試験内容から見える資格の違い
Hairdressing
photo by Ben Salter on flickr
同じに見える2つの資格も、それぞれの試験内容には違いがあります。
学科に関しては、法律や制度、使用する器具などの衛生管理など、いくつか共通する部分もあります。
ですが、一番の違いが現れるのは実技試験でしょう。
美容師の実技試験
美容師の実技試験では、『カッティング』の他に、『ワインディング(パーマの際のロッド巻き)』『オールウェーブセッティング(セットローションを使ったウェーブを掛ける特殊なセット)』の3種類を、時間内に仕上げていきます。
理容師の実技試験
一方、理容師の実技試験では、『カッティング』に加えて、『シェービング(顔面処置)』と『整髪』になります。
試験内容から、『理容師は容姿を整える』。『美容師は容姿を美しくする』という違いが、何となく見て取れます。
美容師と理容師は『仕事内容』が法律で決められている
なぜ、試験の内容が違うのでしょうか?
それは、同じように見えても、仕事としてできる事とできない事が別れているからに他なりません。
法律が見える業務内容
- 『理容師法』によれば、頭髪をカットしたり、シェービングして容姿を整えるのが理容。
- 『美容師法』によれば、化粧や髪結い、パーマなどにより容姿を美しくするのが美容。
それぞれ『理容師法』と『美容師法』という2つの法律により、仕事の範囲が決まられています。
美容師はカミソリを使えない?
厳密にいえば、顔そりなど『カミソリを使用する事』は理容師にしか許されていません。
逆に、理容師はパーマをかけることが出来ず、成人式用に髪を結いあげたり、着物の着付けやメイクをする事は業務の範囲外となっています。
ひどく曖昧な境界線
しかし、これらはあくまで原則としての話です。
美容師による顔のシェービングは、化粧行為の一部として美容師に許されていますり、理容師によるパーマも行われているのが現状です。
ちなみにヘッドスパやエクステ専門店では、美容師免許が無くても働けるなど、美容師と理容師の関係以上に、非常にあいまいな位置にあると言えるでしょう。
理美容師になる為の資格
『理容師法』と『美容師法』という、2つの法律がある事からも分かる通り、理容師と美容師はそれぞれ別々の国家資格です。
資格(免許)を取得するためには、理美容の養成施設を卒業し、実務経験を積んだのち、それぞれの国家試験を受ける必要があります。
試験合格率は、バラつきはあるものの70%~80%と、国家資格としては高いと言えるでしょう。
試験合格後、免許を申請し登録する事で、本格的に理容師や美容師として働く事ができるようになります。
1人で両方の資格を取る事も可能
ちなみに、どちらか一方の資格を持っていれば、もう一方の受験資格が無くなるという事はありません。
また両方の資格を取得する事で、全ての業務を行えるというメリットもあります。
その為、実際に理容師と美容師の二つの資格を持っている人も少なくありません。
資格を取るなら理容師?美容師?
就職先としては、理容室ないしは美容室がほとんどでしょう。
どちらを選んでも給料や待遇は、ほとんど変わりません。
いろいろチャレンジしたいなら美容師の資格
美容師の仕事は、美容室だけにとどまらず、結婚式場やテレビ局のヘアメイクとして活躍する事もできます。
また、また特殊な髪形を結える事から日本髪や、社交ダンスの選手を専門としたヘアサロン。
あるいは、着付け、ネイルケア、エステとヘアメイクを合わせた仕事もやりやすいでしょう。
生涯現役で働くなら理容師の資格
カットや顔そり、マッサージを行う理容師は、基本的に定年がなく、一生働ける仕事と考えられています。
また、頭皮の健康状態を改善する『ヘア・カウンセラー』や、高齢者や障害者に理容サービスを提供する『ケア理容師』の育成も行っています。
また2年に1度行われる世界理容美容技術選手権大会では、金メダルを含む9大会連続で表彰台に上るなど、日本の理容技術の高さは世界でもトップクラスなのは間違いありません。