水回りの騒音は意外に響く!何に気を付けるべきか
文明的な生活を成立させているのは電気と水道であると言い切っても過言ではありません。上水道があればきれいな水場や井戸に水を汲みに行く必要はないし、下水道があれば生活排水の処理や水源の汚染を気にする必要もありません。電気の便利さは言わずもがな、です。
しかし、その便利さの裏には不便さや他人への迷惑の原因が隠れているものです。特に、上下水道を使用したことで発生する騒音は、階下の住人にとっては大変迷惑になるものなのです。
水道は騒音の温床
マンションやアパートで生活している人にとって、水道は鬼門というかさまざまなトラブルの原因であるものです。上水道では蛇口を全開にした時の水流がシンクを叩きつける音、お風呂の水の出しっぱなしで階下への漏水が起こる可能性があります。
そして、下水道は生活騒音の温床ともいえるほどうるさいものです。トイレを流せばドジャーっという音がして終わりですが、階下では「ゴゴゴゴゴ…ボコボコボコ」という音が流れきるまで下水管から響いてきます。
お風呂のお湯を抜いても同じようにボゴボゴと水を流す音がしますし、洗濯機だと排水音に加えてモーターの振動と音が天井から響いてきます。
このように水道、特に下水道は生活騒音の温床であるといえます。
水流の急停止によるウォーターハンマー現象
全開にした水道を急に閉じると、「ゴンッ」という金槌で叩いたような強い音が起こることがあります。
これは蛇口が閉じられたことで行き場を失った水流の運動エネルギーが圧力となって水道管を叩くことで発生する「ウォーターハンマー現象」というものです。
ウォーターハンマー現象は騒音の原因であると同時に水回りを破損させる原因になります。水流で発生した圧力は衝撃波となり、水道管の固有振動数に合わさることで共振現象を発生させます。
共振現象が続けば、長期間にわたって振動を発生させることになり水道の配管の緩みを起こして漏水の原因になったり、水道管がつながっているお風呂のボイラーや電気給湯器の故障の原因にもなってしまうのです。
なぜ下水道は騒音が起こるのか
水道が原因の騒音は、上水道よりも下水道の方が激しくなる傾向にあります。マンションの下水道を利用するということは上から下に水を流すということなので、高さの分だけ水に勢いが付きます。
勢いが付いた水流は一気に下水管を駆け下りていくのでゴゴゴゴーッという激しい音が発生します。そして水が勢いよく流れると排水管内部の空気が気泡となって押し出され、ボコボコっと言う大きな音を立てるというわけです。
また、壁や天井を通る下水管は整備性を確保するために周辺を空洞にしておくため、水を流しただけでも音が響いてしまうということも騒音の原因になっているのです。
水道の利用で騒音を起こさないためには?
まず、「騒音を起こさないために水道を全く使わない」ということは実行不可能です。トイレも食事もお風呂も洗濯も全て水道がなくては成立しないし、トイレ・食事・お風呂・洗濯すべてを全くしないというわけにはいかないからです。
出来るだけ騒音を起こさないように水道を上手に使うことが必要になってくるのです。
ポイント1 深夜は出来るだけお風呂・トイレ・洗濯しない
深夜に聞こえる騒音は、昼間に聞こえる騒音の何倍もうるさく聞こえるものです。出ている音の大きさは同じであっても、周囲が静まり返っているため騒音が目立ってしまうのです。
疲れて帰宅してからの寝入りばなにゴボゴボジャージャーと排水音が頭上から響いてくるのでは眠れるものも眠られなくなってしまうし、眠りを邪魔されたことで苛立ちは際限なく高まります。
排水音やシャワー音が出るお風呂やトイレ、排水音に加えて低周波の振動音が出る洗濯は深夜にはやらないようにするのが大事です。
ポイント2 水を使いすぎない
排水音の大きさは水に掛かる勢いと、水の量で決まります。つまり、階数の高さと使った水の量の大きさが階下への騒音の強さとなるのです。
蛇口を全開にすれば必要な水を出すのも早く済みますが、その分だけ排水量も増えてしまいます。なので、水を出す時は蛇口を開きすぎないようにしましょう。
また、トイレの水も一回の排水で出る水の量を調整しておくようにしましょう。
ポイント3 防音材を利用しよう
排水を原因とする生活騒音も、防音材を利用すれば抑えることが出来るものです。たとえば、排水管の周りに吸音効果のあるグラスウールを巻く、洗濯機の下に衝撃吸収用のゴムパッドを設置するというように騒音に対する適切な対策を行うのが重要です。
ただし、排水管への防音材設置は賃貸では難しいケースもあるので、管理会社と相談の上で処置を行うようにしましょう。