大人の疑問に答える矯正歯科の基礎知識
歯並びを治すのが矯正歯科のお仕事。
しかし実際の治療方法や料金などは意外と知られておりません。
そこで、まずは矯正歯科の気になる疑問を調べてみました。
矯正歯科って何?
矯正歯科、もしくは歯列矯正と呼ばれます。
器具を用いて歯を正しい位置に移動させ、噛み合わせや顎の変形を治療する方法です。
どうして矯正が必要なの?
理由は大きく「見た目の問題」「機能的な問題」「健康被害」の3つがあげられます。
見た目の問題
いわゆる出っ歯、すきっ歯、乱杭歯が問題にされます。
顎が正常に発達しないので顔の左右のバランスが悪くなります。
出っ歯などは言うに及ばず、すきっ歯や乱杭歯を気にするあまり口をあけて笑えないという人はたくさんいます。
機能的な問題
キレイな発音ができません。
学生の頃、英語の授業で舌の動きを勉強したことはありませんか?
私たちは声帯を震わせて声にしていますが、キレイな発音の為には空気の抜けない隙間のない歯並びと舌の動きが重要になります。
うまく咀嚼が出来ない。
前歯に問題がある場合、まず食べ物を噛みきることが出来ません。
次に奥歯の噛み合わせが悪いと、食べ物をすりつぶす事が出来なく、食べ物をよく噛まずに丸呑みにしてしまう傾向にあります。
それは次の健康被害にも関係してきます。
体に力が入りにくい
人は力を込めるとき、歯を食いしばります。
この為、スポーツ選手には矯正歯科を受ける方が多いようです。
歯並びが悪いと、この食いしばりがうまくいきません。
健康被害
食べ物を丸呑みするので、内臓に負担がかかる。
特に消化吸収を請け負う胃と腸には大きな負担がかかります。
顎関節症になりやすい。
顎への大きな負担からくる病気です。
顎周辺の関節が痛んだり、口を開けにくくなるといった症状が出ます。
虫歯のリスクが増える
歯磨きの時にどうしても磨きにくい場所が出てしまいます。
その部分に歯垢が溜まり虫歯へと発展します。
頭痛や肩こり、腰痛に悩まされる
噛み合わせの悪さは全身のバランスを崩していきます。
体は崩れたバランスを治そうと、知らず知らずに不自然な力をかけてしましい、肩こりや腰痛の原因となってしまいます。
大人になってからでもできるの?
矯正に年齢は関係ありません。
注意すべきは虫歯や歯周病の有無と顎の状態です。
虫歯などがある場合は、まずその治療から始める事になりますし、著しく顎の状態が悪い時は骨を削る、切るといった外科手術が必要になる場合もあります。
お高いんでしょう?
はい。高いです。
しかも残念ながら、矯正歯科は保険適応外です。
治療方法や治療期間によって変わってきますが、だいたい50万円~100万円は覚悟しましょう。
支払方法に関しては病院によって違いますが、最近ではローンを組める病院も増えてきています。
治療期間はどれくらい?
大人の場合では平均して2年といったところでしょう。
しかし治療途中で虫歯などになってしまった場合は、矯正を中止し虫歯治療を優先するため、治療期間が延びる事があります。
…痛い?
個人差があるとしか言えません。
まったく痛みを感じなかったという例もあります。
「歯を抜く時」は特に痛みを感じやすいでしょう。
その時は麻酔や笑気ガスを使用します。
「歯と歯の間を広げる時」に痛みを訴える方もいます。
「矯正装置による痛み」もあります。
多くは歯が浮いているような違和感を感じるようです。
「矯正装置を外す時」が最後でしょうか。
矯正装置は接着剤を使って固定しますので、それをはがす際に痛みを感じる方もいます。
後悔しない矯正歯科医の選び方
実際に歯の矯正を受けたいと考えた場合、どうやって病院を選べばよいのでしょうか?
まずは情報収集です。
矯正は歯科医師免許さえ持っていれば誰でも行えます。
たとえ矯正歯科の看板を掲げていても得意かどうかは分かりません。
インターネットを使えば簡単に情報を集める事が出来ます。
ポイントとしては学会から認定医としての資格を受けているか。
過去の治療例や年間の治療者数も参考になるでしょう。
当然、口コミも有効な情報源となります。
また、かかりつけの歯科医から紹介してもらうのも良いかもしれません。
そして最終的には複数の病院に足を運び、実際に相談して治療法や費用を比べるとよいでしょう。
一度矯正を始めると、年単位のお付き合いになるのですから、病院選びは慎重に。
大人の為の見えない矯正方法
子供のうちならまだしも、大人になってから矯正具を付けるのには抵抗があります。
そういった要望に応える「見えない矯正方法」は進歩してきました。
代表的なものをいくつかご紹介します。
ブランケット式
金属の装置を取り付けワイヤーで引っ張るもっと一般的な方法です。 通常はどうしても目立つこの金属の装置をセラミックや透明なプラスチックを使用する事で目立たなくしています。同時にワイヤーもゴールドや白い色の物を用いる事で違和感を無くします。
リンガル矯正方法
歯の裏側(舌側)に矯正具を付ける方法です。
矯正具は口の中になりますので、外から見える事はありません。
ただし治療費が高額になる事と、しゃべりにくさ、違和感がどうしても付きまとってしまいます。
マウスピース矯正方法
透明なマウスピースを使用して歯の矯正を行う方法です。
最大のメリットは取り外しが可能という事。
食事の時やどうしても気になる場合に簡単に外せるのは大きなメリットです。
また、手入れが簡単な事から虫歯になりにくいという点も無視できません。
一方で一日に最低20時間は付けておかないと効果がなく、再調整が必要になる場合があるという事。
矯正力が弱く、結局はブランケット式と併用する場合がある事。
軽度の噛み合わせ程度しか矯正できない事があげられます。
矯正歯科はあせらない事
歯の矯正には多額のお金と時間を必要とします。
しかし綺麗な歯並びにはそれだけの価値があるもの事実でしょう。
矯正歯科を失敗しない為には、病院選びの段階からあせらずじっくりと事を構える心構えが必要です。