交通事故に巻き込まれたらどうすればいい?
ある日の休日ドライブに出かけると案の定渋滞。後ろからは救急車のサイレンが。「休日に交通事故とは運が悪いね」と、人ごとだと思っていた。そうあの時までは・・・。
交通事故は、誰もがいつ起こるか分からないアクシデントの一つだと思います。
平成25年度は、日本で1日約1600件の交通事故が起こっています。1時間で約60件、1分に1件交通事故が起こっている事になります。
「でも、保険に加入しているし、保険会社が担当してくれるんでしょ」と思っているあなたに、ぜひ読んで頂きたい。
追突事故のように完全にご自身に非がない場合などは、ご自身が加入している保険会社は代行してくれず、示談やら保険やら手続きをご自身で行わなければなりません。
被害者なのに味方なしの状態で、保険があるから安心と言えるでしょうか?
整骨院では、交通事故の相談を数多く受けている
私は整骨院を経営しており、交通事故で体を痛めた方も多く来院します。
痛みを改善するための施術をするとき、必ず事故の経緯を伺いますが、被害者であるにもかかわらず煩雑な事後手続きに悩んでいる方がとても多いことがわかります。
当院では弁護士・行政書士・警察OBとの連携もとらせていただいています。
これまでの経験をふまえて事故後の対処法をお話ししたいと思います。
まず、携帯やスマホで写真を保存すること
事故の当事者になったら、まず安全な所に車を寄せて、必ず警察に連絡をして下さい。
意外と大丈夫そうでも第三者として警察にきてもらう事は大切です。
そして、スマホや携帯などで車のキズの写真を撮影しておく事が大事です。
これは加害者になってしまった時は必ず行って下さい。後から関係ない所を直して請求されるケースもあります。(結構な頻度でお聞きします)
聞きづらいとは思いますが、相手の保険の担当者の名前や電話番号も必ず確認してください。
痛みがあれば、恥ずかしがらず救急車を呼ぶ
その場で痛みがあれば、恥ずかしいかもしれませんが、救急車を呼ぶか、事故処理の後病院に行く旨伝えるのも大切な事です。
「今はそんな痛くないし、大げさにしたくない」という気持ちもあると思います。
事故のときはアドレナリンが出ていて痛みが少なく感じる事が多いのです。
試合中のボクサーのような状態です。その時は平気でも、次の日朝起きたら・・・なんて事になってしまうと大変ですからね。
最初に人身事故(治療を受ける事)と伝える事で「実況見分調書」を作成します。
事故の細かい状況が明記されるため、示談交渉の際にはとても必要な書類の1つとなります。
警察と両者立ち合いが必要となり、双方の時間を合わせてやらなくてはなりません。
相手がそれに応じない事もトラブルの1つとしてあります。
過失割合などを決定する実況見分ですので、しっかりと行える環境で記載してもらいたいものです。
交通事故の事後処理に必要となる書類
交通事故は基本的に被害者請求です。
上記でも触れましたが、
必要な書類を集めて、相手の保険会社と直接話をしていくのは、とても労力がいります。
まして、身体の具合が悪ければストレスは溜まる一方・・・。
警察や相手の保険会社に連絡を取ったり、車の修理工場や病院などの医療機関にも行ったりと大忙しです。
ここでは、事故時の対応と合わせて必要な書類をご説明します。
事故状況に関する書類
1、交通事故証明書
事故が存在したという証明書であり、過失や状況を細かに記したものではありません。
「交通事故の保険申込書」と思った方がよいと思います。
2、実況見分調書
人身事故(怪我のある事故)の場合に必要な書類です。この書類は警察が記入します。
少しでも痛みがある場合は警察に伝えた方がいいです。後日、事故の実況見分を行っても
皆さん人間ですから、忘れてしまっている事や違う見解を言いだす事もあります
3、事故発生状況報告書
当事者が事故に対し、自賠責・任意の保険会社に事故の状態を報告する時の書類です。
所定の書式がありますが、覚えている範囲で詳しく書ける事が望ましい書類です。
人身事故に関する書類
1、診断書
医師又は柔道整復師から怪我のあった事実などを証明する書類です。骨折などの重傷ではない場合、多くは全治2週間見込みとして出されます。
これは4週間以上だと重症扱いとされ罰則が重くなる場合や病院へ警察などの聞き込みなどがある場合が多い為と言われています。
治療の期間として出される訳ではないので、3~6カ月通院されている方も多くおられます。
2、後遺症障害診断書
しっかり治療を行ったが、火傷や骨折などの後遺症として身体に事故の影響が残る場合に取る書類となります。
事故直後に診察した病院が望ましいとされていますが、どこの病院でも大丈夫なので信頼出来る病院で行うようにしましょう。
3、休業補償証明書
怪我をしてしまいお仕事を休業されれば生活が苦しくなると思います。休んでいる間はもちろん、休業した事でボーナスが減らされる場合も会社に賞与減額証明書発行してもらうとその補償も対応となります。
多くの場合、病院や整骨院等、医療機関への通院日数や頻度が大きく関係してくるようです。これも頭の片隅においてほしい事ですね。
実際にあったケースから学ぶ事故対策
交通事故の被害にあったときの治療費や物損費用は、保険会社がなんとかしてくれると思ったら大間違いです。
相手が任意保険に加入していない。病院から後遺症の診断書を断られる。そんなケースは珍しくないのです。
相手の連絡先は会社、実家など複数確認しておくこと
信じられない方も多いかもしれませんが、実際に相手が任意保険に加入していないケースは多いのです。
ご自身に過失割合が少しでもある場合は、こちらの保険会社を立てて相手に請求しますが、もし弁護士特典が付帯していれば、その旨も保険会社に伝えた方がいいと思います。
実際に相談を受けた事例から問題点をみてみましょう。
まず、相手と連絡がつかなくなって困ったというケース。
相手が保険会社を立ててくれる状態ならいいのですが、直接本人同士で行うことになったものの、仕事などを理由に連絡すらつかない時がありました。
この患者様は事故の数日後に身体の異変があり、人身事故の手続きをするのに「両者立ち合いのもと」実況見分を作成しなければなりませんでした。
その連絡が最初繋がらなかったのです。会社の名刺をもらっていたので会社に電話をし、本人に取り次いでもらうよう頼んで、事なきを得ましたが、個人の電話番号しか知らなければ出来なかった事です。
携帯電話だけでなく、会社の名刺や固定電話(実家)などの確認もしておけば、このような事は防げると思います。
このような取り決めなどは、法的に難しいため、弁護士特約があるととても助かります。
ご自身の保険内容を確認する事をおすすめします。
事故後の定期的な経過検査は1つの病院で行うこと
基本的に180日以上経過した際に後遺症(痛みや傷跡)が残ってしまう怪我の場合もあります。施術(治療)をする側としては残念な事ですが、実際にあります。
後遺症障害の申請をするときは、医師の後遺症診断書が必要となります。
実際にあったのは、医師が書いてくれなかったケースです。
事故当日に整形外科にかかり診断を受けました。その後3カ所ほど、病院や整骨院を転院し、当院には事故後120日位で来院されました。痛みは軽減し痺れが残っていたようです。
事故証明に使う診断書は整骨院でも記載出来ますが、後遺症診断書となると医師の診断が必要となります。この患者様は最初に診てもらった所でお願いをしようとしたのですが、
「通院されておらず経過が分からないのに書けない」と言われたようです。
後遺症として残った症状がひどくなったと最高裁でも認められて支払われたケースが実際にあります。(事故で膝を痛め、その5年後、変形性膝関節症と診断された)
少しでも可能性がある場合は、後遺症障害の手続きも視野に入れて下さい。
慰謝料は通院日数や費やした時間に対して支払われる
交通事故の慰謝料は気持ちではなく、通院に使った時間や日数に対して支払われます。
離婚や名誉棄損などと違い、ある程度計算方法が決まっています。
整形外科と整骨院は同じ計算法となりますが、鍼やマッサージ院(国家資格所持)では計算方法が違います。
自賠責の計算基準は基本的に慰謝料として1日4200円となっています。
整形外科・整骨院の場合
2つのポイントがあります。実通院日数×2と治療期間のどちらかの少ない方を計算として算出していきます。
(例1)治療期間90日、実通院日数40日の場合
40×2<90となりますので、「実通院日数の2倍である80日」を適用。
(例2)治療期間90日、実通院日数49日の場合
48×2>90となりますので、「治療期間の90日」を適用。
鍼灸院やマッサージ院(国家資格所持の院)の場合
治療(施術)を受けた日数が適用となります。
(例3)治療期間90日、実通院日数40日
「実通院日数の40日」を適用。
これは、自賠責保険の中から支払われる事となりますので、人身事故の扱いとなった時にしか支払われません。他に自賠責保険からは、休業補償・通院に対しての交通費・実際にかかった医療費が払われます。
多くの事例を見ている整骨院にご相談を
ここまで読んでもご理解しにくい事、苦手だなぁと思う事があると思います。
その特約は安全安心の為になります。
多くの整骨院の先生は事故の保険に強く、当院では弁護士・行政書士・警察OBとの連携もとらせて頂いております。
そういう整骨院は珍しくありませんので、お近くでもきっと見つかると思います。
交通事故のストレスを少しでも減らせるお手伝いが出来たら幸いです。