人から感染する抜け毛『頭部白癬』とは?
頭部白癬(はくせん)とは、『しらくも』とも呼ばれる、頭皮に水虫の原因となる『白癬菌』が繁殖している状態の事。
頭部白癬に感染すると、頭皮にかゆみを覚え、一部が赤く腫れた後、円形状の白い斑点がフケとなって落ちるようになります。
放置すると髪は抜け、ジュクジュクになる事も
水虫に感染したまま放置すると、今度は円形脱毛症のように髪が抜け始めます。
頭部白癬の抜け毛の特徴は、『抜けやすい』事と、『痛みが無い』事。
「痒いな」と、頭を掻いていたらゴッソリと毛が抜けた、という事態に陥ります。
さらに頭皮を掻く事で傷がつき、その傷口から白癬菌が感染。
最終的には、皮膚の奥深くまで感染し『ケルズス禿瘡(とくそう)』を引き起こします。
この段階になると、頭皮にジュクジュクとした発疹がおき、毛根が破壊されて容易に脱毛していきます。
頭部白癬の感染ルート
水虫菌の感染経路は、主に以下の3つが考えられます。
ルート1:自分からの感染
水虫は感染した場所によって呼び方が変わりますが、原因となっているのは同じ白癬菌。
つまり水虫やいんきんたむしを持っている人が、患部を触った手で、そのまま頭皮に触れる事により感染するルート。
体の至る所に白癬菌が残っていると考えられますので、一ヵ所が治ってもすぐに再発する可能性が高いでしょう。
ルート2:他人から感染
新型水虫と呼ばれる『トリコフィトン・トンズランス菌』が、2000年頃から世界中に広まり、日本でも毎年のように感染者が出ています。
特に被害にあいやすいのが、レスリングや柔道といった格闘技の選手。
全日本柔道連盟では、公式サイトにて注意を呼びかけるほどです。
全日本柔道連盟<タムシ>「皮膚真菌症(感染症)について」 Q&A
また『しらくも』が小さい子供に多いとされるのは、一緒に昼寝をするなど同じ空間で共有する物が多い事や、子供が汗をかきやすい為と言われています。
ルート3:ペットからの感染
白癬菌が繁殖しているのは人間ばかりとは限りません。
水虫が角質層で繁殖するのは、そこに栄養となる『ケラチン』というタンパク質があるからです。
このケラチンは、犬や猫の角質層にも存在する為、人からペット。逆にペットから人へと感染していきます。
ペットとして飼われることが多い、犬、猫、うさぎ、ハムスターなどに多く感染しているのは『ミクロスポルム・カニス』という真菌です。
頭部白癬の予防法
頭皮であろうが足であろうが、水虫の予防は同じ。
『清潔』にして、『乾燥』させる事です。
水虫が繁殖しやすい条件
白癬菌は、「温度20℃から40度」「湿度60%から80%」が、最も繁殖しやすい環境と言われています。
また正常な皮膚であれば、白癬菌が繁殖する為に角質層まで入り込むには24時間が必要と言われています。
頭皮は汗腺の数が多く汗をかきやすいうえ、髪があるおかげで湿気がこもりやすい場所と言えるでしょう。
常に清潔と乾燥を心掛ける事が、確実な予防法です。
頭部白癬の治療法
頭部白癬(しらくも)の治療には、抗真菌作用のある塗り薬やシャンプーを使用する事もあります。
しかし、大抵は毛穴の奥にまで水虫の菌が入り込んでいる為、内服薬を使用する事が多いようです。
絶対にしてはいけない治療法
赤い炎症や痒みから、アレルギーと勘違いしてステロイド系抗炎症剤を塗る事があります。
しかし、ステロイドは症状を抑えるどころか白癬菌のエサになり、余計に悪化させる原因となります。
フケは頭皮湿疹の可能性もある
頭部白癬の初期症状にあるフケは、頭皮湿疹や脂漏性皮膚炎にもみられる症状です。
これらの症状は一見同じように見えますが、原因が違えば治療法も異なります。
素人目には判断が難しいこれらの病気。
異常を感じたら他人にうつす前に、病院で診察を受けましょう。