
示談は“和解”の契約
誰もが交通事故にはできれば遭いたくないと思っています。ですが、自分で起こしたのではなくても、巻き込まれたりする場合もあります。
交通事故に遭ってしまったときに、必ずと言っていいほど出る話が示談のことです。
言葉自体が聞いたことがあっても、実際に何をするのが事故の当事者になって初めて知った人もいるのではないでしょうか。一体、示談とは何なのでしょう?
示談とは、裁判を行わずに交通事故の加害者と被害者が話し合いをして、損害賠償の金額やその支払方法などを決めて解決する方法になります。加害者が損害賠償金を支払い、被害者がそのお金を受け取ることで一件落着するもの。民事上は、“和解”の契約を結ぶということになるわけです。
示談交渉は誰が行うの?
先ほど、交通事故の加害者と被害者が話し合って、示談内容を決めると述べましたが双方が直接話し合う以外に、近年では本人たちの代理人として保険会社が行うケースが増えています。または、弁護士や行政書士などの専門家が示談交渉を行う場合もあります。
示談書とは?
交通事故の当事者同士の話し合いによって決めた内容を書面にしたものを“示談書”と言います。
これは後々、トラブル発生を防ぐ目的で作成されるもの。ここで気をつけたいのは、示談書はただの合意文書に過ぎず“強制力”がないこと。そのため、特に保険会社抜きの示談の場合には、その後のトラブル発生時に備え、“公正証書”を作成することもよくあります。公正証書があれば、何か問題が起きても裁判なしで強制執行ができます。
示談の際に気をつけること
交通事故を起こしたり巻き込まれたりしてパニック状態になっているところに、示談の話をされてワケも分からずハンコを押してしまった…というケースも少なくありません。混乱状態で冷静な判断ができなくなってしまう人もいますが、ここは落ち着いてお互いに納得できる示談内容にしなければなりません。
示談の際、気をつけるべきことを見ていきましょう。
交渉開始のタイミング
加害者は裁判をやることになった場合、もし裁判までに示談が成立していれば、減刑される可能性もあります。なので、加害者側は示談を急ぐことも多いでしょう。ですが、被害者側はそれに乗らないようにすることがポイント。交通事故によって負ったケガが完治する、あるいは後遺症の症状が落ち着くまで示談交渉を始めないのが賢明ですよ。
金額
示談金については、加害者と被害者というそれぞれの立場で、お互いが納得できる金額というのは難しい場合もあるでしょう。金額のことが、後に起こり得るトラブル発生の最大の原因となると考えられるので、慎重に交渉しなければなりません。トラブルに発展させないためにも、示談金の交渉は弁護士などの専門家に間に入ってもらうのが◎。報酬は弁護士によって様々なので、事前に確認しておきましょう。
後遺症の可能性
交通事故で何らかの後遺症が残ることが考えられる場合、後遺症分の損害賠償を含むかどうかという点も重要です。また、後で個別に請求できるかどうかも、あらかじめハッキリさせておくことをお勧めします。
時効
一般的に被害者側は示談を急いではいけないと言われますが、損害賠償請求権にも時効が存在します。
- 民法(被害者側から)の損害賠償請求権は、事故日から3年
- 自賠責保険の保険金請求権は、事故の翌日から2年
となるので、ご注意ください。
