資金は『低きから高きへ流れる』
まず結論として、【金利が上がると円高】になります。
もちろん、金利だけがFXに影響を与える訳ではありません。
また、『為替レートが上がって金利上昇』となったのか、それもと『金利が上がったから為替も上昇』したのかも一概には言えず、『鶏と卵の関係』とも考えられます。
しかし、金利が上がった時、円高になる事だけは間違いありません。
金利が上がって円高になる理由は『国債の動き』にある
金利の動きは、『株と国債とFXが密接に関係している』という事を覚えておくと理解は簡単です。
3行でざっくりと説明しましょう
- 金利が上がると、日本の金融商品(株)の価値が上がる。
- 価値の高い日本の金融商品に投資家が殺到するが、手持ちの円が足りない。
- ドルを売って、円を大量購入。
結果、円高ドル安に振れるという訳です。
金利の基準を決める日本国債
FXで金利と言えばスワップポイントを思い出しますが、他にも『住宅ローン』『生命保険』『銀行の預金』など、様々な場面で金利は引き合いに出されています。
それら金利を決める基準となっているのが、『新発10年国債』と呼ばれる商品です。
この新発10年国債の金利が上がれば、市場の金利も後追いで上昇。当然その逆も起こります。
アベノミクスにみる金利上昇の流れ
2012年の終わりごろから動き始めているアベノミクスでも、金利上昇の流れが見えています。
2012年1月には1ドル76.9円だった円が、2013年5月には102.3円を超えました。
これを受けて日経平均株価も15,000円を超えています。
つまり、5月の段階で日本の金融商品の価値が上がっているということです。
この時の、お金の動きはどうなっているのでしょうか?
投資家は儲ける方へ資金を流す
まず円安により、輸出系の企業は業績を伸ばし、株価が上昇しています。
~パナソニック株、大幅上昇で1年半ぶり800円台~
そうなれば『株を購入して利益を得よう』と考える人が増えます。
すると不況の時は安定していた『国債』でしたが、低金利のせいで利益が低く魅力が減少。
そうなると、『稼げない国債を売って、利益の高い株を買う』人や企業が増えていきます。
~メガバンク、「国債離れ」じわり~
結果、市場には売れ残った国債が溢れ返ってしまいます。
この魅力のない国債を魅力ある商品に変えるには、『金利を上げて株と同程度の利益が出る』という売り方をしなければなりません。
~【クレジット市場】黒田日銀想定外の金利上昇~
金利が上がれば、低金利の通貨を高金利の通貨に変えて利ざやを稼ぐ「外貨預金」なども活発になり、さらに円の需要が高まり、円高が加速していきます。
つまり、【円安⇒株価上昇⇒国債から株への買い替え⇒金利上昇⇒円高】という一連の流れが出来上がっていきます。
金利が下がれば円安になる
逆に、金利が下がった場合は『円安』に流れる事が予想されます。
- 金利が下がれば、金融商品の魅力が減る。
- 日本の商品を買わないなら、日本円はいらない
- 円を売って、他の儲かる通貨に買い替える。
結果、円高とは逆の流れをたどり、円安ドル高になる訳です。
金利は為替レートの一要因。リスクマネジメントが重要
FXの値動きと金利は関わりがありますが、あくまで為替レートを決める一つの要因でしかありません。
他にも、消費税の導入や米大統領選挙の時には、経済状況に関わりなくレートは動きます。
また、2011年の時の様に、超低金利でも円高になり続ける事もあります。
金利が動く時はFXも動く時ですが、すぐに飛び込むのではなくリスクマネジメントを忘れてはいけません。