
シャドーイングとは
『耳で聞いた英語を、そのまま続けて口に出す練習法』の事です。
ぴったりとくっついていく様子が、まるで影(shadow)を連想させる事からシャドーイングと呼ばれています。
具体的には
(お手本) The view from the hill is beautiful
(自分) The view from the hill is beautiful
と、少しずらして話すという感じになります。
シャドーイングの利点
この勉強法は現役の通訳が、英語の勉強を始めた時からずっと日常的に繰り返している方法ですが、そこにどのような利点があるのでしょう?
リスニングができるようになる
自分では聞き取れているつもりでも、いざ話そうと思うと口から出てこない事が良くあります。
シャドーイングでは、このズレを浮き彫りにしてくれますので、弱点対策として非常に効果的です。
またテキスト上では分からない「音の崩れ(単語と単語がつながった時の音)」を理解するにも有効な方法です。
ちなみに「音の崩れ」とは、「リエゾン」とか「リダクション」と呼ばれるものです。
(注:専門家がいうにはこの二つは別物らしいですが)
「want to がワナ」とか「What timeがワッタイム」と、音がつながっていたり、そもそも発音していなかったりすること事を指す用語ですね。
いくら勉強してもネイティブの話が全く分からないという、日本人が英会話につまずく大きな原因の一つです。
発音が良くなる
シャドーイングの基本は、聞こえた音をそのまま話す事。
これを丁寧に繰り返す事で、自分の癖ですとかジャパニーズイングリッシュの解消になります。
口の筋トレになる
英語では日本語で使わない発音方法があります。
その為、英語独特の発音をする口の筋肉は鍛えられていません。
英語の発音に慣れていない時は、ついつい楽をしようとして、それが癖になり悪い発音へとつながっていきます。
聞こえた音をそのまま繰り返すシャドーイングでは、楽をする事が出来ない為に口周りの筋肉を効果的に鍛えることが出来ます。
最初は5分で頬の筋肉がつりそうになっていた人でも、続けているうちに1時間話しても疲れが気にならなくなるほど効果的なんだそうです
表現力が上がる
ただテキストを読み上げる勉強では単語を正確に発音する事に意識が向いてしまい、区切りも抑揚もない平坦な、いうなれば棒読みになってしまいます。
しかしこれでは、英会話とは言えないでしょう。
シャドーイングは耳で聞こえたことを、そのまま口に出す練習方法です。
当然、「そのまま」の中には区切りやイントネーションも含まれます。
繰り返し練習する中で、表現力も自然と身についていきます。
練習場所を選ばない
シャドーイングに必要なのは、お手本となる音声を再生する機器だけです。
携帯プレイヤーさえあれば、移動中だろうとトイレの中であろうと場所を選ばずに練習が可能です。
実際に言葉に出さなくても、口を動かすだけでも効果はあります。
シャドーイングの実践法
実践法はたった一つだけ。
『良く聞いて、聞いたままをくりかえす』というこれだけです。
とはいえ、慣れていくうちに陥りやすい注意点がありますので、それも合わせてご紹介します。
注意点1:暗唱できるようなら別の教材に移る
「暗唱できる=完璧に覚えた」では無いという事に注意してください。
シャドーイングの最重要ポイントは英語を良く聞く事にあります。
暗唱できるようになってしまうと、その聞く事がついついおろそかになってしまいがちです。
そんな時は、気分を変えるためにも、新しい教材を用意しましょう。
注意点2:聞こえたままを、聞こえたままに発音する
シャドーイングには自分の癖や、しみついてしまったジャパニーズイングリッシュを矯正するという目的があります。
そこを無視して自分なりの発音をしてしまうと、上達はありえません。
注意点3:意味の分かる文章で練習する
内容も分からない文章の発音だけを耳コピしても意味はありません。
理由は簡単、その文章をいつどこで使っていいか分からないからです。
シャドーイングは英会話をするための練習方法です。
たんに口のトレーニングではありません。
翻訳できない文章や単語に出会ったら、まずは意味を調べる癖をつけましょう。
注意点4:あきらめない
これが一番難しい気がしますね。
残念ながら、ある日突然に英語が話せるようになるといった夢物語はおこりません。
上達には毎日の地道な努力が必要です。
挫折しない為には「通訳になりたい」ですとか「一人で海外旅行に行きたい」といった明確な目標があるといいでしょう。
また挫折する理由の多くは、自分がどの程度上達したか分からない事にあります。
さんざん勉強しても成果がないと感じた時、人のモチベーションは一気に下がってしまします
。
それを防ぐために、自分の声を吹き込んでみるというのはいかかでしょうか。
昨日はつっかえてばかりだったのが、今日は少し声も大きくましになっていた等、自分では分からない成長を確認する事が出来ます。
また自分の声を客観的に聞く事で、自分の発音が本当にお手本通りかの確認にもなります。
さらに他人を巻き込むのも非常に効果的です。
英語の勉強は独学でできます。
しかし発表には聞いてくれる人が必要です。
気の合う友達でもいいでしょうし、英語スクールに通うのも手でしょう。
またネットの世界には英語を勉強している人がたくさんいます。
そういった方々とコミュニケーションをとるのはいい刺激になってくれます。
