高額治療が保険適用に!
何らかの理由で歯を失ってしまった人は、インプラント治療において義歯を植え込み、歯を取り戻すという手術を受ける必要がありました。しかしこの治療は、ほとんどの人が知っているように何十万円という高額な治療費のため、全ての人が簡単に受けられるというものではありません。
金銭的に余裕がない人達にとって、その点は大きな問題になっていました。
『借金をしてまで歯を植えるか』それとも『現状を考えてそのままにしておくか』非常に頭を悩ませる点です。
仮に歯の無い状態で放置しておくなら、顎関節に悪影響を与えることもあり『2次被害』も想定しなくてはなりません。
しかし、平成24年4月にインプラント治療が『保険適用』になるという発表がありました。
これで、金銭的に余裕が無い人でも歯を持つことができるようになったのです。
でも、この保険適用はどんな条件でもOKというものではないのです。
インプラント治療を保険適用にする為の条件とは何でしょうか?
なぜインプラント治療が保険適用にならなかったのか?
今までインプラント治療が保険適用にならなかったのはなぜでしょうか?
それを知るには、歯の治療をするにあたっての診断が2種類あるということを理解しておく必要があります。
1つは『保険診断』というものです。読んで字の通り健康保険範囲内の治療ができるものです。患者は0~3割の費用を負担するだけで良い物です。
この診断には、“悪くなった歯を治療し、誰もが平等に噛めるようにする”という目的があるので保険適用になります。
そして、もう一つが『自由診断』というものです。これは保険診断と違い、保険が全く適用されない診断です。なぜかというと、この診断は“噛む機能と見た目の向上”が目的となるので保険適用外になってしまいます。この“見た目の向上”というものがポイントとなり、2種類の診断が存在しているのです。
それで、インプラント治療はといいますと、“審美性(見た目)を求めた治療”という目的があるため、自由診断になり保険が適用されないのです。
患者は全額負担になりますので、誰でも簡単に受けられる治療とはならなかったのです。
保険適用になる10個の条件
平成24年4月に、インプラント治療が保険適用になると発表されましたが、どんな条件を満たせば良いのでしょうか?
適用条件①
生まれつき顎骨の1/3以上が連続して失われている状態。
適用条件②
上顎の1/3以上が連続して失われていて、鼻腔や副鼻腔へ繋がっているという診断がされている。
適用条件③
下顎の1/3以上が連続して失われていて、病気などにより切除したという診断がされている。
※適用条件①~③はどれか一つあてはまっていればOKです。
適用条件④
骨の移植により顎骨の再建がされた状態。
適用条件⑤
顎骨の形成不全
※適用条件①~⑤は、病気や事故の場合です。老化や歯周病による劣化は保険適用外です。
適用条件⑥
国で定めた医療機器と医薬品が整っている。
適用条件⑦
当直体制が整っている病院。
適用条件⑧
入院するためのベッド数が20床以上ある病院の口腔外科及び歯科。
適用条件⑨
適用条件⑥~⑧の病院の口腔外科及び歯科で、インプラント治療経験が3年以上ある歯科医師が常勤で2名以上いること。
適用条件⑩
適用条件⑥~⑧の病院の口腔外科及び歯科で、治療経験が5年以上ある医師が常勤で2名以上いること。
10個の条件を満たせば安価で歯が戻ってくる
かなり厳しい条件を満たす事が求められていますが、歯を失った人にとって『保険適用』の発表はとても嬉しいものがあります。
今まではインプラント治療が自由診断という“くくり”だったので、手術を受けるかについて躊躇せざるを得ない状態でした。
しかし、保険が適用されるということで多くの人が安価での治療を期待できるものとなりました。
まだまだ高額だと言うことに変わりはありませんが、金銭的な負担が少しずつでも軽減されていくのは事実です。
今後より安価でもっと幅広くインプラント治療が受けられる体制になると良いですね。