JTA公認翻訳専門職資格試験とは
JTA(日本翻訳協会)が認定する翻訳の民間資格。 以前は旧労働省の認定資格だった『翻訳技能認定試験』を、2008年に翻訳の実務内容に合わせた形で改良されたのが『JTA公認翻訳専門職資格試験』です。
受験内容
試験科目は『翻訳文法技能試験』『翻訳IT技能試験』『翻訳専門技能試験』『翻訳マネジメント技能試験』の4科目。 また、『翻訳専門技能試験』は「フィクション」「ノンフィクション」「IR・金融」「リーガル」「医学・薬学」「IT関連の特許」の6種類から、1つの分野を選んで受験する事になります。
それぞれの科目ごとに合否があり、全てを合格して、初めて資格認定となります。
合格した科目の有効期間は5年間。 1科目ずつ受験するか、1日で4科目受験するかは受験者の自由となっています。
また、試験は全て自宅のパソコンを使用した在宅試験となっています。
JTAの『翻訳の実務』にとは
JTA(日本翻訳協会)が、試験をリニューアルした背景には、『試験をより実務的なレベルにする』という目的がありました。 では、JTAの考える翻訳の実務とは、どのようなものでしょうか?
翻訳者に必要な5つの能力
- 時間管理や倫理の遵守といった『自己啓発』
- 情報のリサーチやデーベースの構築といった『専門知識』
- 英語の構成やテクニカルライティングといった『語学能力』
- ネットや支援ツールを効果的に使える『ITの活用能力』
- プロジェクト管理、マーケティング、人脈の開拓といった『ビジネス実務能力』
翻訳を行う上で高い『語学能力』が求められるのは当然でしょう。 そこへ、正確な翻訳を行う上で欠かせない『専門知識』と、情報収集の為の『ITの活用』。 さらに、『自己啓発』『ビジネス実務能力』は、ビジネス全般に共通して必要な能力と言えるでしょう。
試験に自宅のPCを使い、実際と同じ翻訳業務の環境にする事や、翻訳とは直接関係のないマネジメントが試験科目に含まれているのも、この為でしょう。
JTA公認翻訳専門職資格試験は、難関試験の1つ
正確な数値は発表されていませんが、合格率5%と数ある試験の中でも高難易度の試験。 しかも試験に合格してから、2年以上の実務経験を積まなければ『JTA公認翻訳専門職』として認定されません。
JTA公認翻訳専門職資格試験は、ただ翻訳能力を測定するのではなく、資格取得の段階からビジネスとして働く事を前提とした翻訳資格と言えるでしょう。
合格率は低く、難関な資格です。 しかし翻訳の仕事につきたい人には無視できない資格ではないでしょうか。