骨折よりも痛い『痛風』
痛風の名前の由来はいくつかあり、1つは『風が当っただけでも痛い』という説。他には『風が吹くように痛みを強弱が繰り返す』説。また『「風」という字には「病」という意味があり、そのまま痛い病』だとする説など様々。
しかし、すべてに共通するのは『ひどい痛みがある』という事です。
その痛みは、バットで殴られ続けるとも、骨折の痛みよりも痛いと言われ、「悶絶する程の痛い」と言われる尿路結石に匹敵するとも言われています。
痛風の原因
痛風の痛みは『痛風発作』と呼ばれており、関節中に針状の尿酸塩が溜まる事で関節炎を起こすことが原因。
その為、血中の尿酸値が高い『高尿酸血症』の状態にならない事が予防の第一歩です。
なぜ『高尿酸血症』になるのか?
尿酸は、食物に含まれる「プリン体」を分解する時にできる老廃物の1つで、どんな人の血液にも存在し、その多くは尿と共に体外に排出されます。
しかし、プリン体の過剰摂取や肥満、肝臓の異常などで処理しきれなくなった尿酸は血液の中で濃度を増し行きます。
そして、血中尿酸濃度が7mg/dLを超えると、『高尿酸血症』と呼ばれます。
痛風発作のメカニズム
高尿酸血症になったからといて、すぐに痛風になる訳ではありません。
血液中に溶けきらない尿酸はナトリウムと結びつき、「尿酸塩」という結晶となって関節包に付着します。
この付着した尿酸塩と、これを異物として攻撃する白血球により、関節で炎症が起こります。
痛風発作は、この炎症によって引き起こされる痛みなのです。
痛風の患者に男性が多い理由
1992年の東京女子医大の調査では、男性が98.5%。女性1.5%という結果が出ています。
ここまで女性が、男性に比べ圧倒的に発症数が少ないのは、女性ホルモンによる影響によるもの。
女性ホルモンには、尿酸を排泄する働きがあり、平均値での血中尿酸値が低く保たれています。
例えば、高尿酸血症の目安となる『血中尿酸濃度:7mg/dL』に対しても、男性では平均1.5mg/dL上昇するだけで高尿酸血症と診断されます。
しかし、女性の場合では、倍の3.0mg/dL上昇する事で、ようやく7mg/dLを超えるようになります。
そもそも女性は、血中に尿酸が溜まりにくくなっており、その為、痛風の患者が少ないという事です。
痛みより恐ろしい『内臓障害』
しかし、痛風が恐ろしいのはその痛みばかりではありません。
むしろ、痛みの陰に隠れて進行する、内臓疾患により命にかかわる可能性があります。
その例として挙げられるのが、『腎機能障害』でしょう。
腎臓にも多く付着した尿酸塩は、腎機能を低下。最終的には人工透析が必要になります。
他にも、『尿路結石』『動脈硬化』が代表的な例として挙げられる事が多く、痛風に加え、これらの病気を同時に発症する事も珍しくありません。
痛風の予防法
痛風の予防にはプリン体の摂取を制限する事が一般的に行われていますが、全ての高尿酸血症の人が痛風になる訳ではありません。
1個1個の食べ物のプリン体にピリピリと気を使うよりも、
- 肉類に偏った食生活を改める。
- 肥満の人はダイエット。
- 定期的な運動。
- ストレスを溜めない。
- 水分をとり、トイレの回数を増やす。
これら5項目を実践する事で、薬に頼らなくても尿酸値を下げ、同時に尿路結石などの合併症を防ぐ事にもつながります。
痛風は再発の危険が高い病気です
アメリカの調査によれば、1年目の再発率は62%。2年以内では78%と非常に再発率が高いのが痛風の特徴です。
その為、『痛風は発症してから治す』のではなく、痛風にならない事が重要なのです。