他人のプライバシーは気にしないSNS
2003年の個人情報保護法の施行を境にして、プライバシーの問題は企業だけではなく個人にまで浸透。
自分の住所や名前の取り扱いには慎重になる人が増えています。
しかし、その一方で他人のプライバシーには、驚くほどに関心を払っていない事が分かりました。
勝手な写真掲載を9割が不快
2012年、ウイルスバスターで知られるトレンドマイクロの調査によると、『Facebookへの勝手な写真公開を不快に感じる』と答えた割合は90.6%。
その中でも『非常に不快だ』と答えたのは、46.9%と、勝手な掲載を不快に感じる人の半数以上は、『許せない』と感じている事が分かります。
それでも、写真は確認しないでアップする
それに対して、自分が写真を公開する時、他人に気を使っている人は多くありません。
まず「友人が写っている写真の公開に対して気を付けているか」という質問に対して、『特に気にしない』という答えは19.6%。
これだけでも、十分に多い数値ですが、『友人・知人がFacebookユーザーなら気にしない』が17.7%もあり、合わせれば、37.3%。
全体の約4割が『写真に友人が写っていても、投稿には気を使っていない』事が分かりました。
文字情報も立派なプライバシー
しかし、これはあくまで『写真投稿』に限った話です。文字情報を含めれば、さらに数字は上げるでしょう。
例えばTwitterで「(友人)と新宿でご飯を食べています」というツイートをしたことはありませんか?
このつぶやきも、「いつ」「どこで」「誰と」「誰が」「何をしている」という、立派なプライバシーの流出と考える事も出来ます。
付き合っている事を隠している二人の芸能人が、「同じ時間に同じ内容のツイートをした事で交際が発覚」というケースも珍しくありません。
『友人としか登録していないから大丈夫』は大きな間違い!
SNSのトラブル対策として、『リアルの友人しか登録していない』という人も多いと思います。
「自分のタイムラインを見ているのは信用できる人だけ」という安心感からか、前述のように写真を無断で投稿したり、非常にプライベートな内容を書き込むことが出来るのでしょう。
しかし、この行為に安全な根拠など、何一つとしてありません。
投稿内容は世界中の誰でも見ることが出来る!
『自分の投稿をみるのは友人だけ』という前提が、そもそも間違っています。
投稿内容は、登録している友人でなくても閲覧するのは可能です。そもそもアカウントを持っていない人でさえ閲覧するだけなら簡単にできるでしょう。
『友人としかつながっていない』というのは、ただの思い込みにすぎません。
Twitterで犯罪行為を自慢した事をきっかけに、『名前や住所、電話番号、所属している学校や勤め先まで特定され、さらには写真までネット上に公開される』という話を聞いた事はありませんか?
社会的な制裁の是非は置いておいて、現実の友人が、友達を破滅に追い込むような個人情報をネットに投稿するとは思えません。
友達に引かれないSNSの基礎マナー
不特定多数の人間に閲覧されるとはいえ、情報を発信するのは自分です。
SNSへの意識を変え、投稿前に内容をチェックする事で、ネット上のプライバシーの多くを守る事ができるでしょう。
(1)プライベートな発言も知らない人に見られている
例え親しい人だけのコミュニティでも、発言内容や写真を見る事は、誰にでも簡単にできてしまいます。
誰かの個人情報はもちろん、取引先の名前や、仕事に関わる事も発言は控えるべきです。
(2)書き込んだ内容を読み直す
感情に任せてネガティブな発言を行うと、それを受け取った人はもちろん、読み返した本人も恥ずかしくなるような投稿を行う事があるでしょう。
少し時間をおいて読み直すと、冷静になれます。
(3)友人や知人に関する事は、投稿前に確認する。
友人と遊びに行った時の感動は、写真と共に共有したいと思う事でしょう。
しかしその写真がどれほど素晴らしい物であっても、友人の了解を得ずにアップロードするのはトラブルの元。
勝手に公開せず確認を取るか。それができないなら一旦、投稿を諦めましょう。
それは写真に限らず、文字情報だけでも同じ事です。
「友人と遊びに行った事を投稿したら、その友人はその日仮病で会社を休んでいて、上司にバレて気まずい」という事がおきているかもしれません。
どうしてもという時は、友人の名前や存在を隠したままで、ツイートするのが良いでしょう。
(4)複数アカウントがある人は、まめなログアウトを心掛ける
企業の公式キャラクターが、キャラにそぐわない“中の人”の発言をしてしまう事が少なくありません。
これは、アカウントを管理できていない事が原因で起きた悲劇です。
特に、プライベートとビジネス用など、1人で複数のアカウントを使い分けている人にも起きるこのミス。
使用しない時はログアウトする癖をつけるだけで防ぐ事ができるでしょう。
生活とは切り離せないSNSとの付き合い方
『SNS恐怖症』や『SNS疲れ』といった言葉まで作られる程に、生活に密着しているソーシャルネットワークサービス。
東日本大震災の時、回線がつながらない電話に変わり、コミュニケーションツールとしてTwitterが有効だったことは有名です。
スマートフォンの普及により、SNSはより手軽で身近なものとなり、さらに多くの人が利用するようになっていくでしょう。
それだけにプライバシーの扱いには、一層の注意が必要になっていきます。