香りのアーティスト・調香師になるには?
私たちの生活を改めて見直してみれば、匂いは非常に大きな意味を持っているものです。
「鰻屋は匂いを食べさせる」というように、食べ物屋から強烈に美味しそうな匂いが漂って来たらお腹がすくし、冷蔵庫にしまってあった食材は匂いを嗅いで鮮度を確かめ、花屋ではどの花を買うかを匂いで決めたりします。
すれ違った人の良い香りに振り返ることもあるように、匂いを上手に使う事は商売や対人関係を優位に進めるための武器になります。
そうした武器となる匂い・香りを作り出すのが調香師という存在なのです。
匂いを再現できる調香師
調香師は香水や食べ物、洗剤などの生活用品などの匂いを調合することを業務とする職業です。香水や洗剤などの身に付けるものの匂いを調合する調香師は「パフューマー」、食べ物や歯磨き粉などの口に入るものの匂いを調合する調香師は「フレーバリスト」と呼んで区別しています。
調香師の特徴は何と言っても鼻の良さで、嗅いだ匂いを香料の組み合わせで再現する事さえ可能です。匂いの調合に使われる合成香料は500種類から3000種類ほどあり、一定の化学的知識も要求されます。香水の本場であるフランスでは、一流の調香師を尊敬の意味を込めて「鼻」という意味の言葉の「ネ」と呼んでいるのです。
調香師の仕事先は化粧品メーカーだけでなく食品メーカーやたばこメーカーなど多岐に渡ります。
調香師の資格を取るには
日本では調香師になるための公的資格はなく、民間資格で一般社団法人日本調香技術師検定協会が主催する調香技術師検定があるだけです。
年一回行われる検定では、香りに関する基本的知識を計る筆記試験と、実際に匂いを嗅いで分析する実技試験が行われます。
ただし、調香技術師検定を受けなくても調香師としての活動する事は出来ます。
調香師の勉強をするためには
調香師としての実力を身に付けるためには独学、もしくは調香師コースのある専門学校に通うことになります。人によっては調香師の本場であるフランスに留学して実力を身に付けることもあるようです。
調香師の勉強は、独学でも専門学校への通学でも留学でもとにかくお金が掛かるものです。独学であっても匂いの元である合成香料を買いそろえなければならないし、専門学校に通うにも留学するにも学費や滞在費が必要になります。
調香師としての就職先は狭き門
調香師と名乗れるだけの実力と資格を身に付けても、会社に就職する事は非常に難しいのが現状です。企業に勤めるためにはある程度の学力が必要になり、化学・薬学系の大学を卒業していないと厳しいようです。また、本場・フランスでもパフューマーの就職口は非常に少なく、倍率数百倍の狭き門となっているのです。
また、企業に勤めずにフリーランスの調香師として活動している人も多いのですが、フリーランスでの活動は営業力や経営力がないと務まらないため、鳴かず飛ばずで苦しんでいる調香師も多いようです。