成長が早すぎるのは危険!?思春期早発症とは
小学校中学年頃から、男子は自分や友人、同級生の成長が気になってくるものです。
何しろ、女子は小学三年生くらいからグングンと背が伸びていくし、男子よりも力が強くなっていきます。
小学生でも「男としての沽券」があるので、女子よりも背が大きくならなければならないと強く思うようになるものです。
しかし、何事にも適した時期というものがあり、成長も時期より早すぎても遅すぎても良くないものです。
本来ならゆっくりと進むはずの成長が急速に行われていた場合、病気が疑われるのです。
第二次性徴が早まる思春期早発症
身体の成長は、男女ともある一定年齢に達する頃までは性別的な差は出てきません。一定年齢に達すると性ホルモンの分泌が始まり男らしい体つき、女らしい体つきに成長していくものです。
このような性別差を生じさせる成長を第二次性徴と言います。
第二次性徴には個人差はありますが、女性が10歳前後、男子が12歳前後から起こるものです。しかし、時として男子で9歳未満、女子で8歳未満という年齢で第二次性徴が起こる事があります。
それが「思春期早発症」です。
腫瘍が原因の中枢性思春期早発症
思春期早発症は、身体に何らかの異常が発生して性ホルモンの異常分泌が起こる事で発生します。
特にホルモン分泌に関わる脳下垂体に異常が起こって発生した思春期早発症を「中枢性思春期早発症」と言います。
中枢性思春期早発症の原因として大きいのは、脳下垂体に腫瘍が発生しているケースです。
腫瘍の発生によって脳下垂体の機能に異常が起こると性腺刺激ホルモンが分泌され、年齢に関係なく性ホルモンの分泌が促進されてしまうのです。
腫瘍が原因で中枢性思春期早発症が起こっている場合、腫瘍が視神経を圧迫してしまうケースや悪性腫瘍である疑いなど、成長面以外での影響があるのです。
様々な原因で起こる末梢性思春期早発症
性腺刺激ホルモンは、精巣や卵巣などの性ホルモンを分泌する器官である性腺の働きを活発にする作用があるホルモンですが、性腺刺激ホルモンが分泌されなくても性ホルモンの分泌が増えて思春期早発症を起こす事があります。
このような思春期早発症を「末梢性思春期早発症」と言います。
末梢性思春期早発症はホルモン分泌に関わる副腎や性腺の異常によって発生する事がほとんどですが、食事や薬の服用で性ホルモンやホルモン様物質を過剰摂取した場合にも起こります。
思春期早発症はチビの原因?
思春期早発症を起こすと、男子なら性器や陰毛の発達と声変わり、女子なら乳房のふくらみや初潮が早く表れるようになります。
要するに大人としての証拠と言える性差が周りよりも早く表れてくるという事ですが、それだけでは済まないのです。
第二次性徴が現れると、子供の頃は柔らかかった身体の骨がどんどん硬くなっていきます。
骨が完全に硬くなってしまうとそれに合わせて身長の伸びもストップしてしまうのです。
つまり、思春期早発症を起こすとその分だけ骨の成長も早まり、身長が伸びなくなってしまうのです。
思春期早発症を治すには
9歳未満の男子や8歳未満の女子に第二次性徴の兆候が見られる場合、思春期早発症を発症していると考えてよいでしょう。ただちに病院で検査を受ける必要があります。
思春期早発症では、腫瘍が発生している可能性が高いのでMRIなどで綿密な検査を行う必要があります。また、ホルモン分泌を調べるために血液検査・尿検査も必要になります。
腫瘍が発見された場合は切除手術や放射線治療を行い、性腺刺激ホルモンの分泌が過剰の場合はLH-RHアナログ注射を行います。