親知らずが再生医療に使える?最新iPS細胞技術|トピックスファロー

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2012年10月29日
親知らずが再生医療に使える?最新iPS細胞技術

日進月歩で発達する科学技術は、いよいよ再生医療の実用化を現実のものにしようとしています。特に、臓器移植だけでなく新薬開発にまで応用できるiPS細胞は再生医療における大きなターニングポイントとなっています。そして親知らずは再生医療において、大きな役割を持っているのです。

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親知らずから無限の可能性を持つiPS細胞が出来る!?

ノーベル賞受賞によって一層注目度が高まっているiPS細胞。どんな細胞にも成長するその特性は、医学のあらゆる分野で活用できる可能性を持っています。
そして、このiPS細胞の作製において親知らずは重要な可能性を秘めているのです。

iPS細胞とは?

iPS細胞とは「人口多能性幹細胞(Induced Pluripotent Stem cells)」という意味で、身体のどの部分の細胞にも成長・分化し分裂増殖する機能を備えた細胞のことです。
iPS細胞は、それこそ髪の毛や爪、筋肉や臓器など体中の様々な細胞に変化することが出来るため再生医療での活用が期待されています。

例えば臓器移植は、患者に適合する臓器を持ったドナーが見つかる確率は数万分の一の上に移植の順番が設定されているため、適合するドナーが見つかっても移植手術に漕ぎつけられないことがしばしばあります。また、生体臓器移植の場合、提供するドナーの健康を損ねる可能性があるため土壇場でドナーが提供を拒否することもあります。

しかし、患者自身の細胞から作ったiPS細胞を使えば、適合率100%の臓器をいつでも用意できスムーズに移植手術を行うことが出来ます。
また、難病患者の細胞をiPS細胞で再現してどんな薬が治療に効果的かを調べるということも可能になります。
失った部位を復元する再生医療は歯科の分野でも研究されており、将来的には入れ歯やインプラントではなく天然の歯を再生することも可能になるのです。

ES細胞との違い

iPS細胞が画期的である理由の一つは、「ES細胞と違ってどの部位の細胞からでも作成できる」ということです。
iPS細胞が登場する以前は、ES細胞という同じような特性を持った細胞による再生医療が研究されてきました。しかし、ES細胞を作るには細胞分裂を始めた受精卵を使わなければなりません。
分裂を始めた受精卵はやがて赤ちゃんとなるため、今では生命倫理の観点からES細胞研究は好ましくないものと考えられています。また、受精卵の提供者と適合しなければクローン臓器も適合しないという弱点もあり、ヒトES細胞の研究はiPS細胞に比べて目立った功績がここ数年ないというのが現状です。

親知らずがiPS細胞になる?

iPS細胞は、体中のどこからでも細胞を採取出来れば作成することが出来ます。しかし、細胞を採取した部位ごとの相性によって分裂する活性度の違いなどが出てきます。

最近の研究では、親知らずの元になる歯胚細胞を使ってiPS細胞を作製すると、皮膚細胞から作製するよりも100倍以上の効率で作成できることが分かっています。
また、冷凍保存していた歯胚細胞でiPS細胞を作製できたので、親知らずの利用はかなり有望な手法といえます。
しかし、注意しておきたいのはiPS細胞に利用したのが「親知らずになる前の歯胚細胞」であるということです。最近は歯の神経である歯髄細胞からiPS細胞を作製する研究も進んでいますが、臨床レベルでの利用にはまだまだ時間が掛かるようです。

著者:渡辺芳樹

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学生時代からライターとして活動。小さな会社に就職したおかげで、ライター以外に、編集からWEBサイト製作など、幅広く経験。現在はフリーランスとなり、いくつかの会社と契約を結んで執筆活動してます。