野菜育ての肝は、原産地をイメージすることから
さあ、菜園を始めるぞ!と本を片手に、水やり、日当たり、土についての勉強をしたものの、どうもピンとこない、という菜園ビギナーのみなさん!それは「木をみて森を見ず」のせいかもしれません。彼らの原産地の環境をイメージすることで、より最適な栽培のコツを習得することができますよ。
南米アンデス山脈生まれのトマト
サラダに、煮込み料理にと、私たちの食卓で大活躍のトマト。彼らの産まれ故郷は南米アンデス山脈の高地です。この場所は標高6000メートルの山岳地帯。昼夜の気温差が大きく、日がよくあたり、その痩せた土地には雨もほとんど降りません。こうした一見過酷とも思える環境で育つトマトは、以下のことに気をつけて栽培するとよいでしょう。
- 雨が直接あたらないようにします
- できるだけ日あたりの良い場所に置きます
- 土は過湿に注意
原産地でのトマトは、霧に含まれる水分を葉や茎を覆う細かい毛から吸収します。そんなトマトは根から、葉から、茎から、と水分を吸収してしまうので、雨を当ててしまうと育ちすぎ、葉ばかりが茂る、水分を含みすぎて果皮が裂けやすくなる、糖度が高くならない、などの弊害が出てしまいます。本来は降雨を喜ぶトマトですが、美味しい実をつけてもらうために、雨をよけて育てましょう。
原産地では日をいっぱい浴びているトマト。できるだけ日にあててあげるようにしましょう。
トマトは乾燥した環境で育ちます。水のやりすぎに注意しましょう。水はけのよい土を使い、乾燥したら水をやります。
ナスはインド産まれ
前述のトマトとは違い、暑さに強く乾燥を嫌うナスはインド原産だといわれています。この地は高温多湿な空気をもたらすモンスーンの影響をうけた熱帯で、広葉樹林の落葉がその土壌に栄養を与えています。そんな環境で育つナスは以下に気をつけて育てましょう。
- 気温高めが好みです
- 土を乾燥させないようにしましょう
- 肥料を好みます
インド原産のナスは高温で育つので、寒さの残る早い時期に植えるのを避け、日がよく当たる場所に置きます。
ナスは乾燥を嫌います。土の表面が乾いたらすぐに水をやりましょう。保湿性のある土を使うとよいでしょう。
実をつけるようになったら追肥をしましょう。株に勢いを保つことで、比較的長い期間収穫をのぞむことができます。
きゅうりの原産地はインドのヒマラヤ山麓
きゅうりの原産地はヒマラヤ山麓です。乾燥を嫌うのはナスと同じですが、ヒマラヤ山麓の涼しい気候の中で育ったきゅうりは比較的暑さに弱いので、収穫は初夏をめざしましょう。みずみずしいきゅうりは、水の管理が栽培の肝です。以下に気をつけて育てましょう。
- 日によくあてましょう
- とにかく風に弱い!
- 根は地を這うように広がります
- 水やりは夕方に
日光を好むので、日のあたる場所に置きます。ただし、アスファルトなどの照り返しがある場所では葉が日に焼けてしまうことがあるので、日が照り返さないようゴザなどを敷いてあげます
きゅうりは極端に風に弱いので、強風が当たらない場所に置きます。そうはいっても風は吹きますので、支柱を立てて茎をしっかり安定させてあげましょう。
きゅうりはウリ科。根は、地を這うように広く浅く張る特徴があり、土が乾燥すると根がすぐにダメージを受けてしまいます。水切れに注意し、夏場などは土に敷き藁を敷くなどして乾燥対策をしてあげましょう。
きゅうりが太るのは夜です。実がつきはじめたら水やりは夕方に行い、成長する夜にたっぷりと水分がいきわたるようにします。この時期に水分が不足すると実が曲がってしまうことがあります。
熱帯育ちのピーマン
ピーマンの原産地は中南米の熱帯地域。平均気温が18度を下回ることがほとんどないこの地で育つピーマンは、暑さに強く、寒さに弱いという特徴があります。よって苗の植え付けは気温が上がってから行うのがコツです。以下に気をつけて栽培してください
- 水や肥料を好みます
- 過湿も乾燥も嫌いです!
- 葉からは水分を吸収しません
- ドロはねに注意
水や肥料を多めに与えると、多くの実をつけてくれます。
過湿を嫌うのに乾燥にも弱いので水やりが難しそうですが、水はけのよい土を使い、水は土の表面が乾いたら与える、というイメージでOKです。回数を増やすより、1度の水やりはたっぷりと、がポイントです。
ピーマンはトマトとは違い、葉や茎から水分を吸収することがありません。雨を嫌いますので、雨にあてないようにしましょう。
ドロのはね返りなどで病気になることがあるので、根の上に敷き藁を敷くとよいでしょう。
出典:
「育つ土」を作る 家庭菜園の科学 木嶋利男
おいしいベランダ野菜 小島理恵
菜園生活パーフェクトブック 藤岡成介
ベランダ菜園スタートBOOK 平野編集制作事務所