カーボンヒーターとは
電気ストーブの一種。同じような電気ストーブとしてはハロゲンヒーターが有名ですね。
違いは発熱体(遠赤外線を発する部分)に何を使用しているかによるものです。
カーボンヒーターに使用されているのは『炭素繊維』という物質。
ハロゲンランプに比べて効率よく体を暖める事が出来ます。
どうしてカーボンヒーターは暖かいのか
電気ヒーターを使っていると、部屋は寒いままなのに体は火傷しそうなほど熱くなっている場合があります。これはエアコンなどとは『暖め方』が違う為に起こる現象です。
エアコンは暖かい空気を作り室内を循環させます。その為、部屋のどの場所にいても同じように暖かさを感じます。
一方、カーボンヒーターは遠赤外線の効果によって対象(この場合は人体)の分子を振動させ、内部から熱を発生させます。
難しく聞こえるかもしれませんが、冬であっても日向に行けば暖かく感じるのと同じ原理ですね。この場合は太陽光に含まれる遠赤外線の効果によるものです
つまりエアコンはお風呂で温まるイメージに対し、カーボンヒーターは縁側で日向ぼっこしているようなものです。
カーボンヒーターの特徴
簡単な仕組みを分かったうえで、カーボンヒーターのメリットとはなんでしょうか。
1.体が暖まりやすい
ハロゲンに比べて体を暖める遠赤外線の効果は2倍。その分強力に暖めてくれます。
2.体の芯から暖まる
高い遠赤外線は体の奥の方まで浸透します。その為体の芯からポカポカになれます。
3.屋外でも使用可能
遠赤外線は風で散ったりする事はありません。ですので、強風の屋外でも問題なく暖を取ることが可能です。
4.他の電気ストーブに比べて電気代が安い
発熱効果が2倍という事は、電気代が1/2で済むという事。消費電力を調べてみるとハロゲンヒーターが1000Wなのに対し、カーボンヒーターは500W前後とお得になっています。
5.軽くて小さい
必要なのはカーボンの発熱体とそこに電気を流す仕組みだけです。重いパーツがないので女性でも持ち運べる重量になっています。
またカーボンは繊維になってますので、布に編みこめば手袋として使えるほど小さくすることもできます。
6.すぐに暖かい
日向に行くとすぐに暖かいと感じますよね。エアコンのように熱が広がる空気ではなく、体を直接暖めるので、すぐに熱を感じることが出来ます。
7.換気の必要がない
ガスヒーターなどは一酸化中毒の危険性があり定期的な換気が必要になります。せっかくの暖かい空気を外に逃がすのですからもったいないですよね。
しかしカーボンヒーターは空気を汚さないので換気の必要がありません。
8.音が静か
風を切るファンと、それを動かすモーターが主な騒音の原因です。カーボンヒーターにはどちらもありませんので、音が非常に静かです。
9.空気を乾燥させない
乾燥した空気は風邪をひきやすくさせ、肌にもダメージを与えます。
カーボンヒーターはエアコンのように空気に干渉しないのですから、空気中の水分を奪いさらに乾燥を進める事もありません。
10.値段が手ごろ
機種にもよりますが、だいたいは5,000円から10,000円で収まるのが主流です。
エアコンに比べると非常にリーズナブルな価格と言えるでしょう。
カーボンヒーターの注意点
もちろん物事にはデメリットも存在します。
1.良くも悪くも一人用
何時間つけても部屋は暖かくならず、目の前にいる人しか暖める事は出来ません。
無駄な場所まで暖めないというメリットとも取れますが、部屋に人を呼んだ時の暖房器具としては物足りないかもしれません。
2.電気代が高い
メリットに「電気代が安い」とありましたが、あれは他の電気ヒーターと比較した場合の話。
電気代が高いと思われているエアコンの節電能力は進化を続けており、6畳程度の部屋を暖める時、最大パワーで動かしても1000W程度。しかし一度部屋が暖まれば、後は160W程度しか電力を消費しません。
使い続けるほど、エアコンの方がお得という事になります。
3.低温やけどの危険がある
遠赤外線と言われて思い出すのが魚焼きグリル。パワーが違うだけで両方とも同じものです。
その為、長時間、同じ場所に当て続けると低温やけどになる場合があります。
低温やけどは普通の火傷に比べ深部まで細胞を破壊している事が多く、治りにくく傷も残りやすいので冬場の暖房には注意が必要です。
4.暖かいのは当てている側だけ
日向は暖かいのに木陰に入った瞬間、非常に寒い経験はありませんか?
カーボンヒーターでも同じ現象が起きます。
つまりヒーターにあてている側は熱いのに、体の反対側は冷えているという事が起こるという事ですので、設置場所に注意が必要になります。
カーボンヒーターはこう使う
メリットとデメリットをふまえた上で、カーボンヒーターはいつ使えばいいのか考えてみると、「一人で」「すぐに暖まりたい時に」「短時間だけ」使用するのがベストな使い方でしょう。
つまりキッチンに立つ際に足元を暖めたり、パソコンに向かって動かない数時間だけスイッチを入れる、といったスポット的な使用方法が考えられます。
また電力の問題をクリアーすれば野外や開け放たれた場所での使用にも十分な威力を発揮してくれるでしょう。
暖房器具は上手な使い分けが必要
一日中、部屋を快適に暖めるのであれば、最新の省エネエアコンが圧勝で間違いありません。
しかし持ち運べる手軽さや速暖性ではカーボンヒーターに分があるでしょう。
つまり、選択肢の増えた現代では、一つの暖房器具にこだわるのではなく状況に合わせた寒さ対策を行う事が求められています。