【徳永英明さんも患った】「もやもや病」っていったい何なの?|トピックスファロー

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2016年4月19日
【徳永英明さんも患った】「もやもや病」っていったい何なの?

徳永英明さんの入院で知られることになった「もやもや病」。患者数は必ずしも多くはないが、子どもでも患うことがあり、脳血管の病気の中でも治療手段が限られた難病である。これはいったいどんな病気なのか、そもそもなぜ「もやもや」なのだろうか。

  

徳永英明さんの患った「もやもや病」って何?

シンガー・ソングライターの徳永英明さんが、難病(特定疾患)の「もやもや病」に関連した手術のために、活動休止していたニュースは記憶に新しい。

徳永さんは2001年に「もやもや病」発症のためコンサートツアーを中止。その翌年に復帰したが、2016年2月1日にふたたび体調不良を訴えて入院。検査の結果、「もやもや病による脳梗塞発症を予防する手術が必要」と診断され、同22日にバイパス手術を受け、3月11日に退院した。

4月16日には、退院後初めての現場復帰となったライブイベントで、歌だけでなく熊本地震を気遣う様子も見せており、だいぶ元気を取り戻したようだ。 脳の病気について説明する看護師

徳永さんは今回どうして手術を受けたのか

徳永さんはブログ(http://lineblog.me/tokunagahideaki/archives/56591706.html)でこう書いている。

「『モヤモヤ病』は再発したわけではありません 僕はずっと『モヤモヤ病』と付き合ってきたのです これからも大事にしてゆきます」

再発したわけではなく、ずっと「もやもや病」だったという徳永さん。「もやもや病」は脳の血管が細くなる病気で、同じ状態が何十年も変わらない人もいれば、少しずつ進行する人もいる。そこで、定期的にMRIなどによる検査が必要となるわけだが、今回、その検査で異常が見つかり手術に至ったと考えられる。

脳血管が「もやもや」と映るから「もやもや病」

「もやもや病」は、内頚動脈という脳に栄養を送る太い血管の端の部分が細くなり、脳の血液不足が起こりやすくなる病気だ。その血流不足を補うために、周囲の細い血管が発達して通常より太くなり、それが脳の底部に「もやもや」として見えるために「もやもや病」と名付けられた。

「もやもや病」は英語で「Moyamoya disease」と書き、そのまま国際的に通用する正式な病名となっている。日本語の病名がそのまま世界で通用するものに、「橋本病」「川崎病」などもあるが、「もやもや」といった形容詞が付けられているのは非常に珍しいケースだ。 脳のイラスト

「もやもや病」になるとどうなるのか

「もやもや病」では、細くなった血管がちょうど駅前のロータリーのような“交差点”を作っている。その交差点を「ウィリス動脈輪」といい、そこから「もやもや病」は「ウィリス動脈輪閉塞症」とも呼ばれる。

「ウィリス動脈輪」を伴う「もやもや」として見える血管は、本来は細いものが太く拡張したもの。脳細胞に血液を供給するため太くなるわけだが、本来の太さ以上に拡張して、普通よりも多くの血液が流れるために、どうしても血管壁が切れやすくなり、頭蓋内に出血を起こすことがある。

虚血によるさまざまな症状が起きてくる

脳出血以外に問題となるのが虚血、つまり脳の血流不足で起きる症状だ。「もやもや病」では、脳の前側にある前頭葉の血流不足による症状が起きやすく、よくある症状が手足のマヒだ。また、言葉が話せなくなるろれつが回らないといった言語障害が見られることもある。

それらの症状は一時的なものであることが多く、その場合はしばらくして回復するため、病院を受診しないまま病状が進んでしまいかねない。

また、子どもの「もやもや病」の場合、熱い麺類を「ふーふー」と冷ましたり、笛を吹いたり、走るなど息が切れるような運動をしたりすることで、虚血による症状が現れることがある。

そのような症状は、「もやもや病」で脳が血流不足になっているところに加え、息が切れるような行動により、脳内の二酸化炭素濃度が低下して脳血管が収縮、さらに血流不足になることが原因で起きてくる。 脳梗塞の女性

脳出血のリスクも高くなる

先に触れたように、「もやもや病」では頭蓋内に出血を起こしやすいほか、脳梗塞も発症しやすい。そのため、脳卒中(脳出血や脳梗塞など)を起こしたときに行われる精密検査で発見されることも多い。子どものときに脳卒中を起こすと知能の発達障害が現れることも。

さらに、脳卒中を起こさない場合でも、情報処理能力、注意力、記憶力などの低下をきたす高次脳機能障害の状態になることがある。

「もやもや病」日本の患者数は?

「もやもや病」は、日本では人口10万人あたり6~10人程度いると考えられている。登録されている患者数は年々増えており平成25年度には約1万6000人に。ただし、患者が増えているというよりは、病気が広く知られてきて、「もやもや病」と診断されるケースが増えてきたということだろう。

なお、ある人が「もやもや病」になった場合、その近親者に10〜12パーセントの確率で「もやもや病」が見られるといわれている。

必ずしも多く見られる病気ではないが、今のところ薬物治療の効果がなく手術に頼るしかないため、早期の発見をうながすため、この病気の存在を広く知らしめることが求められる。その意味で、徳永英明さんの一連のニュースは意味のあることだったといえよう。

著者:モリソウイチロウ

ライター
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大学在学中の1988年からフリーライター業を開始し、途中、ラジオ局AD、テレビCM制作AD、放送作家、ゲーム雑誌編集デスク、東洋医学専門誌編集長、ライフスタイル誌共同編集長などを経験しました。これまでライティングを行った媒体は、『TV Bros.』『日経ヘルス』『TANITAメールマガジン』『月刊ムー』『アルソアAi』など多数。またこれまで約60冊の執筆代行を行っています。その20年以上の経験で培ってきた硬軟自在の筆力で、雑誌・書籍・webなど多種多様な媒体の原稿ニーズに応えます。得意分野は、「医療」「健康」「メンタルヘルス」「スピリチュアル」「サブカルチャー」などですが、そのほか幅広い分野に対応可能。また、編集者としての経験から、最終的なプロダクトを意識したライティングを心掛けています。もちろん、企画立案の段階から関わらせていただくこともできます。ライター選定に困ったら、まずはご連絡ください。