骨がないと話にならない!?インプラントと骨の関係|トピックスファロー

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2012年8月4日
骨がないと話にならない!?インプラントと骨の関係

天然の歯があるのと同じ状態にしてしまうインプラント治療。しかし、すべての人がインプラント治療の適用になるというわけではありません。インプラント治療を受けるには、何よりも骨が大事になるのです。インプラント治療での骨の重要性とは!?

たたかう主夫ライター
  

インプラントを入れるための骨造成

インプラントが入れ歯やブリッジよりも、天然の歯に近い見た目と硬いものも楽々噛める強度を持っているのは、チタン製フィクスチャーとあごの骨がミクロの単位で直接結合する「オッセオインテグレーション」によって、ぐらつくことなく強固に保持されるからです。

しかし、フィクスチャーを入れたい部分の骨の量・大きさが十分でないとフィクスチャーそのものを移植すること自体が出来なくなってしまうのです。

骨を増量すればインプラントは入れられる

インプラントが実用化されても浸透しきれなかったのは、個人差がある骨の量がインプラント治療への適用を分ける分水嶺になっていたことが原因の一つであったといえます。

特に入れ歯やインプラントが必要になるお年寄りは、歯だけでなく骨も衰えているのでインプラント治療が適用したくても適用できなかったのです。

しかし、技術の進歩によって骨の量が原因でインプラント治療が適用できなかった人にも、以下のような骨の増量を行う「骨造成」を併用することでインプラント治療が適用できるようになったのです。

GBR法

GBR法は、インプラントを埋め込みたい場所の骨の量が足りない場合に行う骨造成法です。
骨の量を増やしたい場所を防水性に優れたゴアテックス性の膜で覆い、歯肉組織から保護します。こうすることで数か月後にはゴアテックス膜に覆われた部分は骨の再生が進んで、増量されることになります。

GTR法

GTR法はGBRと同じくゴアテックス膜を使った骨造成法ですが、GTR法では歯周病によって破壊された骨を再生することを目的としています。

歯肉を切開して歯周病で破壊された骨組織や歯垢・歯石を除去し、歯周病で骨が破壊された個所をゴアテックス膜で覆い、歯肉を膜の上に被せるようにして骨の再生を待ちます。

サイナスリフト

上顎には下あごとちがって、「上顎洞」と呼ばれる空洞が存在しています。サイナスリフトは歯茎側の歯肉を切開して、上顎洞の空隙に人工骨や自家移植骨を充填して、骨の増量を図ります。
サイナスリフトでの骨再生期間は6か月から1年と長いのが欠点といえます。

ソケットリフト

ソケットリフトはサイナスリフトと同じく上顎に対して適用される骨造成法です。ソケットリフトは上顎洞を覆う「シュナイダー膜」という粘膜を、歯肉側から押し上げてできた隙間に骨充填を行います。
サイナスリフトよりも手術時間が短くすむのがメリットですが、増やせる骨の量がサイナスリフトよりも少なく適用できない場所もあるのが欠点です。

ディストラクション

歯が抜けてしまうと歯のあった場所の骨は吸収されてしまい、大きさ・量が不足してしまいます。ディストラクションは、そうした吸収された骨を増量するための骨造成法です。

骨を増やしたい場所の歯肉を切開して、その下にある骨を一部切り出します。そしてディストラクターという器具を設置して、骨を一日1㎜のペースで引き上げていき骨の増量を図っていきます。

PRP法

PRP法では患者から採血した血液を遠心分離器にかけて、高濃度の血小板を含む多血小板血漿(PRP)を生成して使います。このPRPには成長因子の活性化によって骨や細胞の再生を促進する効果があり、骨の増量だけでなく切開した歯肉組織の治癒も短期で済んでしまいます。

エムドゲイン

最近注目されているのが「エムドゲイン」というたんぱく質を使った骨造成法です。
エムドゲインとは、子供の歯が生えてくるときに重要な役割を果たすたんぱく質で、歯周組織・歯骨の再生に効果を発揮します。

骨の再生に時間が掛かってしまう…

骨造成さえすれば、どんな人でもインプラント治療が受けられるようになったのは良いことだと思います。
しかし、骨造成はインプラントに耐えうる骨を作るための手術であるため、骨組織が硬化・定着するまでに数か月かかってしまうのがデメリットといえます。

著者:加藤源治

たたかう主夫ライター
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ライターをしながら二人の男の子を育成中。いわゆる主夫です。育児に関することなら社会的なことからお近くのスーパーのことまで何でも書いています。