昔は田畑だった元農地は不動産投資に向いているか?|トピックスファロー

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2013年5月2日
昔は田畑だった元農地は不動産投資に向いているか?

離農者の増加や減反政策の影響で、元は田んぼや畑だった土地が住宅用地などに転用され売買されています。値段も手ごろだし、大型ショッピングセンターの進出を見込んで投資目的などで購入する人も増えていますが、不動産としての価値や使い道はどうなっているのでしょうか?

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元農地、現宅地・商業地の不動産的価値は?

地方に行くと田園風景が広がっている、というのが多くの日本人が抱いているイメージですが最近は減反政策の影響や離農者の増加などもあって、手つかずのまま長年放置されている畑や田んぼも珍しくなくなっています。
また、地方の再開発計画によって延伸された幹線道路沿いに大型商業施設を建てようという動きによって土地の需要は増していて、数年前まで畑や田んぼだった土地が高値売買されているということも珍しくありません。
こうしてみると、畑や田んぼだった元農地はお宝の山のように見えて投資価値は大きいと思われがちですが実際のところはどうなっているのでしょうか?

売買・転用に許可がいる

土地所有者が住宅用地と銘打って元農地を売買していることはよくあることですが、農地の売買取引や用地転用には各市町村の農業委員会の許可を取らなければなりません

未許可のまま農地を売買しても、農地法では「売り主から購入者へ土地の所有権は移動されない」という取り決めになっています。また未許可で農地を宅地などに転用すると、やはり農地法で土地を元の農地に戻すように求められることになります。
しかし、これは「農地法を悪用すれば土地を手放すことなく売り主だけが儲けられる」というわけではなく、意図的に農業委員会の許可を取らず農地の売買を行った場合は詐欺罪が成立することになります。

地盤改良工事を行わなければならない

元農地は、買ってすぐに家や建物を建築できるというわけではありません。畑や田んぼは大抵の場合、作物に地下水を吸い上げられていて、かつ農地として使いやすいように地質が柔らかくなるように手を加えられています。そのため、元農地は地盤沈下しやすくなっていることが多いのです。
そのため、元農地は転用してもすぐに造成・建築というわけにはいかず、時間を置いてから地盤改良工事を行わなければならないのです。

実際、元農地で宅地転用された造成地に建築された家が欠陥住宅だった、という話は結構多いものでテレビなどを騒がせたこともあります。

市街化調整区域であることが多い

元農地だけど農業委員会の許可を取って、なおかつ10年ほど放置されていて周辺の地盤も固め、という土地があったらお買い得だと思う人も多いでしょう。

しかし、農地があるような場所は「市街化調整区域」と言って大型建造物や住宅などの施設の建設が法律で抑制されている区域に掛かっていることが多いのです。
市街化調整区域の認定は各都道府県が行っているものなので、農地の転用と同じく役所に届け出て開発計画の承認を受けなければなりません。

再開発計画が頓挫する可能性もある

不動産投資においては、土地を購入しても自分では手を付けず再開発で需要が発生した際に高値で売り抜けるというのも一つの手法となっています。
前もって「再開発計画がある」という情報を掴むことが出来れば手堅く儲けられる手法ですが、再開発がスタートするまでは固定資産税などの土地の所有に掛かる諸経費を払い続けなければならないというデメリットも合わせ持っています。
しかし、このような土地取り引きの最大の弱点は地価上昇の根拠になる再開発計画が頓挫してしまうことです。例えば再開発のための道路延伸の予算確保が出来なくなったとか、大型商業施設の誘致が出来なくなったといったような理由で再開発が出来なくなることがあるのです。

投資対象には不向き、宅地利用には十分注意すべし

結論から言えば、元農地は投資目的で購入するにはリスクが高く、確実なリターンがあるとは言えません。しかも、地盤によっては宅地・商業地として使えるようにするのに相当の出費が求められる可能性があります。
元農地は農地法や市街化調整区域といった縛りがあるため、宅地相場よりも安い値段が付けられることが多くお買得のように見えますが、安い分だけデメリットがあるものと考えておいた方が良いでしょう。

著者:塩屋 謙

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職業は編集・校正、そしてWEBライターでもあります。興味の範囲を広げつつ、様々な記事を書いています。