バーチャルオフィスを借りないと会社が作れない?
バーチャルオフィスを利用して会社を設立・運営する人は案外多いものです。何しろ賃貸とはいえ一流企業のように整った内装と、光回線など充実したインフラ、所在は一等地と理想的なオフィスが作れるからです。
しかし、一方で「清貧を旨として贅沢を避けるべし」という考え方に基づいて自宅で会社を設立し、バーチャルオフィスの利用に異議を唱える人もいます。
ではなぜ、バーチャルオフィスを使って会社を設立する人がいるのでしょうか?
職種によっては自宅で開業出来ないことも
バーチャルオフィスなどを利用し自宅以外の事務所を用意して会社開業を行う場合、「自宅兼事務所では開業できない」という理由が関わっていることがあります。
これは職種ごとには開業に必要な許認可の条件が定められている場合があるためです。例えば、不動産業では「自宅兼事務所での開業を認めない」、人材派遣業では「事務所面積が20平方メートル以上であること」というように、事務所の設置が許認可を左右する条件になっていることがあるのです。
このように、経費削減のために自宅兼事務所で開業を狙っている場合は許認可条件を事前に確認しておかないと骨折り損のくたびれ儲けに終わってしまうことがあるのです。
パブリックとプライベートの境目がなくなる
自宅を事務所兼用にして開業することは、余計な家賃を払わなくていいというメリット、事務所探しに時間を取られないというメリットがあるといえます。
しかし、自宅を会社の事務所として利用するということは自宅と会社の境目がなくなり、パブリックな時間とプライベートな時間の切り替えが出来なくなるということなのです。
例えば終業後や休業日に会社宛の電話が掛かってきたとします。しかし、自宅兼事務所なので迂闊に電話に出てしまうと休日返上で仕事を押し付けられる可能性があります。
また、会社待機=自宅待機なのでつい自宅にいるつもりで羽根を伸ばして仕事をサボってしまうこともありうるのです。
会社と自宅が一緒であることの不都合
自宅が事務所兼用であることの不都合は、電話応対だけに限りません。
自宅と会社事務所の住所が同じということは、会社に行けば社長の自宅に直接行くことになるということです。つまり、「恨みを持っている」などの理由で会社に危害を加えようとしている人にとっては好都合ということでもあるからです。
もしも開業した会社が販売業であった場合、特定商取引法に基づいて会社事務所の住所を公表する義務が生じます。つまり、自宅兼事務所で開業することには多くのリスクも伴ってしまうということなのです。
自宅兼用は手狭になりがち
自宅を事務所兼用にすることのデメリットには、「事務所を広く取れない」ということが言えます。そもそも自宅用の物件というのは単身者・子供なし夫婦・家族ありというように、居住者の人数に合わせて用意されているものです。
単身者用のワンルームマンションで事務所兼業にしているという人も少なくないのですが、自宅の家具+会社の設備で手狭になってしまい生活空間が確保できなくなってしまいます。
それに会社が長く続けば人も増えてくるので、自宅兼事務所では物理的に運営が難しくなっていくのです。
このように、不動産業でなくても会社運営を行う事務所は、ある程度の広さを確保しておかなければならなくなるのです。