インプラント治療が思っていた以上に高値の治療費になってしまう理由
インプラントは、入れ歯や差し歯・ブリッジなどよりも天然の歯のような使い心地と長寿命性が最大の特徴といえますが、入れ歯や差し歯などと違って治療費が高騰するのが最大の難点と言えます。
なぜ、インプラントはこんなにも治療費が高くついてしまうのでしょうか?
健康保険が効かないため
私たちが病院で治療を受ける際は、健康保険証を提示することで治療費を本来の三割負担で済むようになっています。このように健康保険の適用で治療費を三割負担に出来る治療を、「保険診療」と言います。
つまり、逆に言えば健康保険が効かなければ治療費が全額10割負担になってしまうということになり、保険適用外となる治療を「自由診療」といいます。
インプラントは基本的に自由診療扱いになっているため、健康保険が効かず患者の負担は大きなものになってしまいます。
インプラント自体の価格
インプラント治療の要は、顎の骨とチタン製のフィクスチャーがオッセオインテグレーションによって強固に結合されることにあります。
しかし、このチタン製のフィクスチャーと義歯部分のアバットメントが曲者で、結構な値段が掛かってしまうのです。特にアバットメントは患者の歯並びごとに調整することになるので、必然的にオーダーメイドになって値段が高くなるのです。
また、チタン製フィクスチャーは時間が経てば経つほど表面が酸化してオッセオインテグレーションが起こりにくくなるため、出来るだけ新鮮なフィクスチャーを使わなければなりませんが、新鮮なフィクスチャーほど高くなるため、インプラントの価格高騰に一役買っているのです。
手術費用の高さ
俗に「インプラントは一本20~30万円掛かる」と言われていて、永久歯全てをインプラントにしようとすると高級自動車を新車で買える程度のお金が掛かってしまいます。
しかし、最近は「インプラント1本10万円以下」を押し出したデンタルクリニックも増加していて、馴染みやすくなってきたように感じられています。
しかし、インプラント治療ではインプラント自体の価格とは別に手術費用が掛かってしまいます。手術費の中には麻酔代や治療を行う設備の維持費用、施術した医師の人件費などが入っておりいわば「インプラント治療の必要経費」であるといえます。
インプラント治療自体の困難さ
商売の世界では市場の需要に対して商品の供給が不足している場合、高くても良いから欲しいという思惑が働いて商品の価値は高騰します。逆に商品の供給が需要よりも多い場合、少しくらい損をしても商品をさばきたい思惑が働くので商品の価値は下がります。
これと同じことがインプラントにも起こっているため、インプラントの治療費は高くなります。どういうことかと言えば、インプラント治療が行える歯科医の数はそう多くないということです。
インプラント治療は通常の歯科だけでなく、歯茎を切ってフィクスチャーを顎の骨に埋め込むという外科手術の分野にも足を踏み込む必要があります。
特に下顎にフィクスチャーを埋め込む場合、顎骨の下にある血管や神経を傷つけないよう細心の注意を払って手術を行わなければなりません。インプラント治療中に血管を切断して患者が死亡したという実例さえあるからです。
インプラント治療が出来る歯科医ならばそれなりの数になりますが、事故などのトラブルを起こさず安全かつ確実なインプラント治療が出来る歯科医となるとその数はさらに少なくなるのです。