太陽光発電は主流エネルギー源になれるのか?
太陽光や風力・潮力などの自然エネルギーは「再生可能エネルギー」と呼ばれるように、発電のエネルギー源として使ってもすぐに元通りになる性質があります。
この性質は燃料が必要な火力や原子力にはないもので、「二酸化炭素や有害物質を発生させない自然環境にやさしいエネルギー源」として強く注目されています。
しかし、太陽光発電を電力不足解消のための手段として活用するには、まだまだ未解決の問題が山積みになっているのも確かなのです。
1kwh当たりのコストが高い
まず、太陽光発電の最大のネックとなるのが「コストが高い」ということです。この場合のコストは初期導入費用としてのコストではなく、発電にかかるコストのことです。
電力の最小単位である1kwh当たりの発電コストは、石油発電が約11円、石炭発電・天然ガス発電が
が約6円なのに対し太陽光発電の発電コストは「再生可能エネルギーの買取価格固定制度」によって42円となっています。
買取価格固定は太陽光発電の普及のための措置ですが、普及しきっていない現状では太陽光発電の発電コストを引き上げる原因にしかなっていないのです。
面積当たりの発電効率が悪い
横道に逸れた話になるのですが、人間の肝臓の働きをすべて機械で再現しようとすると東京ドーム一個分の面積が必要になる、と言われています。
要するに高機能とは面積当たりの効率を追求することでもあるということです。
そして、これは太陽光発電の未解決問題にも同じことが言えます。
太陽光発電の面積当たりの発電効率は非常に悪く、火力・原子力発電所が80%程度に対して20%程度しかありません。
発電量100万kwの原発一基を太陽光発電に置き換えると、山手線内部と同じ広さである67万キロ平方メートルの太陽光発電所が必要になると言われています。
発電パネルの技術革新が進むか、陸上以外の場所に太陽光発電所を設置できるようにならなければ、太陽光発電が火力や原子力にとってかわることは実現困難と言わざるを得ません。
発電できる時間が短い
火力発電所や原子力発電所は、一度稼働したらメンテナンスや廃炉のために停止するまでずっと24時間365日動きっぱなしで、燃料のある限り動き続けて休むことなく、発電を行い続けています。
対する太陽光発電の場合、太陽が昇っている朝から夕刻までの間しか発電を行うことが出来ません。夜間は月や星、街灯の光があれば幾らかは発電されますが、発電量は限りなく0に近い状態です。
仮に夏でも冬でも日が昇って沈むまでが12時間あったとしても、24時間発電できる火力・原子力には対抗できません。火力や原子力の二倍の発電効率がないと無理なのです。
今も技術革新が進む分野であるということ
太陽光発電は有望な技術であることは確かです。現に、今も発電効率の改善や新しい電池パネルの開発法の発明などが次々に行われています。
技術革新が現在進行形で進んでいることは良いことのように感じられるかもしれませんが、実は不安材料でしかないのです。
なぜなら、火力発電などで使われている技術の多くは最先端ではなく、古臭ささえ感じる「枯れた技術」だからです。
なぜ新しい技術よりも枯れた技術を使うのかというと、トラブルが出た際に対処するためのノウハウが蓄積されている方が新しい技術よりも安全に運用しやすいからです。
新しい技術は運用経験もノウハウもゼロからスタートするので、トラブルが出るたびに全面的に止めて検証し、「どう対処すべきか」というノウハウを積み重ねることになり、その結果で手間とコストが高くつくことになるのです。
太陽光発電で電力不足を解消するには何が必要か
このように、現状での太陽光発電には既存の発電方法にとって代わるためには解決しなければならない問題が山積みになっています。
逆に言えば、時間をかけて問題を解決していけば、太陽光発電は火力や原子力に代わる主流エネルギーとして君臨することも不可能ではないということでもあります。
そして、現在抱えている電力不足問題を太陽光発電によって解決する方法は、太陽光発電所の建設による物量作戦で賄うしかないのではないでしょうか。