知らないままでいいの?やせた骨が再生する「骨移植」の秘密|トピックスファロー

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2013年3月26日
知らないままでいいの?やせた骨が再生する「骨移植」の秘密

あごの骨が薄い場合、そのままではインプラントができず骨移植を行う事があります。骨移植じたいは難しい方法ではありませんが、その材料にまで注意を払っている人はどれほどいるのでしょうか?そこで国内の骨移植について調べました。

WEBライター
  

骨移植とその方法

インプラントとは、土台となるあごの骨にチタン製のフィクスチャー(インプラント体)を埋め込んで、歯根の代わりとします。
しかし、あごの骨(歯槽骨)が足りない場合、インプラントがぐらついたり、埋め込むことすらできない事があります。

そんな時に行なわれるのが、あごの骨を再生、増量させる『骨移植(ボーングラフト)』です。
主に、「骨を広範囲で増やしたい場合」や「GBRで骨の増量が難しい場合」に用いられます。

骨移植の方法

骨移植に必要な物は「骨ブロック」「骨補填剤」「チタン製スクリュー」の3つ。

まず、骨を移植する箇所の歯肉を切り、骨を露出させます。
その後、骨ブロックを移植。隙間に骨補填剤を詰めます。
最後に骨ブロックと、自前の骨をスクリューで固定し、歯肉をふさぎます。

治療期間は約6ヵ月。
移植骨の定着が確認できたら、スクリューを外し、インプラントの治療に入ります。

骨移植の材料

骨移植で重要になるのは、そこに使われる材料。
しかし患者の中には、自分に何が使われているか知らない人も少なくありません。

骨の材料を選ぶ際に重要になるのが、『骨伝導能』と『骨誘導能』です。

  • 骨伝導能とは、「骨を“失った”部分に、“もう一度”骨を作り直す」機能。
  • 骨誘導能とは、「もともと骨の“無い”部分に、“新しく”骨を作る」機能。

使用する材料により、得意不得意があります。

自家骨

『自分の骨』を使って移植する方法。主に下あごの先(オトガイ)やエラの部分の骨を使用します。
自分の骨を使用するので感染リスクもなく、拒絶反応も起こりません。
また、骨誘導能が高く、骨移植には最も適していると言えるでしょう。

問題点は安定しない事

ただし骨の吸収が早く、長期にわたり必要な骨の量を確保できる可能性が低い事。
必要な量を用意できるとは限らない事。
口腔以外の部分(足や腰)から採取する場合、入院の必要があり負担が大きい、といったデメリットもあります。

他家骨

現在、自家骨以外で骨誘導性が期待できるのは『他家骨』だけ
他家骨には「脱灰凍結乾燥骨(DFDBA)」と「非脱灰凍結乾燥骨(FDBA)」の2つがあります。

その成分は、他人から提供されたヒト由来成分。つまりは『他人の骨』。
アメリカでは一般的に使用されている材料の1つです。

骨誘導能があり、微生物などによる感染は「16億分の1」とも「28億分の1」とも言われ、安全性についても申し分ありません。

日本では一般的ではない

しかし可能性は低いとはいえ、まだ見つかっていない細菌や微生物の存在があるかもしれません。
また、骨の提供者(ドナー)は日本に広まっておらず、たとえ見つかったとしても、滅菌などの処置ができる施設は国内に多くありません。

異種他家骨

『牛の骨』を材料として作られて移殖材です。
骨伝導能があり、骨の吸収が遅い為、広い範囲で使用する事が出来ます。
安全面においては、アメリカやヨーロッパにおける医療用具の基準を全て満たしています。

狂牛病への不安

牛を材料とする事で不安なのは「狂牛病やヤコブ病」の感染。これらはタンパク質の一種であるプリオンが原因という事は分かっています。
異種他家骨に使用される材料は、300℃の高温により、タンパク質とその他の有機異質成分は全て焼却処理されたもの。

安全とされていますが、それでも感染の不安はぬぐえません。

人工骨

『β-TCP』という骨の主成分に近い材料を用いて、人工的に作り出した移殖材。
感染リスクもなく、安定的な供給が可能。移殖材としては、自家骨に次いで最もよく使用される材料です。

骨誘導性はありませんが、骨伝導性はみとめられています。

成功率は自家骨より低い

β-TCPの主原料「リン酸三カルシウム」はGBRの時にも、骨補填剤として使用され、安全性に関しては問題ありません。
ただし、成功率は自家骨の方が高いとされています。

骨移植の費用と医療保険

一般的に、骨移植に必要な費用は、部位や材料によって異なりますが、『約5万円~30万円』。
残念ながら、保険治療は認められず、自由診療のみです。

しかし、人工骨の材料の改良や3Dプリンターを使用した成型技術により、今後は安い費用で治療を受けられるようになるかもしれません。

著者:海老田雄三

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芸能、アニメ、ゲーム、音楽あたりが得意分野のはずが、気が付けばなんでも書くライターになっていました。アニメ、ゲームなどのサブカル誌によく寄稿しています。