今から狙っても結果を出せない資格?通訳技能検定
日本国内で受験できる国家資格・公的資格・民間資格の総数は3000種類を超えるといわれています。しかし、この3000種類以上の資格はずっと同じというわけではありません。要請に応えて新設される資格もあれば、時流に合わせて廃止・統廃合される資格もあり、そして運営が倒産するなどで休止状態に陥る資格もあるのです。
かつて必須の資格と言われた通訳技能検定やボランティア通訳技能検定も、休止状態に陥った資格の一つなのです。
通訳技能検定はどんな資格だったのか
かつて存在した通訳技能検定、通称・通検は日本通訳協会が実施する各方面で活躍する通訳として十分な実力があるかどうかを判定するための資格試験でした。試験は年二回行われ、1級・2級試験が行われ、1級三次試験でAランクで不合格になると準1級、2級試験でAランクで不合格になると準2級に認定されます。
通検1級・2級の取得者は日本通訳協会によってプロの通訳としての実力があるとみなされ、通訳士としての活動をサポートされていました。
各国との交流を助けるボランティア通訳技能検定
通訳技能検定と同じく、通訳としての実力を計るための試験が「ボランティア通訳技能検定」、通称・V通検です。V通検も通研と同じく日本通訳協会によって主催されていた資格試験です。
V通検は国際交流や地域活動などの場で、ボランティア通訳として活動できる技量があるかを認定することを目的として1996年から実施されていました。
なぜ通検・V通検はなくなった?
通検およびV通検は、2008年の春季試験を最後に実施されていません。主催団体である日本通訳協会が2008年の秋季試験直前に検定試験の中止を発表し、12月に全業務の停止・事務所の閉鎖を発表しているのです。
そもそも、日本通訳協会は他の検定団体と違って社団法人ではなく株式会社制を取っていた団体で、主な事業が通検・V通検の試験となっていました。少なくとも2008年春までの時点では経営破たんに追い込まれるほどの負債はなかったものと思われます。
しかし、この2008年という年は先年のサブプライムローン問題から続くリーマン・ショックによる不況、いわゆる世界同時不況に見舞われていた年でもあります。多くの金融機関が融資の方向転換を余儀なくされ、多くの中小企業が煽りをくらって相次いで倒産していったことは記憶に新しい所です。
通検・V通検の代わりになる資格はあるの?
このように、どんなに実績と信頼を積み重ねていた資格であっても主催団体が活動停止してしまうと試験を受けることはできなくなりますし、資格取得者が活動することも難しくなってしまうのです。
通検・V通検は民間資格ながら実績がある資格なので、後継となる資格の準備が急務となっていました。そして現在、通検・V通検の代わりになる資格となっているのが「TOFIL(Test of Interpreting Foreign Languages) 」外国語通訳検定試験(外通検)なのです。