農業ゲームから就農志望!?農業ゲームと現実の隔たりを探る|トピックスファロー

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2013年5月27日
農業ゲームから就農志望!?農業ゲームと現実の隔たりを探る

新規就農希望者の中には、「ゲームで農業の楽しさを知った」という人も含まれています。「しょせんゲーム」「ゲームと現実が違う」という意見もありますが、若者の目を農業に向けさせる一因となっているのは確かです。どのような農業ゲームが人気を博しているのでしょうか?

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新規就農のきっかけに!?今の農業ゲームはただ事じゃない

収穫したトマト

パルシステム生活協同組合連合会が「農業に興味のある学生」を対象に調査したところ、興味を持った理由に「農業の実体験」ではなく「テレビ番組」「漫画・アニメ」そして「ゲーム」を上げる学生がかなりの割合を占める事が明らかになりました。

このように、若い新規就農希望者にはゲームに影響を受けているものが相当数いることが伺えます。
「たかがゲームで農業を始めようというのは…」と嘆く大人も多いかもしれませんが、現代の農業を題材にしたゲームは侮れないところまで来ているのです。

農業と共に歩む人生を疑似体験できる「牧場物語」シリーズ

前述のパルシステム生活協同組合連合会が行った調査で、「影響を受けたゲームタイトル」として一番名前が挙がったのが「牧場物語」シリーズです。「牧場」とはついているものの、牧畜の育成や資金調達のためには野菜の栽培が必要になるため、実際は「農業+牧畜業」と言った方が正しいようです。

ともすれば飽きが来やすい育成ゲームに人気の高いRPG要素と恋愛要素を加えていて、田園風景が醸し出す温かみのある雰囲気が人気を博し、第1作目が発売された1996年から続く人気作品となっています。
難点は、ゲームとして遊びやすくするため農業のリアルさが薄められており、「種を捲いてから数日で収穫」というような表現になっている事でしょう。

SNSで人気を博す「サンシャイン牧場」「農園ホッコリーナ」

SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)は、ネット上で友人と繋がることが出来るサービスとして一世を風靡し、様々に形を変えながら私たちの生活に定着しています。SNSの影響はゲームにも及んでいて、同じゲームを遊んでいる友人に手助けをしたり、知らない人と対戦できるようになっているのです。

そのSNSの特性を利用した農業ゲームの代表格が「サンシャイン牧場」と「農園ホッコリーナ」です。基本的には作物を栽培・収穫していくゲームですが、友人の作物に肥料を与えたり虫を取ったりするというSNSならではの要素が受けているようです。

ゲームで育てた作物が送られてくる!?「畑っぴ」

携帯・スマホで出来るゲームは、手軽で達成感の感じられるものの方が人気がありますが、どんなにゲーム内目標を達成しても現実には影響がないというデメリットと空虚さがあります。

エルディが提供する携帯ゲーム「畑っぴ」は、ゲームで作物を育て収穫できると実際に育てた作物と同じ野菜が農家から送られてくるという画期的なシステムを供えた農業ゲームなのです。
このシステムによって、「ゲームでリアルな野菜の栽培を学ぶ」という食育要素が加えられている上に、ゲームにお金を使った分だけ野菜が貰えるのが最大の特徴になっているのです。

これが本当のリアルな農業だ!「ポケット農園」

今までの農業を題材にしたゲームは。ある程度ゲームとしての面白さを加味しなければならない為、現実の農業から乖離している事が少なくありませんでした。
海外の農場経営をテーマにして、限りなくリアルさとゲーム性を両立したのがニンテンドー3DSソフト「ポケット農園」です。

ゲーム用語で、一定の操作を繰り返し続けるだけで目的達成出来てしまうゲームを「作業ゲー」と言いますが、ポケット農園は「栽培・収穫・売却」を繰り返す文字通りの作業ゲーとなっています。

ポケット農園は大型農場の経営が前提なので全て大型農機による作業となっていて、作物売却の際は燃料費なども考えて高値売却を狙わなければならないという妙なリアルさが特徴と言えます。

第三世界の農家の窮状をリアルに表現した「3rd World Farmer」

これまで紹介してきた農業ゲームは、「現実に起こりうる理不尽」の再現は意図的に避けられてきたといえます。理不尽なアクシデントはゲームそのものをひっくり返してしまう危険性があり、遭遇したプレイヤーを落胆させ裏切ってしまうからです。
しかし、そんな「現実の理不尽」を盛り込んだ農業ゲームがあります。それが「3rd  World Farmer」です。このゲームは、「3rd World」つまり発展途上国での農業をテーマにしています。

その為、日本では考えられないような理不尽なアクシデントが豊富に盛り込まれていて農業の過酷さと第三世界における貧富の差をリアルに感じる事が出来ます。例えば、「中央銀行の破たんによる物価上昇」や「ゲリラによる収奪」「病気による労働効率の低下」と言ったアクシデントが発生するため、普通の農業ゲームほど甘くない、リアルを越えたシリアスさが表現されています。

もちろん、ゲーム的な救済イベントも盛り込まれているのですが、現実を照らし合わせて考えさせられるものがあるというペーソスを感じさせる問題作と言っても過言ではないでしょう。

農業ゲームはあくまでもきっかけに過ぎない

このように、農業を題材にしたゲームは農業に興味を持つきっかけの一つとして有効と言えますが、現実の農業に当てはめて考えるのは早計とも言えます。ゲームは正しい手順を踏めばクリアーできるように設計されていますが、現実には「必ずクリアーできる正しい手順」というものがないからです。

だからと言って、「農業ゲームで農業に興味を持つ」ことを否定するわけではありません。農業への興味が「農業を一生の仕事にする」という信念に変わる人もいれば、興味のままで終わる人もいるからです。

あくまでも「農業ゲームは農業への興味を持つきっかけ」と考えて、若者を見守り導いていくのが大事なのです。

著者:渡辺芳樹

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学生時代からライターとして活動。小さな会社に就職したおかげで、ライター以外に、編集からWEBサイト製作など、幅広く経験。現在はフリーランスとなり、いくつかの会社と契約を結んで執筆活動してます。