増える転職者…看護業界の現状とは?
今、日本では転職をする看護師が年々増えています。過疎地などでは病院が閉鎖されているところなどもありますが、大きな総合病院や個人病院といった医療機関は数多くあり、転職先にも困りません。
ところで、なぜ転職していく看護師が多いのでしょうか?その理由をいくつか考えてみたいと思います。
1. 精神的にも肉体的にも重労働
『白衣の天使』という柔らかなイメージとは裏腹に、看護師の仕事は精神的にも肉体的にも重労働だと言われています。患者さんの病状も様々などで、一人ひとりに合わせた対応をしなければなりません。
また本来、夜勤は月に8回までと決められているのですが、規定通りになっている病院は少ないのが現状です。それどころか、月10回以上も夜勤している看護師が大勢います。
そんな過酷な状況から抜け出すために、転職を検討する人も少なくないのです。
2. 給料が安い
病院などの医療機関は、診療報酬のみで経営しているため、基本給が低く設定されているのです。激務なうえに安い給料では、いくら人の役に立てる仕事といっても、割に合いません。
モチベーションを高めて良い仕事をするためにも、納得いく額の給料をもらいたいものですね。あまりにも安い給料はモチベーションを下げるだけでなく、経済面にも影響します。
さらに地域や病院の種類(国立、都道府県立、私立)などによっても、平均基本給には差があります。
このような給料の安さも、看護師が転職する大きな理由の一つと言えるでしょう。
3. スキルアップ
就職して看護師になった。でも、より良い看護師になるために転職したい…そう考える人もいるのでは?
看護師の中には、パートとして働いている人もいます。その多くは1年ごとの契約更新で、1日の勤務時間も限られているため、経験できる症例も少ないです。勤務形態に多少の融通が利く分、現場でより多くの知識や技術を身に付ける機会が少ないという悩みも…。
今、自分がいる科に限らず、他の診療科目にも対応できるようになりたい。もし正社員になることができれば、研修などにも参加でき、スキルアップができる…そんな思いで、看護師の教育体制が整っている病院に転職するケースも少なくありません。
4. 職場の人間関係
職場の人間関係が退職理由になる場合が多いのは、看護師に限ったことではありませんが、その中でも看護師は病院のスタッフだけでなく、沢山の患者さんとも接しなければなりません。
仕事量も多く、変動が激しい…こういったことは、ストレスが溜まる原因になります。
良い人間関係が保たれている職場は、看護師さん一人ひとりの表情も明るく、患者さんにも良い影響を与えるでしょう。
また、スタッフ間のチームワークも良いため、医師からも患者さんからも厚い信頼を得られます。
5. 生活環境の変化
結婚や出産、子育てなど生活環境が変わったことで、転職を余儀なくされる人もいます。結婚を機に引っ越しをすることになったり、妊娠して夜間勤務が難しくなったり…。
さらには、育児との両立ができないケースも多々あります。
最近では、院内保育所を設置するなど、子育て中の看護師を支援する医療機関も増えてきていますし、“短時間正社員制度”といって、正社員でありながら短時間勤務OKという制度を設けているところもあります。
環境が変わっても、安心して働き続けられる職場を見つけたいものですね。