光療法とは
2,500ルクス以上の光を目から取り込むことにより、体内の睡眠ホルモン『メラトニン』の分泌を制御する治療法。『高照度光治療』とも呼ばれる。
参考:文部科学省―光の治療的応用―(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/07091111/007.htm)
高照度証明治療のメカニズム
目から光の刺激を受ける事で、脳は体内時計をリセット。
睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まります。
次に松果体において制御されたメラトニンは、体内時計に従いおよそ13時間~16時間後に分泌が再開されます。
この流れが正常であれば、8時に起きた場合、21時から24時ごろには眠たくなるという事になります。
概日リズム睡眠障害とは
概日リズム睡眠障害とは、メラトニンを分泌する制御ができず、睡眠時間が自分の思い通りに調整できない状態の事。
症状としては『外因性』と『内因性』に 分類されます。
外因性
仕事などで、睡眠時間を変える必要があり、生活のリズムが崩されているケース。
時差ボケや、夜勤の交代勤務がこれにあたる。
内因性
睡眠の時間帯が、望ましい時間から前後にずれ、治すのが困難なケース。
体内時計が24時間より長い周期で動いており、入眠の時間がどんどん後ろにずれていくので、睡眠と覚醒のタイミングが制御できず、1日に何度も寝起きを繰り返すケース。
概日リズム睡眠障害に高い効果
光療法は外因性、内因性とわず、自分で睡眠時間をコントロールできない『概日リズム睡眠障害』に対しては特に有効とされています。
この治療を行う事により、睡眠時間を早める事も、逆に遅くすることもできるため、自分が望む時間に眠り、起きた後もすぐに活動できるようになる。
また、光療法のノウハウは『時差ぼけにならない方法』としてスポーツ医学にも取り入れられています。
冬季性うつ病にも光が関係していた
季節性感情障害(冬季性うつ病)が、日照時間の短い東北から北海道に多く、さらに緯度の高い北欧には患者が多い事。
春には症状が落ちつく事からも、『太陽光とうつ』には関係がある事が分かっています。
現在、欧米では高照度光治療は冬季性うつ病の、第一治療として用いられています。
高照度光療法の基本
光治療は、2,500ルクス~3,000ルクスの光を最低でも1時間以上浴びる事。
1分間の間に20秒~30秒は光源を見る事。
治療は、継続して行う必要があります。
しかし、10,000ルクスの強い光であれば30分でも効果があり、病院では専用の『高照度光療法器』を用いるのが一般的です。
光療法を受ける方法
国内で高照度光療法を受けられる場所は限られています。
- 睡眠外来を設置している総合病院
- 精神科
- 心療内科
- メンタルクリニック
といった、睡眠を治療している施設へ問い合わせるのが確実でしょう。
家庭で光療法を行う方法
家庭でも高照度光療法を行う事は可能。
方法としては、以下の2つが考えられます。
太陽光を利用する
最も手軽な、家庭で行う光療法は『朝日を浴びる事』です。
真夏の太陽であれば100,000ルクス。冬、あるいは夏の曇り空では50,000ルクスと、病院で使われる10,000ルクスをはるかに超える明るさがあります。
しかし、紫外線による日焼けは避けられず、夜勤勤務の場合は太陽が出ている時間に寝ているという事もあり、継続するのは難しい場合があります。
高照度照明器具を利用する
病院で使用される高照度照明器具ですが、家庭用も市販されています。
価格は1万円台から4万円程度と決して安くはありません。
朝に起きられない人。夜勤や交代勤務で、寝る時間をずらす必要のある人。近くに光療養の施設が無い人で、興味があれば購入を検討しても良いでしょう。
また、商品説明では10,000ルクスとなっていても、光源から離れるほど光は弱くなります。
自宅での使用状況を計算してからの購入をおすすめします。
光療法の可能性
高照度光療法は、ずれてしまった日常のリズムを取り戻す治療法です。
しかし、夕方に強い光を浴びる事で、意図的に睡眠時間をずらし、夜勤の勤務に体内リズムを持っていくという方法も取れます。
国内において、光療法を積極的に取り入れている施設は少ないのが現状です。
しかし睡眠薬を使わない新しい治療法として、これからの普及が望まれています。