菜園を襲うのは誰だ!私たちの想像を超える病害虫の実態とは|トピックスファロー

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2016年9月1日
菜園を襲うのは誰だ!私たちの想像を超える病害虫の実態とは

前回、前々回のコラムでは、野菜を襲う病害虫の被害を予防するための対策をお伝えしました。今回は、野菜をとりまく病害虫の実態と対策です!

フリーライター
  

私たちが生育環境や施肥、水やりなどに気をつけ、日ごろの観察を怠らずに野菜を育てていても、病気や害虫の被害を完全に防ぐことはできません。加えて、菜園ビギナーさんが野菜の異変を正確に判断、対処するのはとても難しいのです。

というのも、病気には細菌由来のものからウィルス由来、カビ由来のものが存在し、害虫には汁を吸うものと食害を起こすものがあり、病気だと思っていた野菜が生育不良であったあり・・・。と、野菜における病害虫被害の実態は、私たちの想像をはるかに超える難解な世界を形成しているからです。では実際に、野菜はどのような脅威にさらされているのでしょうか。 病害虫に悩む主婦

原因はひとつじゃない!野菜に病気をもたらす犯人とは

野菜の病気は、多種多様なウィルス、細菌、カビによって引きおこされています。似て非なる彼らの特徴は、どのようなものなのでしょうか。

最も小さく、最も恐ろしい寄生者、ウィルス

野菜の病原体はいずれも目に見えないほど小さいものですが、中でもウィルスは最も小さく、DNAをタンパク質で包んだだけの構造です。彼らはその小さな体を生物の細胞に寄生させることが唯一の生きる手段であり、寄生されたら最後、治療とよべるものはありません。病気になってしまった株は直ちに抜き取り、その広がりを抑えます。なお、ウィルスはアブラムシなどの虫が媒介することで野菜に入り込みますので、彼らを退治することのできる薬剤を散布します。 病原菌のイラスト

ウィルスを媒介するもの

  • アブラムシ類やアザミウマ類、コナジラミなどの吸汁害虫
  • ダニ類、ウリハムシ、センチュウ、菌類など
  • ウィルスを原因とした病気

  • モザイク病・黄化えそ病・黄化病・黄化葉巻病・萎縮病など
  • ウィルスの対処法

  • 吸汁害虫の薬剤による駆除や物理的防除
  • 管理作業用具の消毒(感染防止のため)
  • ウィルスに侵された株の抜き取り
  • ジメジメとした環境を好み、土に潜む細菌

    細菌はウィルスより大きく、またウィルスとは違い、生物の細胞に寄生せずとも自己増殖することができます。水はけの悪いジメジメとした土中などで残留、増殖し(環境については例外あり)、野菜に入り込みます。「連作が病気を引きおこす」のはこのためです。細菌に対しては殺菌剤が市販されているので、病気の種類や育てている野菜に対応した商品を散布します。 葉っぱの写真

    細菌の感染経路

  • 土中に残った細菌などが野菜に入り込む
  • 泥はねによって土中の細菌が野菜に感染するなど
  • 細菌を原因とした病気

  • 軟腐病・青枯病・斑点性の病気(斑点細菌病、黒斑細菌病、腐敗病、葉枯細菌病など)、そうか病など
  • 細菌による病気への対処法

  • 連作を避ける
  • 土の水はけをよくする
  • 市販の殺菌剤を利用する
  • 病気の部位や株を取り除く
  • マルチングをする
  • 病気の原因ナンバーワン!カビ

    ウィルスや細菌が単体で存在、増殖するのに対し、カビは連なる細胞を成長、分岐させながら発育します。空気や水の中に存在し、風や泥はねなどによって野菜に害をもたらします。野菜の病気の7~8割がこのカビによるもので、代表的なものにうどんこ病があります。 葉っぱの写真

    カビの感染経路

  • 空気中のカビが風によって野菜に運ばれる
  • 水中や土中のカビが泥はねなどによって野菜に入り込むなど
  • カビを原因とした病気

  • うどんこ病・ベト病・疫病・炭疽病・灰カビ病・さび病・立ち枯れ病・半身萎凋病・つる割病・つる枯病・白絹病など
  • カビによる病気への対処法

  • 風通しをよくする
  • 土の水はけをよくする
  • 日に当てる
  • 病気の部位や株を取り除く
  • マルチングをする
  • 「食べてしまう」だけじゃない!害虫の種類と被害のあれこれ

    害虫には、野菜に集団でとりついてその汁をすう吸汁害虫と、葉や茎などをダイレクトに食べる食害害虫がいます。前者の代表的なものはアブラムシ、後者はアオムシなどで、みなさんもよくご存じかと思います。

    「人間がおいしいと思うものは我々もおいしいのだ!」とばかりに野菜を食べる食害害虫は、成長にしたがって食べる量を増やし、放っておくと野菜が穴だらけになってしまいます。一方、吸汁害虫は汁液を吸うことで野菜を弱らせ、野菜にとって致命的なウィルスなどを伝播します。以下が主な害虫の種類です。

    吸汁害虫

    アブラムシ類・コナジラミ類・ハダニ類・アザミウマ類・カメムシ類など。

    吸汁害虫の対策

  • 防虫ネットを張る
  • 背の高い植物を植える
  • シルバーマルチの反射で遠ざける
  • 薬剤の散布
  • 枝と葉に群がる吸汁外注

    食害害虫

    タバコガ類・テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウなど)・キアゲハ(イモムシ)・ヨトウムシ類・ナメクジ類・アオムシ・コナガ・カブラハバチ類・ウリハムシなど。

    食害害虫の対策

  • 害虫を見つけて捕殺
  • 薬剤の散布(ただし、彼らの天敵を殺さないようにすることも大切)
  • 葉を食べるイモムシ

    害虫?それとも病気?見分けがつきにくい被害の原因

    葉にいかにも食われた痕があれば、ああこれは害虫のしわざだな、とおおよその判断ができるのですが、葉がかすれたようになっていたり、斑点ができていたりすると、まさかこれが害虫のしわざであるとは思えないものです。

    しかしこうした症状はハダニが原因でおこるケースがありますし、白い粉が付着したような症状は、ウメシロカイガラムシでも、カビによるうどんこ病でもおこります。「この症状は害虫によるものか、病気によるものか」を見分けるには専門書の写真と我が家の野菜の症状を照らし合わせるのが一番ですが、まずは、病気や害虫にはどのような種類があって、どのような害をもたらすのかという知識を身につけ、病害虫被害のイメージをしておくとよいでしょう。 病害虫を食べる益虫(天敵)

    困ったときの最終手段、薬剤。ビギナーさん向けの選び方とは

    薬剤にはいろいろな形状のものがありますが、初心者の方は、使いやすいエアゾール式、スプレー剤、粒剤などを選びます。なお、薬剤には特定の病害虫を対象とする専門薬もありますが、今起こっている症状が病気によるものなのか、害虫によるものなのかがわからない場合は、病気にも害虫にも効果がある「殺虫殺菌剤」を選ぶとよいでしょう。 害虫防除のスプレー

    また、薬剤はラベルに書いてある用法と容量を守れば安全に使用できますが、野菜にクスリをまくことに抵抗のある人は、食用のでんぷんやシイタケ菌、納豆菌などの成分を使った天然由来のものを使用するとよいでしょう。

    出典:
    野菜を病気と害虫から守る本 根本久
    植物の病気と害虫 防ぎ方・なおし方 草間祐輔
    「育つ土」を作る 家庭菜園の科学 木嶋利男
    おいしいベランダ野菜 小島理恵
    菜園生活パーフェクトブック 藤岡成介
    ベランダ菜園スタートBOOK 平野編集制作事務所

    著者:入江佑未子

    フリーライター
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    濃い~時期も薄い時期もありますが、ライター歴は18年です。園芸を扱う出版社に勤務した後、地域情報サイトにてケーキ屋さんや雑貨屋さんなどの取材記事を担当し、その後はフリーで活動しています。弁護士事務所のサイトコンテンツや、生命保険の記事など、お堅い記事も書いています。