まずは確定申告のルールについておさらい
本題に入る前に、そもそも確定申告とは何か、そして、どんなルールがあるのか、ということについておさらいしましょう。
あなたが独立起業する前、サラリーマンだったとします。サラリーマン時代、基本的に税金周りのことは会社がやってくれました。
税法上、サラリーマンのように「会社から給料をもらって生活している人」のことを「給与所得者」と言います。
この給与所得者の税金(所得税)は、会社が給料から天引きして納めるのが基本だからです。「あ、でも年末になんかいろいろ書類を書いた気がするな・・・」と思いませんでしたか?そこもポイントです。
繰り返しになりますが、給与所得者の場合は会社が税金を計算して、一度まとめて納めてしまいます。
しかし、子どもが生まれた、病院にたくさんかかった、保険料を支払ったなどの理由で、結果として払わなくていい税金まで払うことになっていた、ということもありえます。そこで、年末調整と言われる手続きを行い、「本当は今年はいくら税金を払うべきだったのか」を確定させる必要があるのです。
どっちにしても、サラリーマンだったらほとんど会社がやってくれる、と考えておいていいでしょう。
では、ビジネスオーナー=個人事業主の場合はどうすればいいのでしょうか。基本的には「すべて自己責任」です。自分で1年のもうけ(所得)を計算し、それに見合った税金(所得税など)も計算して、最後に税金を納めなければいけないのです。この一連の手続きを「確定申告」といいます。
間に合わないと大変なことになります
さて、確定申告に間に合わないとどんなことが起こるのでしょうか。起こりうることを箇条書きにしてまとめてみました。
・青色申告をしていた場合、青色申告特別控除の額が減るので、修正申告を行わなければならない。
・場合によっては延滞税(遅れたことにより税金が加算される)を払わなければならない。
・還付金があった場合、減らされる。※0円になることもあります。
・何度も繰り返していると、青色申告自体ができなくなる可能性がある。
※青色申告は「期限内に提出すること」を前提に、税制上の優遇をしている制度であるから。
申告書を提出せず、延滞税を支払ったケース
・・・書いてみただけでも恐ろしいですね。では、税理士をしている友人から実際に聞いた話をケーススタディとして掲載します。
クライアントにオークションサイトでの転売のビジネスをしている人がいました。まだ始めたばかり、ということで、本業がとても忙しそうです。そんなクライアントが、1月頃になって「あのー、確定申告って何をすればいいんですか?オークションでも大規模に展開していれば申告が必要、と言われたんですけど、何から手を付けていいかわからなくて」と税理士のところを訪ねたそうです。
税理士はあわてて領収書や納品書の整理を行い、仕訳をソフトに入力して帳簿と税金の申告に必要な書類を揃えました。そして、「期限までにこれを税務署に出しておいてくださいね」と言い、一度その場で報酬を受けとりました。
しかし、話はまだ終わらなかったのです。
6月中旬頃、クライアントから税理士に電話が入りました。「あの・・・確定申告の書類出してなかったんですけど」という衝撃の告白です。
税理士は真っ青になり、「とりあえずお会いしてお話しましょう!」と言いました。
その結果、修正申告を行い、延滞税を支払うことになったそうです。「これからは申告書を出すのも私がやります」と税理士は提案したとか・・・。
書いているだけで背筋が寒くなってきました。「自分の確定申告も早めにやらなければ」と思わせてくれるケースです。つまり、確定申告の期限を過ぎてしまうと、いろいろなデメリットがある、ということです。
人に振ることはできないのか?
さて、ここまで読んできた方は「確定申告を期限内に終わらせないととんでもないことになる」ということをお分かりいただけたと思います。
でも、ビジネスを立ち上げたばかりで本業で忙しい人にとっては、「税金のことなんて自力でできない」と思っているかもしれません。では、一体どうすればいいのでしょうか?
いい方法があります。それはズバリ、「人に振る」ことです。自分でできないことは、人に(お金を払ってでも)頼めばいいのです。では、人に頼む場合のポイントはどんなことでしょうか。
方法その1:税理士に頼む
税金周りのことを頼める専門家、と言えば税理士です。
日本の税法では、「申告書の作成代行」をできるのは税理士だけ、と決められています。
そのため、確定申告を自分でやりきる自信がない人は、税理士にお願いしましょう。確定申告に必要な書類の作成から提出まで、全部やってくれます。少なくとも、税金周りに関してはプロです。これほどの安心感はありません。
個人事業主の確定申告に強い税理士の選び方
では、税理士はどうやって探せばいいのでしょうか。一番いいのは「知人からの紹介」です。もし、周囲にビジネスをやっている人がいて、その人が税理士を頼んでいるなら、紹介してもらうといいかもしれません。
信用できる、というのは一番のセールスポイントです。
では、残念ながらそういう人がいない、という場合はどうすればいいのでしょうか。
個人的には「個人事業主の人のためのサービス」を全面に打ち出している人を選ぶといいかもしれません。そういう税理士には若い人が多いので、最近のビジネスの動向をよくわかってくれることが多いです。
また、報酬も安いことが多いので、「ビジネス始めたばかりだからお金がない・・・」という場合でも、「これならなんとか」という費用で頼めます。
あと、税理士を頼むにあたって重視したいのは「人柄」です。いくらお金を払う側とはいえ、「こいつ、人間的に合いそうにない・・・」と思う税理士には仕事を発注しない方が賢明です。後々、トラブルに発展することだってあるのですから。
一度、じっくり話をして「この人なら信頼できそうだな」と思える人を選ぶようにしましょう。
税理士を頼むほどのお金がない!そんなときどうする?
そうはいっても、ビジネスを立ち上げたばかりはお金がかかるもの。しつこいようですが、それは動かせない事実です。
そのため、「税理士を頼むお金なんてないよ」という人もいるかもしれません。かといって、確定申告を何から何まで自分でやる時間も根性もない。そんな人はどうすればいいのでしょうか?
方法その2:経理アウトソーシングサービスを頼む
お勧めしたいのが、経理アウトソーシングサービスを頼むことです。昔の言葉で言えば「記帳代行」だけを頼む、ということですね。
領収書や請求書、納品書など必要な書類を渡せば、仕訳に起こして帳簿を付けるところまでやってくれます。税理士もこのようなサービスを行っています。これだと月々の費用をかなり安く抑えることができるので、検討してみる価値はあるかもしれません。
スキャナやアプリで読み込むだけで仕訳ができる!?
さらに最近は、こんなシステムまで登場しています。スマートフォンをお持ちの方も増えてきたと思いますが、たいてい、カメラ機能がついていますよね。
専用のアプリを使って経費の領収書を撮影し、データセンターに転送すれば、仕訳などのデータにして送り返してくれる、という夢のようなシステムがあるのです。
それがこの「STREAMED(ストリームド http://streamedup.com/)」。
領収書の量が多い場合は、専用のスキャナを導入し、それを使って画像データにし、転送すれば楽ちんです。スキャナで読み込ませる作業自体は難しいものではないので、家族に手伝ってもらってもいいでしょう。
このストリームドは、様々な会計ソフトに対応しています。会計ソフトと連動させれば、かなり効率的に帳簿や確定申告用の書類を作成することができるというメリットがあります。
料金はデータの量によって異なりますが、月2000円もあればだいぶ処理をすることができる(仕訳100件まで)ので、「お金をかけたくないけど、自分の事務処理量はできる限り減らしたい」人にはもってこいのサービスです。
何もかも自分で抱え込む必要はない
ビジネスを立ち上げたばかりのときは、まさに「右も左もわからない」状態です。そんな中で、自分で税金のことまでやるのは(人によっては)かなりの負担になるでしょう。しかし、負担になるからと言って避けて通れないのも事実です。
何度も言うように、「自分でできないことは人に頼めばいい」のです。