親知らずだって大切に!
親知らずが生えてくると同時に引き起こされるトラブルは、歯が不規則な方向へ生える事での痛みや腫れ、磨き残しが発生しやすい場所である為に虫歯が誘発しやすい事だけではなく、それまで均衡を保っていた歯列を崩してしまい、かみ合わせのバランスが取れなくなってしまうケースも見られます。
それに伴って肩こりや頭痛、顎関節症等が発生することもあり、親知らずがもたらす不都合は一見すると、とどまるところを見せないかのように感じてしまいます。
親知らずの存在は何かとトラブルを誘発する事で実際に厄介者扱いされがちなだけではなく、“歯”としての本来の機能を果たさないように言われる事も多いのですが、必ずしも抜歯しなくてはならない歯という訳では決してありません。
親知らずは正式には“第三大臼歯”とも言い、退化の途中まっただ中にある歯であるために現代の日本人のうち約3割はもともと欠如しているとも言われています。
また思春期後期の永久歯が生えそろい歯列が整った後に現れる為、親知らず分のスペースがない事も多く、横を向いてしまったり等ランダムな方向へ生えてしまうケースも多いのだそうです。
一方で退化の途中にあるとは言え、もとはと言えば“生えてくるのが自然”だとも言え、正常に生えて他の歯と同じように機能する親知らずもちゃんとあります。
親知らずによるトラブルを最小限に抑えるには、定期的な歯科検診を受け、思春期の後期頃からは親知らずの生え方の経過や状態をキチンと観察しておく事だと言えます。
親知らずは欠損歯部分へ移植できる?!
親知らずは、ブラッシング等の衛生管理が行き届いている等様々な条件を満たしていれば、ドナー歯として歯を失った部分に移植する事が出来るそうです。
親知らずの移植は、歯と歯肉の隙間に存在しクッションとしての役割も持つ“歯根膜”が無事である事も条件になります。
移植する際は、親知らずの歯髄(歯の内部の神経や血管)は除去されますが、歯根膜の存在があるために噛む力等への耐久性が再生できるのだそうです。
良い状態で歯の移植ができて、その後のメンテナンスにも問題が無ければ本来の歯同様の期間、機能の維持が期待出来るそうです。
インプラントも同様に歯を失った後の隙間を埋め、噛み合わせ等歯の機能を再生させる治療法として知られていますが、インプラントには歯根膜が無い為に親知らずの移植が成功した場合に比べると噛む力が弱いのだそうです。
加えてインプラントの場合、10年以上機能する事が成功基準と言われています。
さらに費用面では親知らずの移植・インプラント共に基本的に保険適用外の為に全額自己負担となる自由診療ですが、インプラント一本当たりに掛かる費用の平均約50万円に対して、親知らずの移植は約10万円という大きな違いもメリットになります。
どんな状態の親知らずでもドナー歯となれる訳ではない
ドナー歯となる親知らずはトラブルを抱えていない事が大前提となります。
例えば虫歯に罹り、親知らずの内部が虫歯菌に汚染されてしまったケースもドナー歯とするのが難しくなってしまいます。
しかし、ドナー歯として期待のできる状態を維持する為にメンテナンスや衛生管理はコントロールできても、親知らずがどんな状態で生えてくるかはわかりませんよね。
思春期後半18歳~20歳代の初めにかけて現れることの多い親知らずは、冒頭で述べたように困ったトラブルを引き連れて生えてくる事も少なくありません。
親知らずがあごの骨に癒着したり、横に向けて伸びている等、抜歯の際に歯を削ったり分割する必要があるケースも見られますが、このような状態で抜歯された親知らずは残念がらドナー歯として活躍することはできなくなってしまいます。
この二つをクリアしてドナー歯の条件を満たしたとしても、移植の成功のためには他にも様々な条件を必要とする事もあります。