精神的にウツ症状になると、やる気が起きない、身体がだるい、身体が動かない等、周囲からもわかる精神症状が起きますが、テキパキと行動し、精神症状が全く表に現れないうつ病もあるのです。
ウツ症状からくる、肩こりや頭痛、胃腸の乱れの体調不良を「隠れウツ」と呼びます。
この隠れウツは、ただの疲れや体調不良だと思い、病院に行く暇が無い人は、市販の内服薬で済ませる場合も多いと思います。
隠れウツだと知らずに、このような内服薬で体調不良を回復しようとしていたら、ウツがどんどんひどくなってしまいます。
隠れウツを知りましょう。
隠れウツ、優しいガンバリ屋さんは要注意
実は、明るい性格で優しいガンバリ屋さんに隠れウツになる人が多いのです。ようするに、体調の悪さは、がんばりすぎて、心身ともにストレスで限界に来ていることを身体が訴えているサインなのです。
「もう嫌だな」とか、「やりたくないな」と心の声が聞こえても、「ダメダメ!やらなくちゃ!気合で乗り切るぞー!」なんて感じのガンバリ屋さんが危ないのです。
また、「周囲に迷惑をかける」と他人を気遣う優しさもネックになって、弱音を吐けなくなっている人も要注意です。
「若い頃ならこれくらいヘッチャラだったはず……」と思うような30代以降の人も要注意です。
心はいつまでも若くても、身体は加齢とともに老化していっているのです。
それを考えずに、心の訴えを無視して気持ちで頑張っていると、身体が危険信号を出してしまう状態にまで進行してしまいます。
ストレスは、精神的なものばかりではなく、肉体的な辛さや痛みも身体的ストレスです。
つまり、身体の痛みが出る頃には、現実逃避していた精神的ストレスに加え、身体のストレスも加わりますので、ストレスが二重です。
この身体に出るウツ症状は、強制的に心身ともに休息をとらせようとしている脳の危険信号だと理解しましょう。
隠れウツの症状
ウツ症状からくる身体症状は、頭痛や胃腸、胸部圧迫感、消化器系の不調や更年期障害やメニエール病のような症状等、症状はさまざまです。
「集中力が欠ける」「やりたくないな」なんてネガティブな思考とともに、身体の痛みや婦長が続く場合、市販の薬を服用しても効果が現れず、内科に受診しても異常が無い場合、「隠れウツ」を疑ってみた方が良いでしょう。
隠れウツは、ウツ病の分類としては、軽症です。
ですから、心療内科に受診すると、投薬治療で嘘のように身体の不調が解消されことが多いんですよ。
ウツ治療は早期治療が早期完治のカギです。不眠を伴う原因不明な体調不良は、一度心療内科を受診してみることをお勧めします。
自律神経失調症やメニエール病や更年期障害は、それらの症状自体が隠れウツが原因の場合もあります。
反対に、自律神経失調症やメニエール病や更年期障害の二次症状として、ウツ病になってしまうこともあるのです。
内科でお薬を処方されても医師が言った期間で薬の効果が現れない場合は、「身体症状にウツ病が隠れているかもしれない」と疑って心療内科を受診してみましょう。
心療内科では、病気が原因の身体の不調なのか、ウツが原因の身体の不調なのか診断してくれますので、ウツでなかった場合は、診断された病気の専門医に受診しましょう。
和食!ウツ予防にはバランスの良い食生活が欠かせない!
脳内でのストレス解消は「幸せホルモン」が活躍!
体内で生成することのできない「セロトニン」という脳内物質があります。このセロトニン物質は、眠っているときは「メラトニン」という睡眠ホルモンに変身して活躍しています。
眠りから目が覚め瞼を開けると、睡眠ホルモンであるメラトニンは遮断され、今度はセロトニンへと変身して活躍する24時間フル稼働の脳内物質です。
さて、このセロトニンは、起きているときは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、
ストレスを感じると脳内から活発に分泌され、気分を心地良くする働きをしています。
しかし、ウツになるほど、ストレスを過剰に感じている場合は、起きている間にセロトニンを大量に消費してしまうことになりますので、夜になって睡眠ホルモンであるメラトニンに変身するセロトニンが不足している状態になってしまいます。
こうなると不眠が生じてしまいます。
人は眠るのに睡眠ホルモンは欠かせないからです。こうなると不眠が生じてしまいます。
先述したように、セロトニンは体内で生成することはできません。
そこで、過剰にセロトニンを消費してしまうほどストレス過剰な生活をしている人は、たくさんのセロトニンの原料となる栄養分を食事から補填しなければなりません。
和食を食べよう!「幸せホルモン」の原料はトリプトファン
では、トリプトファンが多く含まれる食材とは何でしょう?バナナやマンゴーといった果物の他、豆類、乳製品、ヒマワリの種、アーモンド、魚肉類、穀物等の炭水化物です。
でも、魚肉やチーズといった動物性たんぱく質よりも、豆類等植物性たんぱく質の方がセロトニンに合成されやすいようです。
この食材を見てみると、ご飯にお味噌汁、納豆、焼き魚、豆腐……・etc、といった和定食が思い浮かびませんか?
また、セロトニンの原料の栄養分とは、トリプトファンという必須アミノ酸です。
この必須アミノ酸はビタミンB6を一緒に摂取すると、体内で効率的にセロトニンに合成されます。
例えば、牛乳(セロトニン)やヨーグルトにハチミツ(ビタミンB6)を入れて飲むメニューなんて最適です。
牛乳はストレス防止のカルシウムも含まれていますから、寝る前にホットミルクを飲むと精神的にリラックスしやすいんですよ。
幸せホルモンの合成には原料だけでなくお手伝い成分が必須!
さらに、必須アミノ酸はトリプトファンだけ摂取するよりも、バランス良くその他必須アミノ酸やビタミンと一緒に摂取する方が、セロトニンの合成は一層効率的です。
何より、好き嫌いなく、バランスの良い食生活がセロトニン合成に効果的である栄養分を自然と摂取していることになります。
過激なダイエットや偏食は、ウツになりやすい体質を自ら作っているということを認識しておきましょう。
健康的でバランスの良い食生活が、ネガティブ思考を防止してウツになりにくい思考回路を作る手助けをしてくれるということですね。
体温低下はウツの大敵!筋力アップがウツ予防になる?
うつ病になると、体温の低下が見られます。冷えは、東洋医学では「気(エネルギー)」の低下に繋がります。
精神的だけでなく肉体的なエネルギーも一緒に低下している状態です。
西洋医学でも、体温の低下は免疫力の低下につながるといわれています。
うつ病の治療で一般的な治療法として、認知療法の他に、毎日決まった習慣をつけ、同じ時間に散歩や買い物やウォーキングを行うように義務化します。
義務化することで、筋力の低下を防ぐよう運動をする習慣をつけさせます。
筋力が低下すると体温も低下するので、体温維持のために適度な運動が必要なのです。
体力が弱っていると、精神がネガティブ思考になりやすくなってしまいます。 体温の上昇は、血流も良くしてくれます。
脳内の血流が五感でとらえた情報を分析して電気信号を送る働きをしていますので、血流が悪くなると、判断力も鈍り、ネガティブ思考になりやすいのです。
「体力が弱ると、ネガティブ思考(ウツ思考)に負ける」という説もあります。
適度な運動で体力があると、精神をコントロールする力も上昇し、ウツ思考になりにくくなるというわけです。
いかがでしたか?「体力が弱ると、ネガティブ思考(ウツ思考)に負ける」という説もあります。
隠れウツを含むと、自分がウツ病だと思っていなくても、実はうつ病だったという人は非常に多いそうです。
臨床現場でも、患者さんに「ウツ病」と診断するとショックを受ける方が非常に多のです。
でも、ウツ病は、世間でイメージされている「精神病」とは全く異なり、環境によって非常になりやすい病気です。
健康な人が過剰なストレスを与えられると、優しい人、真面目で努力家な人ほどなりやすいのです。心が風邪をひいたようなものです。
但し、年間自殺者の内、約90%もの人がウツ病の可能性があるともいわれています。
ウツ病は、重篤になると本人の意思とは関係なく、発作的に「死にたくなる」症状が現れます。
だから、隠れウツのような軽度のウツのうちに専門家に相談して、完治させましょう。
風邪だって放っておくと肺炎をこじらせて死んでしまいます。ウツも同じなのです。
もう一度言います。
ウツは心の過労による、風邪症状だと思いましょう。
アメリカでは、夫婦喧嘩でも精神的ストレスを受けたと気軽に精神科でカウンセリングを受けるそうですよ。日本人もアメリカを見習いたいものですね。
ウツは心の過労による、風邪症状だと思いましょう。
アメリカでは、夫婦喧嘩でも精神的ストレスを受けたと気軽に精神科でカウンセリングを受けるそうですよ。日本人もアメリカを見習いたいものですね。