食事中に帽子を脱ぐのはもう古い?
帽子のマナーとしてよく問題とされるのは次の2点
- 室内では帽子を脱ぐのか?
- 食事中は帽子を脱ぐのか?
昔から脱ぐのが当たり前のように教えられてきたことですが、テレビを見ると室内のスタジオ撮影の時や、食事中の時ですら帽子を脱がないタレントを良く見かけるようになりました。
帽子を脱ぐ派の意見
まずは帽子を脱ぐ、もしくは脱げと言っている理由をネットから集めてみました
「礼儀作法として脱ぐのが当然だから」
回答の中で最も多い意見です。
「親からそう教えられたから」、「見ていて不快」、「違和感を感じる」というのが多いようです。
一見、理由としては弱いように思いますが「相手を不快にさせないのがマナーの役割」と考えると、立派に脱ぐ理由となるのではないでしょうか。
「相手に敬意を払うため」
なぜ帽子を脱ぐことが敬意につながるかは、後ほど説明します。
理由としては分かりやすいものでしたが、全てに説明できるわけではありません。
例えば「一人の時は脱ぐ必要はないのか」「周りにいる全員が目下で敬意を払う必要がない時は脱がなくていいのか」など疑問が残ってしまいます。
他にも調べてみましたが、明確な理由をもって説明されてはいませんでした。
テーブルマナーを教えるところや、帽子を専門に取り扱う販売店であっても「それがマナーだから」以上の回答をもっていないようです。
帽子を脱がない派の意見
次は帽子は脱がない、もしくは気にしないという人たちの意見です。
「礼儀作法というが、その根拠が不明」
実際にその通りなのですが、「脱ぐ理由が分からない=かぶったままでいい」という論法はいささか乱暴ではないでしょうか。自由と何をしてもいいは全く別の考えです。
「髪型が崩れているから」
これは大人の男性が口にすると逆に恥ずかしい意見ですね。
予定の中に外食や帽子を脱ぐ場所があれば、初めから崩れてもいいような髪型にして行く。もしくは初めから帽子をかぶらないファッションにするという対策が可能でしょう。
あるいは緊急時に備え、髪を直す携帯スプレーなどを用意しておくのが、できる男のエチケットです。
どんな場所でも頑なに帽子を脱がない男性と、ササッとスタイルを整えてくる男性とどちらが魅力的に見えるかは明白でしょう。
「薄毛を隠している」
一番、判断に困る理由です。
これが遺伝などからくるAGA(男性型脱毛症)であれば、帽子で隠すならとっとと治療しましょう。
むしろ四六時中帽子をかぶっている事で薄毛が進行するのではないか、と心配になりませんか?
今では専門の医療機関があります。
もう一つが「薬の副作用によって髪が抜ける」場合。
理由を説明すれば相手は納得してくれるでしょう。
しかし、他人に知られたくないから帽子をかぶっているのに、いちいち説明など出来るはずもありません。
ならば脱がなくても、あまり気にされない場所に行けばいいという意見もあります。
しかし病気を理由に好きな所へ行けないというのは酷な話だと思います
そもそもマナーは誰が決めたのか
帽子の始まりは、西洋甲冑の「カブト」から派生したものだとされています。
戦闘時に用いるカブトを脱ぐことで、相手に対し友好的であり敵意がない事を示すことになります。
また頭にかぶるものは権威の象徴でもあります。
代表的なものでは「王冠」でしょうか。料理長などもひときわ高い帽子をかぶっています。日本では戦国武将が特徴的なカブトを数多く残していますね。
その「権威(帽子)を外す事が相手に対し敬意を払う」という意味に考えられたようです。
また、帽子は汚れから体を守る為に普及したという側面があります。
これは日傘やハイヒールが普及したのと同じ理由で、汚れた帽子は持ち込めない為に、室内では帽子を脱ぐことが常識になりました。
これは当時のヨーロッパの時代背景に原因があるのですが、今と昔では状況は全く違います。
室内に持ち込めないほど帽子が汚れる状況など、まずありませんよね。
時代が変わっても、これらの慣習だけは残りマナーと呼ばれるようになりました。 この時代との食い違いが違和感の原因なのでしょう。
明確なマナーは無くなった
結局の所、「こうするのが正しい」という明確な基準はありません。
だからといって自分のスタイルを貫き通すのはNGです。TPOをわきまえましょう。
あくまで一般的な例を挙げてみます。
- 格式の高いホテルや、ドレスコードのあるレストランでは帽子を脱いで預ける。
- ファミレス、居酒屋、ファーストフードなど気軽に入れる場所では個人の判断。
- 映画やコンサートなどは、後ろの人の邪魔になる為、脱いだ方がいい。
- 人込みで混雑している場合は、手に持っていると、人とぶつかって危ないので被ったままの方がいい。
- 畳の部屋や日本料理など日本的な場所では、雰囲気に合わないから、脱いだ方が無難。
- 目上の人と会う場合や、格調高い場所(神社仏閣を含む)では帽子は脱ぐべき。
判断に迷った時は、自分がどうしたいかよりも、自分がどう見られているかを基準に考えてみましょう