PMTCってなに?
『Professional Mechanical Tooth Cleaning』の略。
日本語にすると『専門的機械歯面清掃』となるのですが、余計分かりにくくなりました。
『プロ(Professional)が専用の機械(Mechanical)で歯(Tooth)をクリーニング(Cleaning)する』と言ったほうがイメージが掴みやすいのではないでしょうか。
元々PMTCはスウェーデンで行われました。1980年当時、3歳児の虫歯率が80%を超えていたことに危機感を持った政府が、PMTCを義務化。その6年後には虫歯率が4%にまで下がったと言われています。
その成果が認められ世界中に技術が広まっていき、日本の歯科医師が広く取り入れるようになったのは、ここ10年の事です。
基本的には家庭では取りきれないプラークの除去とフッ素による歯のケアの事を指しますが、効果を高めるために、まずは歯石の除去から行うケースが多いようです。
PMTCを受けるとどうなるの?
口腔内の洗浄をする事には様々なメリットがあります。
歯周病の予防に効果を発揮
歯周病の原因となるのはプラークバイオフィルムという細菌の集合体です。
歯周病菌が誰の口にもいるように、このバイオフィルムはあらゆる人の口内に巣くっています。
しかも表面に粘膜上のバリヤーを張り薬品で壊すことが難しく、歯と歯の隙間や歯周病ポケットのさらに奥、歯の根元近くにまで侵食しているため、家庭でのブラッシングで取りきるのは不可能です。
気持ちいい
自分では手が届かない場所までクリーニングしてくれるので清涼感が違います。
毎日の歯磨きが自宅でのスキンケアとするなら、PMTCはエステを受けるようなものと考えてください。
歯のケアをしてもらえる
邪魔なプラークの無い状態でフッ素を塗りますので、歯の再石灰化を効率的に行うことが出来ます。
また歯の表面を磨き上げる事でつるつるに。しかもヤニやステインによる色素を落とし本来の色を取り戻してくれます。
歯肉の炎症がなくなる
歯茎炎を起こす原因はプラークです。
歯肉の奥で炎症を起こしているプラークも取り除いてくれますので、炎症と腫れを抑える事ができます。
口臭の軽減
口内にある口臭の主な原因はプラーク、歯石、食べ物カスの3つです。
しつこく残っていたこれらを取り除く事で、口臭の軽減になります。
どんな人が受ければいいの?
歯周病の可能性がある全員です。
ちなみに9割の日本人が歯周病菌を保有していると言われています。
その中でも、「矯正治療を受けている人」は特におすすめします。
矯正器具が邪魔で十分なブラッシングができていない場合があります。もし1か所でもに歯周病が見つかった場合は矯正を中断して歯周病の治療を優先しますので、余計に時間と費用が掛かってしまいます。
PMTCって何をしてくれるの?
歯垢の除去を行いますが、いくつかの手順があります。
プラークの染色
普段のブラッシングで磨き残している場所をチェック。鏡で確認しながらブラッシングのポイントを教えてくれます。
プラークの除去
歯の表面、歯と歯の間、歯周ポケットなどを専用の器具を使用して徹底的に除去します。
また器具の届かない場所は、微粒子を噴射する機械を使用して綺麗にします。
フッ素の塗布
最後に歯の再石灰化を促進するフッ素を塗って終了です。
他にもクリニックによっては歯肉のマッサージをしてくれるなど、内容が一部異なっている事があります。
痛くないの?
歯肉を傷めないラバー性の器具を使用しますので痛みはありません。
費用は?
歯周病治療の一環として認められるのであれば、保険適用で2,000円から3,000円程度。
しかし基本的には口内ケアとみなされますので、自費負担になります。クリニックにより、値段に差がありますが約5,000円から10,000円が相場でしょう。
ただ歯石除去などのオプションが必要になる場合があり、初回20,000円という事もありますので確認が必要です。
日数は?
口内の状況にもよりますが2か月に1回。長くても半年に1回は行なった方が良いでしょう。
1回のクリーニングにかかる時間は約30分から1時間が平均とされています。
ただ、プラークは日々繁殖していきますので、毎日のブラッシングに加え、定期的なPNTCを行う事が歯周病予防に必要とされています。
歯周病の予防にはプラークコントロールが必要です
虫歯は治療する時代から、予防する時代へと移り変わっています。
歯医者は痛くなってから駆け込む場所ではなく、普段から虫歯を予防する為に通う場所であると、私たちも意識を変える時に来ているのかもしれません。