ストレスが溜まると「苦味」が欲しくなる
カフェインとは何か
コーヒーや、紅茶に含まれている、刺激的な物質のことだとは、わかりますが、面と向かってきかれると、答えられる方は、意外と少ないのではないでしょうか?
カフェインとは、地球上に分布する、「炭素」「水素」「窒素」「酸素」の4つの元素から成り立つ、白くてふわふわと軽い粉末のことです。
無臭でかすかな苦味を持つのが特徴です。ぬるま湯には、わずかに溶けるだけですが、熱湯には、大量に溶け出す性質があります。
これまでの研究で、カフェインには「興奮」「解熱」「鎮痛」「利尿」作用があるのがわかっています。
体内に摂り込んだカフェインが排泄されるまで
カフェインは簡単に体内に摂りこめますが、出ていくのもまた、同様に速いことが知られています。何しろ摂取した約7割が、2~4時間で体外に排泄されるのですから・・・。
まず、人体に入ったカフェインは、すべての細胞膜を透過してすみやかに胃腸に吸収されます。そして、血液によって全身に運ばれます。最終的には、肝臓で代謝、分解されて、尿として排泄されるのです。
苦味は最高の美味なのか?
「甘い味付けで、おいしさを出そうとする料理人は最低である」一方で、「苦みを効果的に使い、美味を表現できる料理人は一流だ」と言う内容のことわざが、いにしえの中国にありました。
これは、素材の持ち味や、料理の特性を考えもせずに、やみくもに、砂糖ばかりを使ってはならないとの、いましめにもとれます。しかし、従来、人間が感知する「うまみ」とは、一体何なのかを、鋭く指摘している言葉ではないかとも思えるのです。
このように考えると、苦いものを食べたいと感じるのは、 とても自然な発想ではないでしょうか?
長い冬が終わり、雪解けがはじまると、蕗の薹や、山菜などのアクが強い植物が芽吹きます。小鳥達は、強い渋みをふくむ新芽や、木の実をよろこんでついばんでいます。
本来ならば、あまり、おいしいと感じられないはずの、強い苦味ですが、冬の間に溜まった、「疲れ」や「毒素」を、発散させるために体が欲しているのだと考えられています。
わたし達、人間も、ストレスが溜まると、コーヒーや、紅茶、ココア、コーラのような、スモーキーさと、スパイシーさが兼ねそなわる味わいを、恋しく感じるのは、苦味を求めているからではないでしょうか。心と体のどちらが疲れても、本能的に、苦さが欲しくなるものです。
イライラすると食欲が増すけれどのはなぜか
仕事や人間関係で行き詰ると、1日3食食べても、物足りなく思えます。特に、空腹ではないにもかかわらず、何だか口がさみしい、どれだけ食べても満足できないという、辛い精神状態に陥ることもめずらしくありません。これは、脳が、強いストレスを感じると、自律神経のバランスを崩すからなのです。
本来は、リラックスしている状態では、「副交感神経」が優位にたちます。ところが、ずっと心身の緊張した状態が持続すると、「交感神経」が働きぱっなしになり、過剰にアドレナリンの一種でもある、「闘争ホルモン」が分泌されてしまうのです。
すると、寝つきが悪くなったり、ささいなことで苛立ちを感じたり、過剰な食欲に悩まされる結果になるのですね。
カフェインは悪者ではない?
カフェインは、植物に含まれています。当然のことですが、動物性や、鉱物性のカフェインは存在していません。現在、発見されているだけで、カフェインを作り出している植物は、100種類ほどにのぼります。
代表的なのは、「コーヒー」、「チャ」、「カカオ」などです。しかし、一体何のために、葉や実は、カフェインを含有する必要があるのでしょうか?
主な理由は次の3つです。
(1)菌類を殺す。
(2)特定の害虫を不妊にさせる。
(3)周囲の土壌に染みこみ、雑草の生長を妨げる。
つまり、自らの成長途中の体を、昆虫や、鳥から守るためには、強烈な成分が必要だったのですね。しかし、これらの高い自己防御力は、ドラマチックな反面、おぞましくも感じられます。
菌を殺し、害虫の生殖能力を奪い、雑草を伸ばさないようにするのですから。そんなに強い成分を、日常的にヒトが摂り込んで大丈夫なのかと、不安な気持ちにかられるのは、ごく自然な流れだったのでしょう。
ただし、人間と、虫では、体の大きさや、内臓の仕組みの複雑さが異なりますが。ちなみに、近年では、カフェインの持つ優れた、自己防御作用を農業に利用できないものかと考えられ、いくつかの団体では、実行に向けて動いています。
カフェインの摂取量の目安はあるのか
それでは、どれだけたくさんのカフェインを摂取したとしても、人体に害がないのでしょうか?もちろん、摂りすぎるのはよくありません。一度に大量に飲めば、命に関わる危険性も、ないとは言いきれません。
ただ、カフェインの致死量とは、約10~12gです。これは、コーヒー1杯あたり、100mg前後のカフェインだとして、90~100杯ほどに相当します。
いくらなんでも、短時間のうちに、10ℓものコーヒーを飲むなどと言うのは、現実的な話ではないですよね。「コーヒー中毒」や、「カフェイン中毒」と言う、言葉もききますが、それほど、心配しなくても良いのではないでしょうか。
気になる「耐性」も、つきにくいですし、ごく軽い、「常用性」「依存性」も、ありますが、生理的に、問題になるほどの変化を引き起こすほどのものではないのですから。
1日に、10~15杯ほどのコーヒーや、紅茶を飲む程度であれば、虫や、雑草のように、カフェインの害を被る恐れは、かなり低いと言えるでしょう。
また、溶け出しやすい性質を持っているため、濃く抽出したコーヒーよりも、アメリカンのような薄味のコーヒーにカフェインは多く含まれているのです。カフェインの「興奮作用」と「鎮静作用」について
よく知られているように、カフェインには、「興奮作用」(覚醒作用)があります。けれども、まったく相反する「鎮静作用」も同時に持ちあわせているのです。交感神経の働きを高めて、テンションを上げる作用と、副交感神経を優位にたたせてリラックスさせる効果の両方が得られるのは、一見、矛盾しているように感じられるものです。
物質としての、カフェイン発見以前には、コーヒーや、緑茶、チョコレートが、病気を引き起こす原因になっていると言う説が流れたり、持病を悪化させると信じられたり、はたまた、不快な症状を緩和せさせるなどと、ささやかれてきました。
具体的に、どのような状態で摂取すれば「興奮作用」が高まるのか、もしくは、「鎮静作用」が強く現れるのかは、まだ、現時点では、よくわかっていません。とは言え、真逆である2つの成分が混ざりあうことにより、「興奮」「鎮静」の、どちらかだけしか入っていない食品では得られない作用があるのは確かだと言えるでしょう。
効果的にカフェインを摂取しストレス解消を
落ち込んだ時には、明るい気持ちになり、イライラする時には、おだやかな心持になれるのが、カフェインの魅力です。マリファナのように、脂肪に蓄積される心配もないので、安心して摂取できます。
コーヒーと緑茶では、まったく異なる風味が味わえます。
カフェインは、自己主張の強いイメージがありますが、実にさまざまな味わいがあるのだと不思議な気持ちになりませんか?ちょっとした、気分転換にもなるのも嬉しいですよね。
カフェインの摂りすぎが、不眠の原因とは限らない
一般的には、カフェインを飲むと、交感神経の働きが活発になるため、目が覚めると言われます。しかしごく稀に、アルコールを摂取したら目が覚めて、コーヒーを飲むと眠たくなる人もいるのです。不眠症の患者に、就寝前にカップ1杯のコーヒーを飲むように指導したところ、見事に改善された例もあります。
もちろん、まだ、研究段階であり、どのような体質ならば、コーヒーが寝つきを良くさせるのかは、解明されていません。
ベーシックな考え方をすると、「アルコール」は、副交感神経を優位に切り替え、一方の「カフェイン」は、交感神経を働かせる役割をしていると思いがちです。
しかし、アルコールやカフェインは、神経系のギアをチェンジする役目こそ果たすものの、どちらに傾くかは、個人差が大きいことがわかります。
寝る前に、ビールを飲むと、早く寝つけて、コーヒーや、濃いお茶を飲むと寝つきが悪くなるとは、限りません。
体に良いと思いながら食べるという「ストレス」
ちまたには、さまざまな健康法と体に良いとされる食品が流通しています。中には、突拍子がないほどの、幼稚な考え方や、信仰の領域に達しているいささか怪しげな方法も見受けられました。
しかし、中でも問題なのは、「本当は、好きでないけれど、ダイエットのために、仕方なく○○を食べている」とか、苦痛に感じながらスポーツ・クラブに通い、結局は、挫折してしまい、そのことに罪悪感を持っていると言うケースです。
どの食材にも個性はあり、メリットとデメリットがあります。自分の体質や、嗜好とマッチすれば、抜群の栄養効果が得られる食材だとしても、嫌々続けていたのでは、結局はストレスが溜まり、逆効果になりかねません。体に良いことばかり続けて、体と心を壊してしまった・・・と言う最悪なパターンは避けたいですよね。
コーヒー・紅茶好きに悪い人が少ない理由
意外ですが、カフェイン常習者はそうでない方に比べて、自殺する恐れが低いことが指摘されています。これも、ミステリアスなカフェインの効能の1つだと言うことでしょうか?
また、定期的にカフェインを摂り込むと、パーキンソン病や認知症などの発症や、進行を遅らす作用があるとも言われています。カフェインの神秘に注目が集まってきているのですね。その複雑なメカニズムの全貌は、ベールに包まれていますが、コーヒーや紅茶が好きで、定期的に飲んでいる方には、悪い人はいない印象を受けます。
その理由としては、やはりカフェインのストレス解消効果、つまり「興奮作用」と、「鎮静作用」の影響が大きいのではないでしょうか。
胸底に、たちの悪いモヤモヤとしたガスを溜め込んで笑顔を作るよりも、適度に発散するのが、ストレスを溜めないコツだということかもしれません。ストレスが溜まったと感じたら
ストレスなんて、溜まらないにこしたことはありません。しかし生きている限り、何かしら、納得できない現実や、不条理な出来事は発生するものなのです。ストレス解消法は、人によって、さまざまな手段がありますよね。
誰にも迷惑をかけずに、さらに、お金もかからない方法を見つけられるとベストなのですが、なかなか難しいのが現実かもしれません。しかし、おいしいものを頂いて、リラックスするのが嫌いと言う方は、いないのではないでしょうか。
1回の食事が数万円するレストランに通ったり、ちょっとした宝飾品が購えるような値段のワインを飲むのは、非現実的です。しかし、隠れ家的なカフェや、自宅で、1杯のコーヒーや、紅茶、玉露を味わうのは可能ですよね。
問題の5割は、気がついたことにより解決されると言われています。「ああ、むしゃくしゃする!」と感じたら、お休み前にほんの10分ほどのわずかな時間だけでも、気分転換してみませんか?
朝起きがけに、コーヒーを
朝、気持ちよく目が覚めると、その日は、何事もうまくいきそうで、気持ちよいものです。ところが、前日に寝つきが悪かったり、低気圧が続いたりすると、目が覚めた瞬間から、頭が重たく感じる場合もありますよね。
そんな時は、朝起きがけに、豆乳と卵黄を加えた、濃い目のコーヒーを飲むと、体調が整いますよ。
ノン・カフェインのコーヒーでも、同様の効果が得られるので、カフェインの働きによるものだけではないのかもしれませんが、頭がすっきりとして、イノセントな気分になれます。目覚め際に、体に鈍い疲れが残っていると、仕事に対するモチベーションも上がりません。ささいなことでも、苛立ちを感じたり、ミスをする原因にもなります。ですが、裏を返すと、コンディションが万全であれば、能率よく働けて、ストレスを感じにくいということですね。
チョコレートで心が癒される
カフェインが含まれているのは、コーヒーや紅茶、ウーロン茶だけではありません。チョコレートや、ココアの原料でもある、カカオにも多く入っています。
チョコレートや、ココアは、カフェインだけでなく、ポリフェノールも豊富なため、ストレス解消効果以外にも、老化防止にも役立ちますよ。
少しお値段は張りますが、カカオの含有濃度が高い商品をチョイスすれば、糖分の過剰摂取を気にすることなく、おいしくいただけます。また、これらの少し高級なチョコレートならば、1つ、100円前後で売られている市販のチョコレート菓子では、決して得られない、極上のベルベットに包まれたような、芳醇な気持ちを味わえるのでおすすめです。
カフェインとストレス解消効果
ストレスが溜まると、暴飲暴食に走る方は多いですよね。スイーツや、アルコールが中心ですが、よく考えてみると体が、「苦い」ものを欲していることがわかります。
ただし、これまで、濃い緑茶や、コーヒーを常用すると、寝つきが悪くなったり、依存性が不安で、どこかうしろめたい感じがつきまとっていました。ところが、カフェインは、鎮静効果も高く、また、体内に入って排泄されるまで、短時間なので、蓄積されたり、吸収されすぎる心配がないことがわかりました。
もちろん、過剰摂取をするのは良くないですが、「体に悪いのに」と心配しながら、コーヒーを入れるストレスはなくなりますよね。健康問題を考えて、好きでもないものを頂くよりも、おいしく、楽しくストレス解消したいと思いませんか?