電気を気にせず涼しくなる方法
頭上でカンカンに照りつける太陽、陽炎が昇るほどに熱せられたアスファルト、ジリジリミーンミーンとうるさくがなり立てるセミの声…夏はとにかく暑っ苦しくて過ごしづらいものです。
近くに川なり海なりがあれば水遊びとしゃれ込めるのですが、都会ではそうもいきません。水遊びどころかコンクリートジャングルの中で仕事をこなしたり、勉学に励んだりしなければならないことさえあります。
場所を問わず、そして出来るだけ電気を使わずに涼を取るための方法を紹介します。
すだれ・よしずで遮光&断熱
日本ならではの涼を取る方法の一つがすだれ(簾)・よしず(葦簀)です。すだれ・よしずは、竹や葦の茎を乾燥させたものを編んで作った日本古来より伝わるナチュラル感あふれるカーテンです。
よしずは家の軒下に立てかけ、すだれは窓や戸口の上から垂らして使います。よしず・すだれを使うことによって外から中が覗きにくくなり日光を遮断してくれます。
そして、葦簀や簾は空気の層を作り、高温の外気から室内をシャットアウトしてくれるのです。
打ち水を効果的に打てば涼しくなる
桶と柄杓を持って、軒先にパシャッパシャッと水を撒く打ち水。土ぼこりを抑え、室内が汚れないようにするための習慣であり、夏場はまた別の意味を持ちます。
水が蒸発して気体になるとき、周辺から熱を奪っていく性質があります。これを「気化熱」と言います。打ち水は気化熱によって周辺の温度を下げる働きがあるのです。
しかし、ただやみくもに打ち水をしても涼しくなるわけではありません。気温が高くなっていない朝のうちや日が沈みかけた夕方に打つのが効果的です。日が高い日中に打ち水をすると逆に湿度が上がって蒸し暑く感じられてしまうのです。
気化熱を利用して涼む水うちわ
水の蒸発によって温度を下げる気化熱は、水さえあれば電気要らずで涼しくなることが出来る現象です。
この気化熱を利用して涼を取るための道具が水うちわです。
水うちわは普通のうちわと同じように竹製の骨に和紙をはりつけて作られていますが、普通のうちわと大きく違うのが、「水に付けて使う」という所です。
和紙に塗りこまれた天然のニスの働きによって、水に濡らしても破れないだけでなく仰ぐと気化熱の作用で涼しい風が吹いてくるのです。
霧吹き+扇風機で涼しくなるミストファン
そして、現代版水うちわと言えるのがミストファンです。
ミストファンは扇風機に霧吹きが付いた構造になっていて、霧吹きで粒子状の水を吹きかけた後扇風機が風を送り込み、気化熱と扇風機の風で急速冷却するという仕組みになっています。
ミストファンには電池式携帯用のものや家庭用電源式の据え置きタイプなどがありますが、節電を考えれば電池式が一番といえます。
水風呂で火照った体を冷やす
夏場がつらいのは、外気温に釣られて自分の体温も上がってしまっているということです。そのため、体温を下げようとして汗が滝のように流れ出るのですが、汗を掻けば掻くほど体感温度が増してさらに辛くなるという悪循環です。
どうしようもないほど暑い時は水風呂に浸かって体温を下げてしまうのが一番です。水風呂に入れば、体中の汗が落ちるし、温度差で毛穴が閉じて汗もぴたりと止まります。水道代が掛かってしまうのが難点ですが、効果は抜群です。
ハッカ油でクールに夏を乗り切る
メントール入りの飴や制汗スプレーはスーッとした清涼感をもたらしてくれます。この清涼感を利用すれば、冷房無しでも上手に夏を乗り切ることが可能です。
ハッカから抽出したハッカ油は、清涼感をもたらすメントールが主成分となっています。天然のハッカ油より化学合成されたメントールを使っているハッカ油の方が安く買い求められます。
ハッカ油をお風呂に数滴たらしてから入ると、スーッと体全体が涼しくなります。入れすぎると歯の根が合わないくらいに凍えてくるので注意しましょう。
また、ハッカ油をエタノールや精製水に混ぜたものをスプレーボトルに詰めると制汗スプレー兼虫よけスプレーとして使えます。