海外でも保険が使えるのか?インプラントの海外事情|トピックスファロー

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2012年12月26日
海外でも保険が使えるのか?インプラントの海外事情

インプラントの本場はスウェーデンであり、物価の低い海外ならば日本よりも安く、信頼できる治療が受けられるのではないでしょうか。しかし、海外でインプラントを行う場合はそれほど簡単ではないようです。

WEBライター
  

海外インプラントの実情

インプラント発祥の地と言えば、北欧の国「スウェーデン」。
スウェーデンでは、インプラントを保険で受けることができ、また必ずインプラントの専門医が治療に当たります。
インプラン治療の捉え方も、日本では『失った歯を取り戻す、入れ歯としての治療』ですが、スウェーデンでは『残った歯に負担をかけて弱らせない為の予防法の1つ』として認識されています。

さらに日本とは技術力に20年以上の差があるとも言われている医療先進国の「アメリカ」では、『インプラントは専門医が複数人で治療を行うチーム医療が一般的』です。
また、日本の様な医療保険の無いアメリカでは、治療費の全てが自費か、自分が加入している保険によって支払いを行います。
その為、正常な歯を削るブリッジの様な治療法よりも、歯を残すインプラントを選択する事が多いようです。

他にも、インプラントを積極的に取り入れ、日本の一般的な水準よりも高い技術を持っている国は海外に少なくありません。

海外でインプラントを受ける事の注意

それならば、インプラントは海外で受ける方がいいのかというと、一概にそうとも言えません。
なぜなら、インプラントは時間のかかる特殊な先端医療だという事が原因です。

『格安』を売りにしている場所は信用できない

国によって物価が違います。それは医療費にも反映されますので、物価の安い海外の方が治療費を抑えられると考えるのは当然です。

しかし、インプラントは世界市場です。
例えば、ある製造会社が全く同じ商品をA国には100円で卸し、B国には1万円で卸すという事は考えられません。通常、A国とB国の卸価格は同じ金額のはずです。
つまり世界規模で信頼できるインプラントを仕入れるのであれば、どの国で仕入れても原価はほとんど変わらないと考えられます。
その為、1本20万円から30万円と言われるインプラント費用が、半額の10万円以下という低価格で施術を行うには、何かしらの理由があると考えるべきでしょう。

海外だからと言って、決して医療費が安くなるとは限りません。

インプラントには長期滞在を行う必要がある

インプラント治療には、まずフィクスチャーと呼ばれるチタン製の人工歯根を顎の骨と結合させる必要があります。
もし、完全に接合を待ってから治療を進めるのであれば、埋没から結合までに3ヶ月から6ヶ月の時間が必要になります。
また、歯の型を取り、個人の噛み合わせを考えて人工歯を作る為、どうしても治療には時間がかかってしまいます。

メンテナンスが受けにくい

インプラント治療の後、定期的なメンテナンスを受ける必要があり、これを怠るとインプラント周囲炎などの症状を引き起こす事となります。
しかし、海外で治療を受けた際、メンテナンスやアフターケアの度に渡航するのは大変な負担です。
『メンテナンスは日本で受ければ良い』と考えるかもしれませんが、治療状況やその病院では取り扱っていないメーカーのインプラントの場合、治療した病院以外では十分なメンテナンスを受けられない事も考えられます

海外で保険を受ける事は可能か?

海外で受けた治療であっても、日本の国民健康保険の対象になります。
支払いの時こそ、一時的に全額負担になりますが、帰国後に申請を行えば、日本で治療を受けた時を参考にして、その差額分が戻ってきます。

外務省─海外在住者と日本の医療保険、年金─

インプラントの保険適用は難しい

もちろんインプラントも、保険の適応内と認められれば健康保険を使用する事ができます。
しかし、インプラントは先端医療の為、通常よりも保険と認められる事が少ないのが現状です。
また、保険と認められる条件には治療目的の他に、医療機関が満たさなければならない条件が含まれますので、保険を適用するのは非常に難しいでしょう。 民間の保険適応について

留学保険など、海外で使用できる保険の中には「デンタルプラン」といった、歯の治療に関する保険も含まれています。
これらの保険がどの程度まで適応されるのかは、各保険会社に問い合わせる必要があります。
しかし、適応額が10万円の保険だけで全てを賄うのはあまり現実的ではありません。

海外でインプラントを受けるべきなのか?

海外では日本よりの高い水準の治療を受ける機会が多いかもしれません。 また、アメリカから治療費の安い「コスタリカ」や「メキシコ」にまで、インプラントを受けに行く人も決して少なくはありません。
アジアでも、医療ツーリズムを推し進めるタイなどは、歯科医療が美容整形や人間ドックと並んで人気になっています。

インプラント治療で重要視するのが『どこで受けるか』ではなく、『誰に治療してもらえるか』ではないでしょうか。
腕の悪い医師の治療を受けた場合、最悪1年と持たずにインプラントの除去手術を行うという可能性もあります。
出費は覚悟の上で、腕のいい医師を見つける事が、最良の結果をもたらす秘訣です。

著者:海老田雄三

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芸能、アニメ、ゲーム、音楽あたりが得意分野のはずが、気が付けばなんでも書くライターになっていました。アニメ、ゲームなどのサブカル誌によく寄稿しています。