5分でわかる相続時精算課税制度!生前贈与の贈与税が0円に!?|トピックスファロー

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2012年6月28日
5分でわかる相続時精算課税制度!生前贈与の贈与税が0円に!?

生前贈与で贈与財産に課税される贈与税は相続税と同様に高い税率の税金です。贈与税の二つの種類である暦年課税と相続時精算課税について簡単に解説し、相続時精算で贈与税が0円になる方法をご紹介します。

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生前贈与による相続税回避を防ぐ「贈与税」

遺産の相続に必ずついてくるのが相続税ですが、相続税を避けるために亡くなる前に財産をゆずっておくという方法を生前贈与と言いますね。

しかし、相続税法には相続税のほかに贈与税という税も規定されていて、生きている個人からほかの個人への財産の贈与には贈与税がかかってしまいます。

贈与税は相続税だけでカバーできない財産の移動に課される税金で、相続税回避を防ぐために控除額は低く、税率は高く設定されています。

贈与税を回避する「相続時精算課税」

平成15年から贈与税の課税方法は暦年課税相続時精算課税の二種類に分かれました。

通常の贈与税は暦年課税という方法で、一年間の個人から個人への贈与額の合計に対して贈与税が計算されます。この暦年課税では年間の贈与額の合計が110万円以下であれば非課税ですが、それ以上であれば大きな贈与税がかかってしまい、生前贈与を抑える効果があります。

相続時精算課税とは?

贈与税のもうひとつの方法である「相続時精算課税」とはいったいどのようなものでしょう?

これは簡単に言うと
『生前の贈与の際には贈与税をとらないけど、相続時には相続税と一緒に精算してもらうよ』
という制度です。

これは、高齢者が持っている資産を遺産としてだけでなく生前にも若い世代に贈与できるようにし、国の経済を活性化しようという目的で導入されたものです。

しかしこれでは高齢者の財産に対して相続税と贈与税が課税されないことになるため、贈与税の分(贈与財産)を相続税に合算することで不平等をなくする「相続時精算」課税制度となったのです。

相続時精算課税で贈与税が0円になる条件とは?

相続時精算課税の適用となり、贈与税が0円になるためにはいくつかの条件があり、その条件を満たしていなければ上限額(控除金の額)をオーバーした分の贈与税を支払うか、暦年課税の適用になります。

相続時精算で贈与税0円の条件

  • 65歳以上の親から20歳以上の子への贈与
  • 贈与税の申告時に届出を出す
  • ある贈与者からの贈与額の合計が2500万円以下(生涯の累計)

これらの条件を満たすことで贈与税は0円となり、生前贈与を贈与税なしで行うことができます。

贈与額がこの条件2500万円を超えた場合は、超えた部分に対して税率20%の贈与税を納める必要があるため贈与税が0円にはなりません。しかし、相続時精算ではこの納税した贈与税の分は控除されるため、2500万円までが贈与財産として課税対象の相続財産に含められることになります。

相続時精算課税の良いところ

ここまでの説明で、「贈与税が0円になっても相続税で納めなければならないのでは意味がないんじゃ?」と疑問に思う方は多いでしょう。相続時精算課税のメリットは結局何なのだ?と。

相続時精算課税で良いところは、贈与財産の評価は「贈与時の価値」が使われるというところです。

財産の価値は評価するタイミングで大きく変わっていくものです。価値が上がっていくものがあれば下がっていくものもあります。

つまり、通常の相続税では「相続するタイミング」での財産の評価が自動的に相続財産の価値とされますが、相続時精算課税では「贈与のタイミング」での財産の評価が贈与財産の価値となるのです。これは財産の評価が任意のタイミングで行えるということですね。

したがって、価値が低いときに財産を贈与し、相続のタイミングでその価値が大きく上がっていれば本来払うべき相続税から価値上昇分の税金を節税することができるのです。

すなわち 『相続時精算課税の良いところ』 は財産価値が上がる場合の財産相続に有効な方法といえるでしょう。

逆に言うと、財産価値が下がる場合には損をしてしまうことも考えられるのですが、相続時精算課税を賢く利用して「お得な相続」を目指したいものです。

著者:海老田雄三

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芸能、アニメ、ゲーム、音楽あたりが得意分野のはずが、気が付けばなんでも書くライターになっていました。アニメ、ゲームなどのサブカル誌によく寄稿しています。