沖縄近海の危険生物
特に被害が多く、沖縄県警察が注意喚起している生物を中心に紹介します。
これらの生物は、ダイビング中だけでなく、浅瀬に潜む者も少なくないので、ダイバー以外も覚えておいて損はないでしょう。
特に、『ハブクラゲ』『オニダルマオコゼ』『ミノカサゴ』の3種類による被害が最も多く、全体の約90%を占めています。
もし見かけたとしても、絶対に手を出してはいけません。
ハブクラゲ【死亡例アリ】
水生生物による被害の約40%を占める、沖縄で最も遭遇しやすい危険生物。
半透明の体を持ち、水中では見つけにくく、水深50cmの浅瀬にすら入り込んでくるので、特に注意が必要です。
特徴
発生時期は、5月から10月まで。そのうち6月から9月が最盛期。
触手に触れた部分から毒が注入され、その瞬間に激痛を感じる。みみず腫れになるのが特徴。
最悪、呼吸困難になる事もあります。
オニダルマオコゼ【死亡例アリ】
サンゴが生息する砂地や岩礁に隠れているダイバーの天敵。
岩にそっくりな体を砂の中に埋め、全く動こうとしない。その為、ベテランのダイバーや漁師ですら見落とす事があります。
オニダルマオコゼが積極的に危害を加える事はなく、気が付かずに踏んでしまうのが大半。
特徴
沖縄の海では年間を通して確認することが出来ます。
背びれに、ブーツすら貫通する長い丈夫なトゲをもち、そこから毒を注入。
また、その毒性は強く、1匹分で大人4人分の致死量に達すると言われています。
ハナミノカサゴ
その優雅な姿からフォトダイバーに人気の危険生物。
ダイビング中には見かける事も多く、動きもゆっくりで被写体としては最適な魚といえるでしょう。
しかし、その姿とは裏腹に好戦的で、追いかけたり、手を出そうものなら毒のヒレを立てて襲ってくることも少なくありません。
特徴
オコゼと同じく、背びれに毒のついたトゲを持っています。
刺されると非常に激しい痛みに襲われますが、幸いにも死亡する程ではありません。
一見おとなしい生物こそ、危険と心得ましょう。
ヒョウモンダコ【死亡例アリ】
ヒョウモンダコ
photo by Jens Petersen on wikipedia
体長10cmから12cmの小さなタコ。その毒はフグと同じ「テトロドトキシン」。 普段は、岩などに擬態した状態で隠れているが、危険を感じるとリング状の警戒色で威嚇する。 また、他のタコよりも動きが遅く、吸盤も弱いので捕まえるのは難しくはない。 しかし手に取るのは非常に危険。
特徴
ヒョウモンダコは足の間に口があり、その唾液に神経毒「テトロドトキシン」を持つ。 その毒量は青酸カリの850~1000倍と非常に強力。 万が一、この毒を飲み込んだ場合は二重被害の危険がある為、口で吸いだしてはいけない。 また他の危険生物と違い『噛まれても痛みが無い』のが特徴。 噛まれたのに気が付かず、毒が全身に回る事も考えられる。
アンボイナガイ【死亡例アリ】
アンボイナガイ
photo by smallislander on flickr
10cm程度の大きさまで育つ巻貝でイモガイの一種。 美しい貝殻を持ち、手を伸ばすと刺される。 確認されているだけでも、30名以上のダイバーが、この貝によって亡くなっています。
特徴
毒性の強いイモガイの中でも、特に強力な毒を持つことで知られるアンボイナガイ。
その強さは、コブラの2倍とも言われる程に強力。
刺されても痛みはなく、すぐに体がしびれ始めるのが特徴。
心臓麻痺を起こす事もありますが、体がしびれたまま溺れる事が多いようです。
浅瀬に出てくることもあり、絶対に触ってはいけない危険生物。
水中の生物を刺激しないのが、最大の回避方法
今回紹介したほかにも、海中には危険な生物が存在しています。
その最も有効な対処法は『近づかない』事!
どれだけ危険な生物であっても、理由もなしに人に襲い掛かってくる事は稀です。
もう一つ、生き物には触れてはいけません。
これは危機回避の方法であると共に、海の生態系を守るマナーでもあります。
しかし、綺麗な魚や見たこともない生物を近くで見たいというのは自然な事だと思います。
初めての場所でダイビングをするのなら、その場所に生息する危険を予習しておくのが重要でしょう。
海に対する正しい知識は自分の身を守るだけでなく、大切なバディを助ける事につながるかもしれません。