【第8回】ファッションブランドは意外と簡単!コンセプトとテーマの違いとは?|トピックスファロー

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2015年9月11日
【第8回】ファッションブランドは意外と簡単!コンセプトとテーマの違いとは?

ファッションブランドを始めるにあたっての明確な理由や目的を表現すれば、ブランドらしいコンセプトとなります。では、コンセプトを決めるためのコツや方法はあるのでしょうか。

ファッションライター
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ブランドコンセプトの考え方

コンセプトとは日本語で訳すと「概念」と言う言葉になります。
あまり使い慣れない言葉なので、分かりやすく言い直すと「提議する者の視点や立場、在り方を反映するもの」となります。

それでもまだ堅苦しく、分かりにくいかもしれません。

さらに簡単な言い方をすると、ファッションブランドとしてのコンセプトと言うのは、

「デザイナーがなぜそのファッションブランドを作ったのか」
「このファッションブランドでどのような服を作り、表現したいのか」

を明確にすることです。

例えば、世界的に有名なファッションブランドであるシャネルを立ち上げたデザイナーは、シャネルのコンセプトを

「女による女のためのモードを作る」

としました。

当時、女性の服は、男性が女性に着て欲しい服をデザインして作っていたので、男性の感性で作られた服しかありませんでした。

そのため、シャネルは女性が本当に着たい服をデザインして作ることをコンセプトとしたのです。

このように、ファッションブランドを始めるにあたっての明確な理由や目的を表現すれば、ブランドらしいコンセプトとなります。

では、コンセプトを決めるためのコツや方法はあるのでしょうか。
代表的なコンセプトを考えるポイントをご紹介します。
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コンセプトこそ自分の好みや得意とすることを活かす場

コンセプトを決めることで、自分が始めたいファッションブランドの全体的な特徴を把握することができます。

決め方のひとつとして、自分の好みや得意とする事に特化した内容にすることが重要です。

例えば、登山が好きな女性が、「もっと女性目線のオシャレな登山ウェアやグッズがあればいいのに」と言う思いからファッションブランドを作ったのであれば、そのブランドのコンセプトは、

「ファッショナブルな本格的山ガールスタイル」

のように表現されるはずです。
自分が作り続けたいファッションアイテムの思いが込められています。

また、得意なことを活かすコンセプトの作り方もシンプルです。

編み物やニットウェアを作ることが得意で、ニットアイテムに特化したファッションブランドを作るのであれば、

「日常のライフスタイルに必要な全てをニットアイテムにしたい」

など、自分が得意とすることをどのように広めていきたいかをコンセプトにすることができます。

このように、自分の好きなことや、得意なことをコンセプトとすることでファッションブランドの方向性を明確にすることができます。

デザイナーとなる自分自身がファッションブランドを通して、どのようなデザインを作り続けて行きたいかと言う、道筋のようなものをイメージすると考えやすくなると思います。

ファッションブランドに込める熱い思い

どうしてもファッションブランドのコンセプトを決められない方には、とても簡単な方法もあります。

それは、自分のファッションへの熱い思いをそのままコンセプトにしてしまうことです。
極端なことを言うと、

「自分自身がカッコイイと思ったものだけを作り続ける」

などの、コンセプトでも問題はありません。
しかし、これではコンセプトに対する範囲が広く、曖昧で自分以外には伝わらない恐れがあります。
そこで、もう少しファッションブランドを特徴づける要素を加えてみると、コンセプトとして成立します。
例えば、

「職人の手作業によって温もりが感じられるカッコイイと思えるものを作り続ける」

と言うコンセプトにしてみると、特徴がしっかりと掴めます。
ハンドメイドで作られた、機械では表現できない商品を扱うブランドであり、尚且つデザイナーがしっかりと厳選しながら作り続けているイメージなど、コンセプトを聞いただけで、ブランドの雰囲気が想像できます。

コツは具体化したファッションへの思いをコンセプトにすることです。

ブーツをたくさんの人に広めたいと言う思いがある方であれば、

「365日ブーツスタイルでコーディネートできるシューズデザイン」

など、自分の熱い思いをより具体的な内容に突き詰めてみましょう。

ぜひ着てもらいたい人を思い浮かべる

コンセプトの考え方には、もっとビジネスライクで事務的な方法もあります。

どんな企業でも、新製品や新しいサービスを作る時にはターゲットとなる年齢層や人物像を決めて、開発や販売促進を進めていきます。

その際に、大まかにターゲットを20代〜30代の男性で、一般企業に勤める会社員とした場合、なかなか的を得た商品やサービスの提供はできません。

そこで、ターゲットを決める時にはより具体的な人物像を描いていくことが必要になります。

例えば、鈴木太郎さん、25才、都内の大学を卒業後、大手商社に入社。月収は25万円で、趣味はフットサルと中目黒への買い物。平日は仕事が終わる時間が遅いので、コンビニなどの簡単な食事で夕食を済ます。 このように、ターゲットとなる1人の架空の人物像を描くことで、コンビニで買える商品の開発や、中目黒近辺でのスポーツに関するサービスなど、具体的な商品の開発などを行うことができます。

このようなターゲットをファッションブランドのコンセプトとして応用することができます。

ポイントは、デザインしたファッションブランドの服をどのような方に着てもらいたいかをイメージすることです。

例えば、ターゲットを23才の社会人1年目の女性。仕事が頑張るけれども、プライベートも大切にしたいと思っている。休日は友人とディズニーランドに行くことが多い。

自分のブランドの服を着て欲しい方がこのような女性であれば、ファッションブランドのコンセプトとしては、

「大人の女性だけれども、可愛さを忘れたくないフェミニンなスタイル。休日のちょいカジュアルなお出かけコーデができるデザイン」

などの、ファッションブランドとして、どのようなテイストの服を作りたいかが分かるコンセプトになります。

具体的な人物像を想像することで、これから作りたい服やデザインの方向性を明確にすることができるはずです。

デザインテーマの考え方

コンセプトとは違い、毎シーズン変わるものがデザインのテーマです。
コンセプトよりも、自由にデザイナーが表現したい事をテーマに選ぶことができます。

コンセプトと違うところは、テーマはデザインのモチーフとなる材料の役割をします。

そのため、フェミニンで可愛い服作りがコンセプトに掲げているファッションブラドであっても、

今回のテーマはロココ調の雰囲気を取りいれたデザイン。
次回のテーマは、ミリタリーのテイストを取りいれたデザイン

など、テーマを変えることで、ブランドの特徴は残しつつ、いろいろなデザインを提案することができます。

では、どのような内容でテーマを決めればいいのでしょうか。

プロのデザイナーも行っている、テーマを決めるポイントをご紹介します。

デザインの元となる自由な発想

テーマを決めることに関しては、とにかく自由です。

普段の生活の中で、気になったものや、美しく感じたもの。
旅行先で出会った綺麗な街や景色。
身の回りにある植物や色合い。
どんな物でもテーマとして採用できます。
普段歩いている道に咲いている花や、植木などの身近なもの。
晴れの日に、光が差し込んだ窓の風景もテーマとして十分です。

大切なことは、そこからデザインの材料となるモチーフなどへの想像を膨らませることです。

窓の風景であれば、カーテンに使われていそうな生地を元にワンピースを作ることや、窓に座っている女性をイメージしたコーディネートをデザインすることもできます。
窓の近くでティータイムを楽しむ女性グループをイメージしても、デザインの幅が広がりそうです。
このように、どんな小さいことでもテーマとして選ぶことができます。

普段から自分の身の回りで、気になる景色や物があれば、それがデザインの素とならないかどうかを考える習慣をつければ、たくさん思いつくようになります。

なりきり映画監督!デザインストーリーを考える

テーマを考えるために、自分らしい物語を作ることもデザインの世界が広がり易い方法です。

可愛らしい服をデザインするファッションブランドであれば、主役を若い女性に設定。
例えば、その女性がフランスの大学に進学。そこでたくさんの友人ができ、恋愛をしながら成長していくストーリーを自分の頭の中で想像します。

テーマはその女性にぴったりな服をデザインすることです。

普段のキャンパスライフのカジュアルな服装。
夜に出かけるドレスアップした服装。
休日のデートでの服装。
など、テーマに沿って主人公が着て欲しい服をデザインすることができます。
さらに、予算や時間があれば、そのデザインした服を着たショートフィルムを撮ることで、プロモーションとしても使用することができます。

自分らしく、ブランドらしい特徴を活かす

どんなテーマを採用するかは、デザイナーの自由ですが、大切なことはデザインを手がけるファッションブランドらしさを出すことです。

例えば、コットンやリネンを使った、ゆったりとしたシルエットのデザインが中心の、ナチュラル系のブランドであれば、デザインテーマは自然にある植物や落ち着きあるカフェを連想するようなテーマがぴったりです。

そこから、デザイナーである自分らしい、自分のブランドらしいテーマに結びつけて行きましょう。

植物をテーマとした場合を例に挙げてみましょう。
プリント生地を使ったデザインが得意なファッションブランドであれば、アイビーの葉っぱをモチーフとしたテーマにして、葉っぱをプリントしたデザインの服を作ることができます。

リネン生地を使ったデザインが得意であれば、草木染めをテーマに、リネン生地を植物で染めた生地を使って服を作ることもできます。

それぞれのブランドの強さを活かせるテーマ選びをすることで、ファッションブランドの魅力を引き出すことができます。

テーマを選ぶ際には、自分の得意とする特徴と照らし合わせながら、決めていきましょう。

コンセプトとテーマの重要性

ファッションブランドの良し悪しは、デザインやブランドイメージで決まることが多いです。
そのため、ブランドを特徴づけるコンセプトやテーマの決定はとても重要になってきます。
ファッションブランドを始める際には、ここで時間をかけて、じっくりと考えて決めることが大切です。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
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英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。