう症の原因
骨粗鬆症は、骨形成と骨吸収のバランスが崩れることによっておこります。
続発性骨粗鬆症の原因としては、副腎皮質ホルモンの服用や慢性関節リウマチがあげられます。
原発性骨粗鬆症は、老化と女性ホルモンの減少が原因と考えられています。
老化によるカルシウムやビタミンDの吸収の悪化や、運動不足などが原因としてあげられます。
また、女性ホルモンの分泌の減少による骨形成の低下が考えられています。
骨粗しょう症の症状
骨量の減少は、すぐに症状にあらわれることはありませんが、骨折してはじめて骨粗しょう症とわかるケースは少なくありません。
骨折する場所で一番多いのは、背骨です。
まったく痛みがなく、気が付いたら背中が曲がっていた、身長が縮んでいたという方が多くみられます。
また、背中や腰などが痛むという症状もみられます。
次に多いのは、手首の骨折です。
この骨折は、60歳代に多くみられます。
歩いていて転んだり、台などから落ちて手をついた際の骨折が多くみられます。
そして、最も気を付けなければいけないのが、足の付け根の骨の骨折(大腿骨頸部骨折)です。
この骨折は、70歳以降に多くみられます。
転倒によるものが多いのですが、年齢的にリハビリが難しいなどの理由から、寝たきりになるケースが年々増えています。
骨粗しょう症の検査
骨粗鬆症の検査には、骨密度の測定、レントゲン検査、身長測定、血液検査・尿検査などがあります。
骨密度の測定
骨密度は、骨の強さを判定する方法の一つです。
骨密度の測定には、3種類の方法があります。
- X線を腰などに当てて測定するDXA法
- 超音波をかかとやすね当てて測定する超音波法
- X線で手の骨とアルミニウム板を撮影し、骨とアルミニウム板の濃度を比較して測定するMD法
レントゲン検査
背骨などのX線写真を撮り、骨折、変形の有無、骨の状態を確認します。
身長測定
25歳の時にくらべ、どのくらい縮んでいるかを調べます。
4cm以上の身長短縮がある場合は、骨粗鬆症が疑われます。
血液検査・尿検査
骨代謝マーカーによって、骨吸収の速度を調べます。
骨代謝マーカーが高い場合、骨吸収が速いため骨折の危険性が高くなります。
骨粗しょう症の診断
骨粗鬆症は、骨密度・骨のもろさ・脆弱性骨折の有無で判断されます。
ちょっとした衝撃で生じた骨折を、脆弱性骨折と呼びます。
骨密度の基準
骨密度は、80%以上が成人の正常値です。
70~80%が要注意、70%未満は骨粗鬆症と判断されます。
レントゲン検査の結果
骨がスカスカの状態になる「骨粗しょう化」や脆弱性骨折がみられる場合は、骨粗鬆症と判断されます。
骨粗しょう化が疑われる場合は、要注意となります。
骨粗しょう症の治療と予防
骨粗鬆症は、薬による治療の中心になります。
また、長年の生活習慣も影響して発症する「骨の生活習慣病」といわれています。
偏った食生活や運動不足、過度な飲酒や喫煙を避けることで予防することができます。
骨粗鬆症の治療薬
骨粗鬆症の治療薬は、作用によって3つに分類されます。
- カルシウムの吸収を促して、体内のカルシウム量を増やす薬
- 骨の形成を促進する薬
- 骨吸収を抑制する薬
骨密度を上げる食事
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを摂取することで骨密度はアップします。
- カルシウムを多く含む食品(乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、大豆製品など)
- ビタミンDを多く含む食品(鮭、うなぎ、さんま、しいたけ、キクラゲなど)
- ビタミンKを多く含む食品(納豆、ほうれん草、小松菜、ニラ、キャベツなど)
骨密度を低下させない運動
運動不足によって、骨密度は低下します。
骨に体重をかける運動により、カルシウムが骨に蓄積されます。
- 階段の昇り降り、散歩、ウォーキングなど
- 片足立ち
- 背筋を伸ばす
- ふくらはぎやアキレス腱、足の付け根の筋肉のストレッチなど
