太陽光発電は何故光で発電できる?
太陽光発電の最大のメリットは、「太陽や蛍光灯などの光を照らすだけで発電できる」ということに尽きるといえます。
火力発電や原子力発電のように、タービンを回すための巨大な燃焼炉と莫大な量の燃料を用意する必要もないし、水力発電のようにダムを建設する必要さえないのです。
ではなぜ太陽光発電は火力・水力・原子力発電のように、タービンを回すこと無く電気を作り出せるのでしょうか?
火力・水力・原子力発電の原理・「電磁誘導」
太陽光発電の原理の前に、火力発電・水力発電・原子力発電はどのようにして電気を作っているのかを解説していきましょう。
火力・水力・原子力は、燃料を燃やして得た熱エネルギーや高い所から低い所に移動する時の運動エネルギーを使って風車のようなタービンを回しています。
タービンは「電磁誘導」という原理を使って電気を発生させる仕組みになっています。
電磁誘導とは「磁石を動かしてコイル内の磁界を変化させるとコイルに電気が発生する」という現象です。
タービンの回転軸には磁石が付いていて、回転するたびに軸を取り囲んでいるコイルの中の磁界が変化して電気が発生するという仕組みになっているのです。
太陽光発電の原理・「光起電力効果」とは?
では、光を浴びて発電する太陽光発電も火力発電などと同じように電磁誘導を使っているのでしょうか。
太陽光発電の場合は、電磁誘導ではなく「光起電力効果(光電効果)」という原理を使って電気を発生させているのです。
光起電力効果とは、「光を当てると電子を動かす力(起電力)が発生する現象」のことです。電気とはつまるところ電流、「動いている電子の流れ」なので、起電力が発生するということは電気が発生するのと同じということです。
太陽電池の構造
太陽光発電の主役である太陽電池は、光起電力効果を最大限に発揮できるような構造になっています。
太陽電池は自由な電子である伝導電子が多い「n型半導体」と、電子を受け入れるための正孔が多い「p型半導体」がペタリと張り合わされた構造になっています。
n型半導体とp型半導体を張り合わせただけでは起電力は発生せず、n型半導体とp型半導体の間に「空乏層」と呼ばれる電子同士の電荷がつりあった状態、つまり電気が通らない絶縁状態になります。
この状態で半導体に光を当てると起電力が発生して、空乏層内の伝導電子と正孔が押し出されそれぞれn型半導体・p型半導体へと移動します。
このときn型半導体はマイナス極、p型半導体はプラス極に帯電しています。
つまりn型半導体とp型半導体それぞれに電極をつけて電気機器などを繋いだ状態で光を当てれば、電流が生じて電気機器に通電されるというわけです。
太陽電池の原料は?
太陽電池は電卓などに使うような小さなものから発電パネルのような大きなものも、原料がシリコンのものが主流となっています。 シリコンはパソコンや電子機器に欠かせない集積回路の原料としても使われているため、太陽電池の製造コストが高いといわれる一因となっています。 近年はシリコン以外の原料を用いた新型太陽電池の開発が進んでおり、製造コストの引き下げや発電効率の向上に繋がることが期待されています。