インプラント治療に伴うリスクを知っておこう
病気の治療はどんな内容であっても多少のリスクが伴ってくるものです。例えば、骨折の治療でギプスを嵌めた手足は筋肉が萎えてしまうこと、薬剤療法には副作用が伴うことなどが挙げられます。
このように、リスクを織り込んだうえで治療に掛かることは医師、そして患者と家族に求められる姿勢といえます。
治療のリスクを念頭に置かなければならないことはインプラントでも同じです。インプラント治療ではどのようなリスクが発生するのでしょうか?
インプラント治療の禁忌症
病気の治療では「禁忌症」と言って、『特定の病気や疾患を抱えている患者にはこの治療法を行ってはいけない』というルールがあります。つまり、禁忌症があることこそが患者にとっての治療のリスクとなるのです。
治療内容と禁忌症によっては、医師の技術でカバーできるものもありますが医師の負担が大きくなるため、ミスが発生する危険性や手術時間の延長による患者の負担増大が起こりうるのが難点となります。
インプラント治療における禁忌症としては、狭心症・心筋梗塞などの心臓疾患、高血圧、糖尿病、骨粗しょう症などが挙げられます。
インプラントの埋め込みの際は歯茎を切開するため、どうしても出血が起こります。その為血流に関連する病気を持っている人は治療のリスクが大きく膨れ上がってしまうのです。
骨粗しょう症の場合、インプラントを埋め込んでも骨と十分に結合しない恐れがあります。
下顎骨へのインプラント移植
下顎にインプラントを移植することは、上顎よりも手術時のリスクが高くなる危険性があります。
インプラントを植え込む下顎の歯槽骨の下には、「下顎管」という管が通っています。そして下顎管の中には下歯槽神経・下歯槽動脈・下歯槽静脈といった神経・血管が通っているのです。
インプラントを植え込むための穴をあける際に、ドリルの刃が少しでも深く食い込んでしまうと下顎管に達し、神経や血管を傷つけてしまう恐れがあるのです。
どんな治療にもリスクはあって当然ですが、治療する前に実際のクチコミや下調べをして腕の良い病院を探しましょう。
インプラント移植後のケア
インプラントは自前の歯と違って、虫歯菌の影響を受けないということもメリットといえますがだからといって全く歯を磨かなくても良いというわけではありません。
歯磨きなどのケアを行わないでいると、歯周病菌がインプラントを植え込んだ穴に入り込んで歯槽膿漏と同じ状態になってしまうのです。
歯槽膿漏が進行すると歯槽骨が吸収されて骨が引っ込んでしまい、歯が根元からグラグラしてしまい最終的には抜け落ちてしまいます。それと同じことがインプラントで起こると、吸収された歯槽骨を増やす手術をしてから再手術を行わなければならず、二度手間になってしまう上に治療費がさらにかかってしまうことになりかねません。