ある日、イギリスのサイトを見ていたら・・・
会社の休暇を取ることができた彼と、ロンドンに行きました。
旅先でチーズ好きの彼は、「ロンドンのチーズショップをいろいろ見てみたい!」と言い出しました。
そこで、四方八方調べつくし、評判のいい三軒のお店を回りました。
どのお店も、それぞれに本当に個性豊かで素敵でした。
三軒とも、ホームページやフェイスブックページを持っていたので、彼はそれをフォローしていたのです。
彼の情熱は冷めることがなかったらしく、帰国後もホームページやフェイスブックページをこまめにチェックしていました。
彼にとっては、異国で食べたり、見たりしたチーズの魅力が忘れられないのでしょう。
さて、そんなある日のこと・・・。
彼がいつものようにホームページやフェイスブックページを見ていて、ぼそっと「これ、欲しいけど日本じゃ見たことないなー」と言い出したのです。
「なになに、何のこと?」と覗き込んでみると、そこには見たことのな無いナイフが・・・。
わたし「これ、なに?」
彼「ビクトリノックスの中にチーズナイフが仕込んであるみたい」
わたし「日本に入ってきていないの?」
彼「専門店に問い合わせてみたけど、扱っていないって」
わたし「そう・・・」
そんなやり取りをしている彼の姿はどこかさびしそうでした。
スイス軍に軍用ナイフを納入していることでも有名な名門メーカーで、日本にも根強いファンがいます。スイスの国旗をモチーフにした白十字のエンブレムのついた万能ナイフを見たことがある人も多いかもしれません。
彼はこのビクトリノックスが大好きで、ちょこちょこ買っています。
そのビクトリノックスからチーズナイフを仕込んであるものがあると聞けば、マニア心はくすぐられるでしょうね。
そこで私は言い放ちました。
「そんなに欲しいなら私がなんとかしてあげるよ、ただしお金は払ってね」
と・・・。
個人で輸入をするのに乗り越えなければならない壁
・・・と、彼にドヤ顔で言ってみたものの、実際には簡単にいくわけはない、ということはわかっていました。
「個人輸入すればいいじゃん」と簡単に思うかもしれませんが、実際に何かを個人輸入するとき、どのような手続きが必要になるのでしょうか?簡単におさらいしてみましょう。
現在はインターネットの普及により、海外のサイト(イーベイ、アマゾンUSAなど)から通信販売を使って商品を取り寄せる、ということも可能になりました。
でも、そのときに注意したいのが「通関」の手続きです。
「通関」の正確な定義は次のようになっています。
「貿易を行うにあたり、貨物を輸出入をしようとする者が、税関に対して、一定の事項を申告し、必要な検査を受けた後に、輸入の場合は関税など必要な税金を納入し、税関から輸出入の許可を受ける手続き」
つまり、これをやらないで海外のサイトから商品を買う、ということは密輸入ということになり、法律で禁止されています。
現実的にはありえません。まともな運送業者を使えば、引き取るときに関税分を徴収されます。
しかし、やってしまうとあなたのその後の人生がタダじゃすまなくなるので、絶対にやめましょう。普通は税金の計算をしなおし、足りない分を払えばそれで終わりですが、あまりに悪質な場合は刑事罰を受けることになることもあります。
昔はこの通関の手続きが大変だったとは聞きますが、現在はかなりシステムが整備され、関税がかかる場合は、届けてくれた業者さん(日本郵便、ヤマト運輸など)に関税分の引き取り手数料を支払えば、商品を受け取ること自体は簡単にできるのです。
もっと詳しい話が知りたい!という人は、税関のホームページをご覧ください。
「3002 個人輸入の関税手続き(カスタムアンサー)」
(http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/kojin/3002_jr.htm)
ここまでの話をまとめましょう。
「海外のサイトから商品を買うこと自体は不可能ではない。関税は商品を引き取るときに運送業者に払えばいい」
ということです。
しかし、これはあくまで「海外にも商品を発送してくれる業者」が相手の場合です。
結局、あきらめなければいけないの?
「ふーん、個人輸入ってそこまで難しくないんだ」と思った私ですが、そのチーズ屋さん「Paxton&Whitfield(パクストン&ウィットフィールド)」
(http://www.paxtonandwhitfield.co.uk/)のサイトを見て、倒れそうになりました。
大雑把に言えば、こうです。
私は半分泣きそうになり、「ひ、ひどいよ・・・」と画面に向かってつぶやいてしまいました。
「結局、あきらめるか、ロンドン行くしかないの?」とも・・・。
しかし、画面に向かってつぶやいたところで、そのチーズ屋さんが海外発送を行ってくれるわけでではないし、自分にはロンドンに行く暇もお金もないし、事態が好転するわけはないのです。
そのときの彼の顔を鏡で見たわけではないのでわかりませんが、たぶん、こんな「困っちゃったな、おい・・・」とでも言いたげな顔をしていたと思います。
「できる、って言ったのに、申し訳ないな」という思いが渦巻いていました。
自分でできないことは人に頼めばいい!
しばらく考えた後、私はあることを思い出しました。
私は韓国の芸能人を追っかけている影響で、韓国から商品を取り寄せる、ということをたまにやります。また、イベントのチケットを取ってもらう、ということもやっていました。そういったことはいわゆる「代行業者」に頼んでいたのです。
こういった「代行業者」と呼ばれる会社は、手数料を払えば、日本では手に入らないものを手配してくれるサービスです。
手数料はそれなりにかかりますが、確実に欲しいものが手に入ります。もし、ダメだった場合は代金はちゃんと返金してくれます。私は問題なく使っています。
「自分でできないことは、人に頼めばいい。それなりのお足を払えば、ちゃんとやってくれるのだから」ということは、私が韓国にかかわるようになって得た教訓ですが。
話が脱線して申し訳ありませんが、これって結構重要なことだと思います。
「と、いうことは、イギリスにも代行してくれる会社があるんじゃない・・・7!?」
これに気付いた私はパソコンを立ち上げ、検索の鬼となりました。
「イギリス 代行業者」で検索すると・・・「あっ!いい感じのが出てきたよ!ここに問い合わせてみよう!」ということで、私は問い合わせを始めました。
実際に代行会社を使ってみた
今回お世話になったのが、こちら。
運営しているのが在イギリスの日本人の方なので、安心してお願いできます。ホームページも全部日本語で書かれているので、英語が読めなくても全く問題ありません。
私は早速問い合わせフォームから事情を説明するメッセージを送り、返答を待ちました。
すると、翌日には返事が返ってきて、詳細な見積もりと丁寧なメッセージが。
「ここなら信用できる」と思い、そのことを彼に伝えました。
彼は「それで買うことができるの?すごいねえ」と目を丸くし、さっそく商品の代金の算段を付け始めました。本当に喜んでくれていたのは確かです。参考になるかわかりませんが、かかった費用の内訳を書いておきます。
- ナイフ本体の金額(2本):90ポンド
- ショップからの総量:10ポンド
- エイクルに支払う手数料:18ポンド(商品代金の20パーセント)
- 日本までの送料(ヤマト運輸国際宅配便サービス):約30ポンド
- 保険料:14ポンド
ナイフ1本自体が45ポンド(約8100円)で売られていたことを考えると、えらく高いナイフになってしまいました。
しかし、日本に輸入されたらイギリスよりずっと高い値はついてもおかしくないし、なにより、29000円でロンドンまで行って帰ってこられるはずはないので、納得のいくお値段といえます。
結局、無事に欲しいものをゲットできたのか?
エイクルさんへの支払いは、日本の銀行(三菱東京UFJ銀行)の口座で行えばいいので、簡単にできました。最後の問題は、「商品がちゃんと日本に届いて、自分がそれを受け取ることができるのか?」ということです。
ちゃんとした業者さんを使っても、運が悪ければ、手許に届かないなんてことは十分あり得ます。
エイクルさんとヤマト運輸さんを信用していないわけではありませんが、何分、初めてのことだったので、どきどきでした。
「松沢さーん、ヤマト運輸です。国際宅配便ですので、関税が発生しています」とインターホンで言われたときは、本当に安心しました。「と、とどいた・・・」と思わず言葉を漏らしてしまったものです。関税分の1000円をヤマト運輸のお兄さんに支払って、無事受取完了!
さっそく荷物の破損がないかをチェックし、異常がないことを確認。
「よし!大丈夫!!」そして、彼の携帯電話にLINEで連絡。
「イギリスからナイフ届いたよ!」と書き、嬉しそうにしているパンダのスタンプを送りました。
返ってきた返事は「わーい(^^)」でした。本当にうれしかったのね。
ちなみにそのナイフの画像がこちらです。
(イギリス個人輸入ビクトリノックス)チーズナイフ
代行業者を利用しよう
インターネットの普及、通関に関するシステムの整備により、個人輸入は昔に比べるとかなりハードルの低い買い物の仕方になりました。
とはいえ、まだまだ海外発送を行ってくれない会社がたくさんあるのも事実です。システムの整備が難しい、というのも理由の一つでしょう。
だからといって、あきらめることはないのです。
その後、ネットで調べたところによると、様々な国に対応してくれる代行業者というものが存在しているらしいので、そういった業者を使えば、海外からのお買いものがスムーズに行く、ということになります。
先に述べたこととかぶってしまいますが、人間、自分のできることには限界があります。
その限界を超えてしまった場合は、人に頼めばいいのです。
もし、あなたが「これが欲しいけど、日本に発送してくれないんだよな・・・」というインターネットのサイトで魅力的な商品を見つけたら・・・。
代行業者に頼めばいいんです!
おそらく、そういうサイトは「送料は払うから日本に送ってほしい」と言っても「No」の一言で終わりでしょうから。割高になるのは事実ですが、ストレスなく満足のいくお買いものができると思います。