戻りたい派か、戻らない派か
誰でも20年間で失敗したことや、諦めたことはあると思う。これも機会があれば誰彼なしに聞いているのが、
「もし、戻れるなら、過去の自分に戻ってやり直したいか?やり直すとしたら、どの地点に戻りたいか?」
そう問われたら、あなたはどうだろうか?
面白いのは、戻りたい派と戻りたくない派がかなりくっきり分かれることだ。
失敗したことや、後悔していることがあるので、それをやり直したいと思う派と、それはそれを糧にして今があるから、まあいいじゃんという派である。
私はどうかというと、想像通り、戻らない派である。
失敗の種類を確認する
過去の失敗はまず、失敗の種類を確認しよう。その失敗はチャレンジしないことによるものなのか?それとも、チャレンジしたことによるものなのか?
そもそも、チャレンジなくして失敗なんてないから、と思えればいいのだが、多くの人はチャレンジしないことによって、後悔したり過去を振り返って、それを失敗だと思うことが多い。
目の前のチャンスをつかめる人間は限られている。
とある、上場企業の社長さんをお招きして、クライアント企業様向けセミナーを開催したことがある。
ひと通り上場までのあらましや、成功したときのエピソードを交えての講演が終わった。
その後の質問タイムで参加者の方から、
「成功したことはわかったけど、結局の決定的な要因はなんですか?」
と質問があった。
講師の経営者の方は「この時期(売上が爆発的にあがった年)の前に、取引先の店舗展開が増加し、商品アイテム数を増やしたことにより、当社との取引数が急激に拡大したことだ」と回答した。
質問した経営者は「要は、運がよかったんですね」とにやりと笑って、席に座った。
講師がそう回答することは、講演を聞いていれば誰にでもわかっていたことだ。それを、あえて意地悪と言うか(私にはとても稚拙ないじわるに聞こえた)嫌味のような質問だった。
確かに、講師の回答を聞けば、私も運がよかったと思う。だから、質問者は『取引先のチャンスに乗っかっただけじゃん」』といいたくなったのかもしれない。
その質問者が席についた後、講師の経営者は、
「私も運がよかったと思う。でも当時、私たちと同じような商品を作ったり、取引をしている会社はたくさんあった。でも、その取引を受けたのは私達だけだった。
目の前の運やチャンスを掴むか、何も試みずそのまま前を通り過ぎるのかは、その人次第だと思う」
と静かに言ったとき、私は企画者としてひやひやしていた心がすーっと引いて、同時にずっしりと重い言葉となって響いた。
その時は『やはり成功している、一代で上場まで上り詰めた人は違う』と思った。
同時に、『この人はいろんな場所で、同じようなことを言われた経験が何回もあるんじゃないか』とも思った。
チャレンジしなかった失敗は、変化ない過去の延長線上の、今とほとんど同意味かもしれない。
チャンスを手にする勇気を持たずに、目の前を通り過ぎ、悔やんだ経験は誰にでもあるように思う。
それを失敗ととらえるか、無難で当たり前の人生だったと思うか、でその後の実社会に出たときの仕事観やキャリア感、総じて人生観にも影響を及ぼすのだ。
自分自身、これが最大のチャンスにチャレンジした今なのか?とても不安だが、今不安であり、無難な当たり前の結果を嫌うような、このスタンスがあれば、不安と同時にキャリアの可能性も感じることになる。
チャレンジした失敗から学ぶべきこと
20年の中で1回もチャレンジしたことのない人はいないと思う。日々の中にも小さなチャレンジはたくさん隠れていて、「これはチャレンジだ」と思う人もいれば、チャレンジとも意識せず、試みた結果失敗を経験したことがある人もいるだろう。
ここで、失敗した結果についてチャレンジするべきか、どうか、チャレンジしなければ良かったという反省はいらない。
失敗の結果で検証すべきことは、自分に何が足りなかったのか?「やらなければよかった」というマイナスではなく、「さらに何をやればよかったのか」というプラスの視点で検証すべきだということだ。
こんなことに挑戦したけれど、諦めてしまった。挫折してしまった。
でもそれは、チャレンジしている途中で自分の考えが方向転換し、必要ではないと思ったから途中終了しただけで、途中でやめたこと自体後悔も反省もしていないと思うこともないだろうか。
私はある。
非常にポジティブというか、振り返らない性格であると前向きに表現することもできるが、このことが実は非常に「逃げ」の姿勢から来ていることに気付いたのはちょうど、20歳の頃だったと思う。
本当はマイナス、あきらかに「挫折したこと」なのに、自己防衛のために、目の前の状況に紐づけて、「これは自分には必要ないことだった。ちょっと回り道しちゃったけど」という姿勢をとったことがないか。
もしかしたら、今もその状況を認められずにいないか。
そんなときは全く違ったチャレンジに乗り換えている可能性も高い。
本当はAという目標にチャレンジしていたのに、どこか実現できないかもしれないと思い、それを周りにも自分自身にも言い訳するために、もっと他のBという目標を掲げて、「これが一番自分のやるべきことだ」と中途半端になにひとつ成就せず、20年間が過ぎていないか。
こんな自己弁護に心当たりのある人は、20歳で卒業したほうがいい。
これこそ、自分の棚卸であり、検証すべき事柄である。
実社会でも引きずる大人たち
私の同年代の人でも、もっと年上の人でも、この悪しき習慣を自覚せず、繰り返している人がいる。キャリアダウン転職組である。
「自分の本当にやりたいことが他に見つかった」
「もっと成長できる環境で仕事をしたい」
など、一見ポジティブな転職理由のようにも感じる。
中途採用をすると、面接時にそんなことをいって就職を希望してくれる人も多い。
そういう人の転職は、キャリアアップには程遠く、結局のところ給与面では条件がダウンしていることも多い。
私は、キャリアも給与面でもキャリアアップしながらステージを変えていくのが、本当の転職だと思うのだが、日本の場合、そんな転職をしている人はごくわずかである。
前職のキャリアを生かして、さらに強みを磨く、生かす、そんな転職にははたから見て全く程遠いのに、わけのわからないポジティブな志望理由を並べる求職者は、逃げ回っている自分を弁護しているようにしか聞こえないのは私だけだろうか。
自分の負けを認めることも実社会では大切なことだ。
これは最近私自身が学んだことでもあるが、5年後どうなっていたいか、3年後でもいい1年後でもいい。
それに明確に答えた時点で、今はそれができていないことを認めてしまうことになる。
だから、明確に『1年後に私はこんなコンサルタントになっている』ということを人に堂々と言えない時期があった。
言えない理由にやっと気づき、それをぶつけさせていただいた師匠(私には、人生や仕事において目標にしている先輩がいる。この方々を私は師匠と呼ぶ)に、「なぜ、できないことを認めてはいけないのか?」とシンプルに問われたとき、私は逃げていた、負けていた自分に気づくことができたのだ。
ここで、上っ面で『3年後にはこんなコンサルタントになりたいんです!』と言ったところで、師匠には見透かされていただろうし、結局のところそんな似非ポジティブ発言をしたところで全く成長にはつながらない。
本当に大切なことや、真実は、軽々しく人に話せないし、特に後ろめたいことを言葉に出すときは、言葉も重く、気も重い。
そんな経験というか自覚もないまま、逃げている自分に向き合いもせず、いまもチャレンジの乗り換えをしている「自分探し」なんて言葉も流行っているのか?
自分なんて鏡に自分を映してごらん、そこに移っているお前意外にお前がいるかという腹くくりをしないと結局実社会で同じことを繰り返すのだ。
失敗したこと、諦めたことから学ぶべきことはたくさんある。
それを見ないふりをして、似非ポジティブで実社会を進むのかどうか、それを決めるのも実行できるのも自分しかいない。
旅費を上手に抑えるには
海外旅行に行く際、頭を悩ます要因の一つとなるのが「旅費」です。特に最近は、燃料サーチャージの高騰により、航空券の料金が跳ね上がっています。私事ですが、先日、家族と旅行に行くために旅行会社を通じて航空券とホテルの手配をしました。行き先はアメリカ方面だったのですが、ホテル代と航空券本体の代金を合わせた金額の4割に相当する金額が燃料サーチャージとして持っていかれていました。
そのことが書かれた明細書を見て、思わず泡を吹いて倒れそうになりました。そんなことはどうでもいいですね、すみません。
そもそも、LCCって何?
LCCという言葉は聞いたことがある、と言う人は多いかと思いますが、それが何なのかを的確に説明できる、と言う人は少ないと思います。「安いってことはわかるのだけど~」ともじもじしてしまうのが普通でしょう。
LCCとは「Low Cost Career」(ローコストキャリア)の略で、日本語に直すと「格安航空会社」です。文字通り、従来の航空会社に比べて、格安の値段で輸送を行っている航空会社のことを総称してこう呼びます。
アメリカやヨーロッパなどでは、国土が広いため、国内間の移動に飛行機を使う機会が日本に比べ格段に多く、早くからLCCは発達してきました。それについて話すと長くなってしまうので、日本においてはどうだったのか、ということについて話を進めましょう。
日本においては、2007年にオーストラリアの航空会社・カンタス航空の子会社であるジェットスター航空がLCCとしては初めて定期便の乗り入れを始めました。その後、日本国内でも全日空の出資でピーチ・アビエーションやバニラエアなどのLCCが設立され、またさまざまな国のLCCが乗り入れるなど、LCCが本格的に認知される時代が到来しました。
LCCってどうして安いの?
たいていの人が抱くイメージとして「LCC=運賃が安い」というものがあると思います。私も、街頭で「LCCについてどう思いますか?」と聞かれたら即座に「安い?」と答えてしまうでしょう。では、LCCの運賃はなぜ安いのでしょうか?それには、以下のような理由があげられます。
使用する機体をすべて統一している
普通の航空会社(専門用語では「レガシーキャリア」というらしいです。以下において、この表現を使いたいと思います)では、就航する路線に応じて、さまざまな機体を使っています。これに対し、LCCは基本的にすべての路線で同じ種類の機体を使っています。このことにより、「整備にかかるコストを抑えられる」「パイロットのライセンスの管理にコストがかからない」(※)という効果があります。
※パイロットのライセンスは、航空機の種類ごとに発行されます。たとえば「ボーイング737」を操縦するには、そのためのライセンスを持っていなくてはいけません。
座席数を多くしている
LCCに乗ったことがある人ならわかると思うのですが、基本的に座席の配列を一言で表すと「みっちみち」です。つまり、前の座席との間隔が狭く、大柄の人だったらひざが前の座席についてしまうのではないかというくらい狭くなっています。機内設備にお金をかけない
レガシーキャリアの飛行機では、座席にモニターがついていたり、ヘッドフォンの接続口があったり、座席にある程度お金がかけられています。しかし、LCCではモニターやヘッドフォンの接続口といったものが一切ありません。このことで、メンテナンス代を削減できるという効果があります。基本的に無料サービスをしない
レガシーキャリアでは、飛行時間にもよりますが機内食が出ます。しかし、LCCでは機内食は基本的に出ません。以上のような「徹底したコスト削減」のための方策により、LCCはコストを徹底的に抑えた運営を行うことができています。そのため、運賃を安くすすることができた、という結論になります。
LCCのメリットとデメリットについて
では、LCCのメリットとデメリットにはいったいどんなものがあるのでしょうか?解説しましょう。LCCのメリット
LCCを選ぶ人のほとんどがこの「運賃が安い」という理由で選んでいると思います。特に、「リピーター」と呼ばれる、「1つの国に何度も行っている人」ほど、LCCを選ぶ傾向にあるようです。慣れていれば、運賃が安いほうがいい、というのは一理あるかもしれません。 機材が新しい
LCCは新しく設立された会社が多いので、基本的に新しい機体が多いです。機体は新しければ新しいほど安全性が高いので、機体が原因のトラブルに巻き込まれたくない、という人にはおすすめかもしれません。 片道切符でも安い
レガシーキャリアの航空券は、往復切符と片道切符の料金があまり変わらない、という場合もあります。これに対して、LCCは基本的に片道ベースで料金を策定しているので、片道だけ使う、という場合でもとんでもなく割高にはなりません。
LCCのデメリット
コスト削減のために、あらゆるサービスを省いているのが実情です。そのため、機内で何かを食べたいと思ったら有料の機内販売に頼るか、自分で事前に買って持ち込むかしなければいけません。また、スーツケースを預けるにも、別途料金が必要になる会社もあります。サービスを望むなら、それ相応のお金がかかるのです。 座席が狭い
輸送効率を上げるため、安全が確保される限界地まで客席を作っています。そのため、前の座席との間隔が狭く、客席はかなり狭いです。小柄な体型の人ならともかく、大柄の人にはかなりつらいでしょう。 マイレージが貯まらない
レガシーキャリアではたいていマイレージが貯まりますが、LCCにはマイレージサービスは存在しません。「マイルを貯めて次の旅行に・・・」という願望があるなら、LCCではなくレガシーキャリアを選択したほうが無難でしょう。 時間に厳しい
レガシーキャリアでは、少しくらいチェックイン終了時間に遅れてしまったとしても、融通を利かせてくれます。しかし、LCCにそんな言い訳は通用しません。
私が聞いたところでは、「空港までバスで行くつもりで乗ったら渋滞に巻き込まれてチェックイン修了時刻に10分遅れてしまった。カウンターにいったら“チェックインは10分前に修了しております"とだけいわれ、にべもなかった。仕方が無いので、空港中の日本就航便がある航空会社のカウンターを回って、何とか翌日の航空券を確保した」という背筋が寒くなる話もあります。
LCCでは自社便が欠航や遅延した場合のアフターケアというものがまったくありません。欠航した場合でも、代わりの飛行機は自分で手配しなければいけないし、遅延したおかげで次の飛行機に乗り継げなかったとしても、それは自己責任で片付けられてしまいます。
レガシーキャリアなら最大限の対処をしてくれるところでしょうけど、LCCではそういうケアがないのです。海外旅行がはじめて、お年寄りや子供など体力に不安がある人がいる、などの場合は、レガシーキャリアを選んでおいたほうが無難です。
既存会社と賢く使い分ける
以上、LCCについて知っておいたほうがいいところをまとめてみました。どうしても飛行機の話題が好きなので、真剣に語ってしまいます。最後に、私のLCC体験についてお話しておきます。一度、個人的な用事でソウルに行くことがあり、航空券とホテルがパックになったツアーの手配をしました。
そのときは、学校が夏休みの時期だったので、大韓航空やアシアナ航空などを使うツアーは一杯で、LCCのチェジュ航空を使うツアーがあいていたので申し込みました。初めてのLCCということで、「期待半分、不安半分」といった心境で行ったのですが、思ったより悪くなかったです。
ただ、チェックインにえらく時間がかかったので、「これは2時間前どころか3時間前に来たほうがいいな」と思ったことと、座席はやはり狭いので「我慢できてソウル(2時間くらい)までだな」と思ったことを覚えています。
LCCのデメリットについてかなり詳しく書いてしまったので、「LCCは使わないほうがいい」という雰囲気になってしまいましたが、そんなことはありません。
旅行費用を安く抑えて、その分現地でぱーっと遊びたい、という人には選択肢の一つとしてありだと思います。よく考えて、賢く利用するのがよいかもしれません。