太陽光発電を自作するときに参考にしたい13歳少年の発電モデル|トピックスファロー

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2012年6月26日
太陽光発電を自作するときに参考にしたい13歳少年の発電モデル

太陽光発電で使われているソーラーパネルの新しい構造を提案したアメリカの少年が注目されています。光を集める最適な構造は既存の平板型だけじゃないということが示され、より多くの発電量を得るためのヒントが彼の研究から世界中に与えられました。

兼業ライター。専門ではないけれど、ライター歴は長いです。
  

電気は自分で作る時代

電気は電力会社が火力発電や水力発電、原子力発電、風力発電や太陽光発電などのさまざまな大規模発電システムによって作られて日本中に送られるものですが、近年は発電技術の高度化に伴って一般家庭でも自家発電できる状況が整ってきています。

地球温暖化の原因となる化石燃料を用いた「火力発電」や放射能汚染のリスクを伴う「原子力発電」に依存してきた日本も「太陽光」を始めとする風力・水力・バイオマスなどの再生可能エネルギーへの転換が推進されています。

そんな中、家庭で電気を作るために現時点で最もコストが低く効率的に導入できるのが太陽光発電で、住居の屋根に発電用のソーラーパネルを設置することで自宅の電気を地球に優しいクリーンエネルギーでまかなうことができるようになりました。

さらに、余剰電力買取制度という『電気事業者が一般家庭で作られて余った電力を固定価格で買い取らなければならない』という制度もあるため、自宅屋根に太陽電池パネルを敷き詰めて「エコロジー」と「エコノミー」を同時に実現する人も増えてきています。

太陽光発電のソーラーパネルを自宅屋根に設置する場合に問題となるのはその『発電量』です。

そして太陽光発電の発電量は、
太陽光が太陽電池(ソーラーパネル)に当たれば当たった分だけ電気が作られる
という、いたってシンプルなものです。

したがって、「自宅の電気を太陽光だけでまかなえるようにしたい」場合も、「余剰電力の売電をなるべく多くしたい」場合も共通して考えなければならないのは、『いかに多くの光を集めるか』ということになりますね。

13歳の少年が発明した効率的なソーラーシステム

これまで、多くの光を集めるために考えられてきた対策としては

  • ソーラーパネルを大きくする
  • 光を最も多く集める南向き、傾斜角30度の屋根にパネルを設置する
  • 発電効率の高いパネルを使用する

などがありました。

13歳の少年が考えた木構造に基づくソーラーシステム

アメリカ・ニューヨークに住むAidan Dwyerさん(13歳)が提案した太陽光発電の新システムは『木の葉が効率的に太陽光を集める構造を太陽電池の配置構造に応用する』というものです。

Aidan Dwyer さんが提案した太陽光発電の新システム

Aidanさんはハイキング中に木の枝の構造が奇妙なパターンを形成していることに気がつき、そのパターンがフィボナッチ数列という数学的解釈で表現することができ、その構造が太陽光を効率的に集めるモデルであることに気がつきました。

そこで彼は木の葉の配置を詳しく解析し、コンピュータモデリングとフィボナッチ数列を使って最適な太陽光パネルの配置を計算するというアプローチで研究を行ったのです。

彼は「木の葉モデル」を用いたパネル構造のソーラーシステムと従来型の「平板モデル」のものを作って実際に発電量を比較し、どちらがより多くの光を集められるか実験を行いました。

その結果、従来型のシステムに比べて木の葉型の試作機は20%多く発電し、光を集めていられる時間も2.5時間ほど多く集められた日があった、というものでした。また、太陽が空の低い位置で動き、太陽光発電が不利とされる冬場(12月)においても木の葉型は平板のものに比べて50%多く発電し、50%長い時間で光を集められたそうです。

この研究は2011年度米自然史博物館のヤングナチュラリスト賞を受賞し、世界的に大きく注目されることとなりました。

実用化を考えると、

  • 木の葉のように小さいパネルを多用するのはデッドスペースが多く、コスト高
  • 平板に比べて構造的な強度が落ちる

などの理由から現時点では難しいようですが、子供の柔軟な発想に世界中がおどろき、研究のクオリティの高さで話題になりました。

参考文献:The Secret of the Fibonacci Sequence in Trees

太陽光を活用する「自然のシステム」を参考に

Aidanさんの木の葉型ソーラーシステムは実機で実現するためには多くの課題があり、実用化は難しいモデルとされていますが、太陽光発電のひとつの進むべき方向性を示す画期的な提案であることは間違いありません。

最も効率が良いのはひまわりのように太陽の方にパネルが自動的に顔を向けるシステムとされ、実際にそうしたシステムは最先端の設備として実現されています。
しかし、センサーを用いて高度な制御を行う方式はさすがに自作できるものではありませんね。

この少年のように発電量を記録して比較検討し、おもしろい工夫によって発電効率を向上させることができれば画期的なソーラーシステムを発明することができるかもしれません。

幸いにも地球上には太陽エネルギーをたくさん集めるために長い時間をかけて構造や習性を進化させてきた「自然のソーラーシステム」がそこら中に存在しています。

それらをお手本とすれば、難しい理論や研究なしに新しいエコシステムが自作できてしまうかもしれません。太陽光発電の自作にチャレンジするなら、オリジナリティあふれる新しい形のパネルを作るのも面白そうですね!

著者:佐藤和子

兼業ライター。専門ではないけれど、ライター歴は長いです。
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学生時代から文章を書くのが好きだった影響で、社会人になってからも、こっそりと週末ライターを続ける。新しいもの好きで、常にアンテナ張っています。