安部総裁の掲げる経済政策
FXで勝つためには経済を押さえなければいけません。
さらに付け加えるなら、経済が安定している方が好ましいように思えます。
自民党が圧勝した時は予想通りに「円安」に振れましたが、これは新政権に対するギフト効果。
このまま、「円安・株高」を維持するには、これからの経済政策に期待するしかありません。
そこで、選挙前に安部総裁が述べていた『金融緩和』と『内需拡大』について触れてみたいと思います。
安部総裁が考える『日本のインフレ化』
安部総裁の言う『無制限の金融緩和とは、市場に大量の日本円を流そう』という話。
簡単に言うと、『意図的にインフレの状況を起こそう』としています。
インフレは経済の危機?
『インフレは国家の信用を失い、経済にとってマイナスだ』という意見もありますが、それはハイパーインフレが起きた場合の事。
ハイパーインフレとは、1年間でインフレ率が100%を超えるような状態の事で、そうなると紙幣は紙切れとなって物価の値段が2倍や3倍に跳ね上がるという事になります。
社会の教科書で、大量の紙幣を抱えて途方に暮れている状態の写真が、このハイパーインフレの状態ですね。
しかし、15年近くもデフレが続いている日本でハイパーインフレを起こそうとしても、そう簡単に起きるようなものではありません。
安部総裁も、『インフレ率は2%』と明言しています。
この程度のインフレで、国家の信用が落ちるとは思えません。
日本はインフレで救われた国だった
安部総裁が意図的にインフレを起こそうとしているには理由があります。
それは1929年アメリカから発生した世界恐慌の影響を受け、1930年から1931年において日本に訪れた『昭和恐慌』の時の事です。
この時、当時の大蔵大臣『高橋是清』によるインフレ化(リフレーション政策)によって、たった2年で日本は世界恐慌から脱出し、世界で最も早く経済水準を取り戻しています。
その時のインフレ率が2%。
安部総裁には、この昭和恐慌からの脱出と、現在の状況を照らし合わせていると考えられます。
機能するかは日銀次第
ただし、この政策には日銀の協力が必要不可欠です。
その為、2013年4月に行われる日銀総選挙の時には、相場が大きく動く事が予想されます。
FXを行うなら、日銀の人事と、その発言には目を離せません。
経済対策の柱『内需拡大』
経済立て直しのもう一つの柱として期待されているのは公共事業の拡大です。
もともと自民党は公共事業を推し進める事で、地方経済の活性化を行ってきた政党。
今回も「国土強靱化計画」を掲げており、12月17日の東京証券では大手ゼネコン株が日経平均株価12.4%の上昇だったのに対し、約20%と大きく伸ばしています。
しかし自民党が衰退した理由もこの公共事業でした。
当時の民主党は、無駄な道路や必要のないダム建設を反対する事で自民党を切り崩していきました。
老朽化する日本のインフラ
ですが、今回は今までとは様子が違うように思えます。
その根拠となるのが12月2日の中央道・笹子トンネル崩落事故。
事故の原因とされているのが、『老朽化』によるもの。
日本のインフラの多くは1960年代から70年代──ちょうど東京オリンピックの高度経済成長期に作られたものです。
つまり、建設から50年近く経っている物が多く、その耐久年数は限界に近づいているという事です。
これら老朽化したインフラの補修や改修をしなければ、また何処で笹子トンネルのような事故が起きるか分かりません。
これらの事業費として、多くの生活に密着した公共事業が必要になると考えられないでしょうか。
また東日本大震災のからの復興も終わってはいません。
さすがにこの状況で、誰も利用しない道路や、天下り用の箱物を作るような無茶はしないでしょう。
FXは経済効果が表れる半年間が狙い目か?
これらの事案がピタリとはまれば、日本の経済は回復し、円安に向かう事も考えられます。
しかし、もし失敗するようなら、日本は「失われた20年」をもう一度繰り返すことになるでしょう。
そしておそらく、経済効果が見えてくるのは半年以上後になるのではないでしょうか。
FXは『噂で買い、結果で売る』ともいわれています。
つまり、打ち出される政策やちょっとした発言で、『この半年間「円」は大きく動く可能性がある』という事です。
この流れに乗り勝負をかけるか。
流れが見えるまで待つか。
FXを行うのなら慎重に見極める必要があるでしょう。