キャリアカウンセラーの需要と就職先
「キャリア」と聞くと「職務」に関することをイメージしますが、キャリアカウンセラーの活躍の場は一般企業やハローワーク、人材派遣会社などでの職業支援に留まらず、教育機関の中・高・大学で進路指導のコンサルティングも行います。
自身の適正や能力を見出すことが出来ずに就職や進路に悩む人たちや、企業内の人事担当者に指導をおこない、働く現場の中で従業員の可能性を見出すサポート力を高めることで、業績アップや労働環境の改善につながる人材育成などの手助けをおこないます。
「個人」と「組織」の橋渡し役ともいえる、重要な役目を持っているのがキャリアカウンセラーです。
キャリアカウンセラーに必要な資格
どのレベルを目指す場合でも、厚生労働省が定めたカリキュラムを養成講座で受講する必要があります。民間資格の標準レベルでも仕事の依頼をうけ収入につなげることも出来ますが、より高い信頼性と実績を身につけるために国家検定試験に挑戦する人が増えています。
厚生労働省が定めるレベル | 国/民間 | 資格名 |
---|---|---|
指導者レベル | 国家検定 | 国家技能検定1級キャリアコンサルティング技能士 |
熟練レベル | 国家技能検定2級キャリアコンサルティング技能士 | |
標準レベル | 民間資格 | 標準レベルキャリアコンサルタント |
民間資格受験条件
標準レベル キャリア・コンサルタント
厚生労働省で定められた養成モデルカリキュラムを受講すること。
以下、代表的な民間資格です。
- CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)資格認定試験
- 財団法人社会経済生産性本部認定キャリア・コンサルタント資格試験
- ICDS委員会認定ICDSキャリア・コンサルタント検定
国家検定受験条件
- 国家技能検定1級キャリアコンサルティング技能士
2級試験合格後、3年以上の実務経験があること。 - 国家技能検定2級キャリアコンサルティング技能士
「標準レベル」の民間資格を取得している場合は、3年以上の実務経験があること。
それ以外は5年以上の実務経験が必要。
キャリアカウンセラーになるために学ぶこと
以下、基本的なカリキュラムの概要であり、資格レベルに合わせた知識や技能を学びます。
- 心のメカニズム
- 組織内キャリア開発・教育
- コミュニケーションスキル
- 求職活動支援スキル
- 労働法規
- 最新のキャリア支援の理論と実践方法
- ロールプレイによる実技
学費
平均6か月間の受講で通信講座は平均20~30万円、通学講座で平均40~60万円。
なお、通信と通学の両方の受講を必要とする場合や、スクールによって独自のカリキュラムを設定している場合もあるため、学費は各スクールへの問い合わせが必要です。
キャリアカウンセラーに必要な資質とは
相談者にアドバイスをして、クライアントの道を切り拓いていくキャリアカウンセラーの仕事は華やかな印象を受けます。しかし、就職や進路、人事異動などの重要な局面に携わるため、安易なアドバイスは通用しません。
キャリアカウンセリングを行ううえで大切な資質は「知識と経験」です。難しい学科・実技試験と実務経験が重要視されている理由は、相談者に対して的確な導きとアドバイスをするには知識だけでも、経験だけでもダメであるということです。
キャリアカウンセラーの就職先と収入
資格を取得してキャリアコンサルティングの個人事業を立ち上げる場合、企業や職業支援機関等とのパイプを確保しておかなければ、仕事の依頼を受けることは難しいかもしれません。
しかし、資格を取得するために受講した養成機関から紹介によるバックアップを得ることは可能です。養成機関を選ぶときは、資格取得後にどのような支援が得られるのかを確認しておくことも大切でしょう。
派遣会社などの一般企業に正社員のキャリアカウンセラーとして採用された場合は、その企業が給料を決定します。大企業の人事部などに就職ができた人の中には、年収1000万円以上と高額な給与を手にしているケースもありますが、非常に稀なケースであるといえます。
事業を立ち上げてコンサルティングの依頼を受けた場合は、その依頼主との料金交渉によって決まりますが、NPO団体やハローワークからの受注が中心であれば高額な収入は見込めないのが現状です。
活躍の場をつくるのもスキル!
資格を取得するために時間もお金もかかり、人の役に立てる重要な仕事のわりにキャリアカウンセラーは、今の日本の現状では大きな収入に直結しにくいのが難点です。
しかし、数多くある資格やスキルも取得すれば必ずしも活躍の場が与えられる保障はなく、キャリアカウンセラーが他に比べてニーズを開拓し収入につなげることが困難なわけでもありません。冒頭でも述べたように需要は大変高いのです。いかに活躍の場を増やしていけるか、ということもスキルのひとつとして試されることでしょう